6-1) カスタムマニア

シャマル 
(sold)
 MBKの完成車を構成していたパーツ類をそっくりカザーティSLフレームに移植・・・が前稿まででしたがフルカンパのイタリアンロードができた!
とそのままの状態で満足している自分ではありません。ご多聞に漏れず(笑) その後カスタム、改造に勤しんでおります(進行形!)。

 思えばずっと(特にオートバイ時代)改造カスタムの名の元に無理矢理(?)行った、やらなくてもいい部品交換や加工、調整の数々。
 改良とは名ばかりの改悪となってしまった例も数知れず、未熟ゆえ
弄り壊してしまったことも一度や二度ではありません(汗)

 しかし技術と分別を得た今では(笑)こと自転車に於いては
「改造のための改造」に走ることなく、最適化と軽量化を目指し日々思いを巡らせています。 そう、自転車改造の基本は最適化です。
 運転姿勢、車ならドライビングポジション、バイクならライティングポジションということですが、自転車は操縦しつつフィジカルパフォーマンスを発揮しなければならない乗り物。運転姿勢にかかわる各部の寸法の重要度は
モーターサイクルの比ではありません・・・ ということでまずはMBK時代から 現在のCasatiに至る改造履歴を列記してみましょう。

 自転車の完成車(洋服に倣い「吊るし」という場合も)はあくまでターゲットゾーン真ん中を狙いつつ コストを考慮したパーツアッセンブルとなっているため、各人それぞれには微妙に合わない部分が出てきます。ましてや初心者の場合、身体能力の向上で最適寸法が変化することもあります。
 MBK号は「レースに出るようなヨーロッパ人向け」に出来ているので標準のModolloのハンドル幅420は自分には広過ぎ、最初に考えたのはハンドル交換でした。サガミサイクルセンターで400㎜幅(因みにイタリア製は
外-外寸法)のものを物色です。こだわりは格好良いアナトミック
バー  
(ハンドル下部がアールではなくキンクしている)
タイプであること。そしてエルゴレバー対応でない、ことでした。
 エルゴレバー (カンパのブレーキ・シフト兼用レバーの商標)
から出る2本のワイアのうち 1本をバー後方に回すため、ワイア埋め込み用の溝が前だけでなく後ろにもあるのがエルゴレバー対応。
bbarr.png barr.png 
その後方の溝はライダーが常に触れている部分であり感触は重要、と自分は考えます。
bar.png     
「断面まん丸じゃなきゃ、触っていて気持ちよくない!」
そういう人はいるらしく、その後方溝を埋める樹脂パーツもありましたがそれは本末転倒、断面も真円にはなりません。

 そうしているうちに目に入ったやや鈍くも美しく輝く最新型のITALUMANUBURIの超軽量チタニウム製ステム!
ti.png
高価でしたが一目ぼれでした。
 前述「最適化」にはやや相反しますがMBK標準のモドロのステム、突き出し寸法100㎜は見た目がちょっと
(シートポストとの関連では、相当=自転車の黄金比として、
ステムとシートポストの突き出しが同じが美しい、とされています!)
短いと感じていたのでそのステム110㎜購入を即決!
 しかもこのステム通常(73°)より気持ち前上がりの80°
チタン    えむびーけ
 MBKのトップチューブは後方縦潰しの関係でこれまた気持ち前上がりなので非常にマッチングが良く見えました。
 ということで、ハンドル周りのブランドを揃えるためバーもITMから、それも軽量な(エルゴ対応の)最新型からではなく旧タイプから選ぶことになりますがステムが軽いのでOKかと。
 同社セカンドラインの260g(最新ラインは225g)のものがありました。
はんどる

 標準のサドルはMBKロゴ入りでしたが重く、何よりクッションが厚過ぎるためかえって不快な代物で、当時定番だったSelle Italia(良く呼ばれる
「セラ」ではなくセッレ・イターリア)のターボマチック(白!
 チタンレールモデルは手が出ませんでした)に。
サドル 
ゆくゆくはオプションの「ヒップフェアリング」
fairing.png  saddle.jpg
(TT、泣じゃなくタイムトライアル用)(Magnetti Marelliはノンスタンダード)
を視野に入れての選択でした・・・。

と、ここまで弄ったところで件のクラッシュに会いました。
 

 そしてCasati移行後、地道な多摩川走り込み練習を重ねスピードアップしつつ、改造にも拍車がかかります。

 坂道練習として田園調布、等々力周辺の激坂を繰り返し登ると・・・下りの途中交差点停止線で止まらない。
 握力(踏力)が要るのは欧州製ブレーキの常とはいえ
(オートバイにおけるブレンボとニッシンの違いは、
 そっくりカンパとシマノに当てはまります。)

減速用としてはともかく
(実際にレースではそういう使い方しかしませんが)
制動力の不足を感じました。
カンパ・アテナの美しいが通常(旧来)のブレーキ・アーチ
TS3Q0155 (2)
を最新のデュアル・ピボットのものに替えねば・・・しかしイタリアかぶれとしてはシマノを着けるわけにはいかない・・・。

 当時のカンパニョーロのコンポ-ネントは下からAthena、Chorus、
C(=Corsa) Recordの3グレードでしたが
アテナでもシマノのセカンドグレード以上の品質(性能ではない)だったと自分は思います。
 特にヘッドパーツは大差があるようで、自分はカンパのヘッドベアリングの当り調整はしたことがありません(必要がなかった)。

 カンパとしてもライバル・シマノが次々と打ち出す新機軸に対し
「不本意ながら」追従せざるを得なくなっていた当時、前述デュアル・ピボット・ブレーキもコーラス以上にラインナップされたばかりでした。ところが導入翌年いきなりマイナーチェンジが行われ外観上、アーチにグレード名のロゴが入るようになったのでした。
choorus.png
「なんだよ、ゴチャゴチャして格好悪いじゃん。
 グレードなんか判んねえ方がいいし・・・」
 TS3Q0186.jpg
(シンプルなカンパロゴのみ、この仕様は1シーズン限り)
またぞろ旧タイプ購入となりました。
 実際には取付ボルトが隠されているか否かでグレードはバレバレなんですが(笑)
rec.png
(レコードはボルトの頭が見えません)
 このブレーキは効きました。
 シューをシマノに替えると(互換性あり) もっと効くらしいですが、レバーの感触が気持ちスポンジーになると聞き、 試していません。

 そして頻繁にブレーキテストを行うようになると今度はブレーキレバーが気になり出しました。
 ある日ブレーキング中に荒れた路面からの衝撃を受けた際、親指の付け根の関節に激痛が。
athena.png
(丸い金具なし)
 それまでそうとは気付かなかったものの自分は手が小さく、いつもブレーキング時にはレバーを確実にホールドすべく少し手を外側に
(親指関節がレバーブラケット頂上に来るくらい)無意識にずらして操作していたのでした。


 小さいブレーキレバーを探しました。 

 一時「アンチ・シマノ」の味方、サンツアーのシュパーブ・プロのレバーを
調子良く使っていましたが、やはりフル・カンパにしたい・・・ありました!
 基本的にはジュニアか女性向けなのでしょう、最上級グレード、Cレコードに通称「深曲がり」と呼ばれる

コンパクト・ブレーキレバー

なるものがあったのです。
  BR_20130429192250.png compact.jpg  
(通常Cレコとコンパクト)
 もちろんサガミで見つけました。
 高価でしたが貴重かつ有用、無二のレア・パーツ
(店頭はもちろん、ずっとチェックし続けているオークションでも
 以来一度も見たことがありません!)
迷わずゲットです。

まだギア系のお話に到達できませんが(笑)大変長くなったなので今週はここまで。

 トップ画像は本文とはまるで関係ないマゼラーティ・シャマルのイメージ・ポスター。
自分のイメージとしては・・・
 後方のトライデントがくるくる回っていて、ルーフのシルバーのバンドと交わる瞬間、一体化する・・・って感じなんですが・・・(笑)

 この絵についてもゆくゆく・・・。

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  1. 2013/04/29(月) 20:05:57|
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6-0) Casati & MBK

 全景  
(not for sale!)
 桜も散り花粉症も鎮静化、ようやく自転車の季節がやってきました!ということでBiciclettaの話題と参りましょう。 

 まずは現在の愛車の紹介を。イタリアはサーキットの街、
 Monzaの工房Casati
もんつぁ 
カザーティ、Marlboroはノンスタンダード)
のロードレーサー。
 因みに「レーサー=レーシングマシン」で、我国で一般的に使われている「レーシングドライバー」の意味は厳密にはありません。それが一般化したのは大昔のブリヂストンのCMによるものでしょう。「黒沢元治。プロレーサー・・・。・・・魔法のタイヤではありません・・・」(by 矢島正明?)思いっきり余談でした(汗)

 モデル名はないようですが、同社の金メッキモデルはリネア・オーロ
(linea=line )。使われている鋼管はコロンバスのSL。
えすえる
 そういう意味ではモデル名「リネアSL」でいいのかもしれません。
 因みにSLはSuper Leggera (スーパーレッジェラ)=スーパーライト即ち超軽量の意ですが、それはこのチューブが開発された時代の話で、現在では「梅」の扱い。特に軽いということはありません。実際当時入荷していたラインナップの中では廉価版でした。
  購入先はイタリアン・ロードレーサーとそのパーツの品揃えには定評ある相鉄線は三ツ境の サガミサイクルセンター。もちろん完成車ではなく'95年、フレーム単体での購入でした。 こちらのショップには妻のミキスト
  みきすと
(これもフレーム購入)
のほか色々とお世話になってます。
 このCasati、自己所有のロードとしては(たったの)2台目にもかかわらず永く乗り続けているのはそれなりに気に入っているからにほかなりません。
 それでは、最初の一台のお話から・・・
 諸般の事情で一人暮らしになることが決まった'92年末
「新生活には自転車が必要だ・・・!」
とかつて熱中したものの、とんとご無沙汰になっていた自転車界への復帰のチャンスとばかり、本来ママチャリで済むものを「趣味の」自転車を物色しはじめた自分でした。
 まず候補に挙がったのは某2輪誌で知ったモールトン 
M.png
 同車はその出自から4輪ショップでの販売も多く
(その場合やや強気の価格設定が一般的)
自転車の相場なんぞにはすっかり疎くなっていた自分
「まあ15万くらいかね」
と旧友Kに話すと
「!そんだけありゃ結構な高級車が買えるぜ!」
と大反対。
 そうか・・・それでは!と当時プロショップが出店中だった近所の○井へ
「偵察」に出かけました。 そこで見た、グリーンと白のロードレーサー!
   
MBK - コピー 
 MBK JC477 
MBK1 - コピー  
(カタログより転載)
 剛性の必要な方向に「潰し」の入った、溶接の継ぎ目のない滑らかな接合部、一見シートピンがない(=見えない、後端部よりイモネジ圧着支持)シンプルな美しさ。
 そのTWRジャガーXJ-Sを思わせる渋いグリーン
xjs.png
GMのショーカー、メイコ・シャークを彷彿させるツートーンの塗り分け
maco.png 
えむびーけ
 その美しさは現在でも自分の中ではナンバーワンです。
 そして何より昔憧れだったフルカンパ(=カンパニョーロのフルセット)!
一目惚れでした。聞けばなんと4割引き
(!当時の輸入元YAMAHAが手を引く際の「投げ売り」だった模様)・・・
「チューブラー(=レース用のボンド接着タイヤ)だし・・・買物には行けねえな・・・」
と形ばかり一週間悩んだものの無事(?)購入となりました。
しょるい  
(さすが高級車、立派なマニュアルと手書きチェックシートが・・・)
 このMBKは大変気に入り、初ロードレースもこれで出ました。
ツール・ド・メックスウェイ
tdmxw (2) 
(参加記念品の時計) 
TDMXW.jpg
'94年12月に行われた、首都高湾岸線つばさ橋開通記念ロードレース
激走 げきそう
(筆者とMBK) 
 
 開通前の首都高本線上を自転車で走る!というものでした。

 ところがその蜜月は多摩川サイクリングコース上でのゴールデンリトリーバーの飛び出しにより暗転したのでした・・・。
 非常識な飼い主によりリードを外された犬が前方を横切ります。 止まれそうもない距離とタイミング、もちろん避けられない
「ええい向こうが悪い、牽いてしまえ! 」

 大型犬は思いのほか丈夫で(!)はね飛ばすどころか前輪を軸に前方宙返りさせられたのは自分でした・・・。犬はなんと無事、自分は腰から着地、強打・・・(泣)

 MBKのダメージは、というと・・・その美しいユニクラウン・フォークは曲がり、プロショップ曰く
 修理はともかくそのペイントの再現は現実的には不可能
 ・・・渋々当時出始めの高性能軽量カーボンフォーク(ダークグリーンのものがあった)をオーダー、換装を依頼したのでした。
 しばらくして、ショップより連絡が。

 カーボンフォークオーダー時に発見できなかった、ヘッドチューブ変形が見つかった(!)

 とのこと。全損です。 ショップ担当者も平謝り、フォークは無償提供となりましたが取り付けるフレームがない・・・。

「仕方ない。フレームを新調しよう!」 

 自転車は転ぶと全損、という痛い教訓を得た自分は予算は5~8万ということで旧友Kと共にサガミサイクルセンター(旧店舗)へ。
 予算内では山王といった国産フレームが幾つかとコルナゴアランピナレッロそしてカザーティがありました。
 舶来崇拝主義者(!)として国産は眼中になく、コルナゴは非常に美しい凝ったペイントが魅力でしたがチューブが低グレードで残念。3本カーボン
alan.png
(トップ、ダウン、シートチューブのみカーボン、他はアルミ)
のアランは軽量が魅力でしたが「繋ぎ目」が目立つので審美眼的に却下、ピナレッロは当時ツールで大人気、M・インデュライン &バネスト全盛期
だったので今一面白くない・・・そこでCasatiです。
 チューブはかつて一世を風靡したSL、ペイントも最低限とはいえエアブラシが入った「白」(←白でまとめるのが高級車、のイメージが自分にはありました。)
 そして何よりシートラグの構造、そのスマートさにやられました。
しーとらぐ   
 自転車におけるシートピンの存在は自分の、美的感覚としては飛び出していて邪魔、美しくない。
pin.png 
(後方に向かってチョコンと・・・)
なんらかの形で 、融合させられないものか ・・・と日頃感じていました。思えばMBKはそうなっていました。
 そこへこのCasati。マスの大きい、塊り感のあるシートラグに、シートステーを貼り付けるのではなく
ぴらー
シートピンとシートステー用に軽量化を兼ねて4つ穴を開け、挿入する。
 鮮やかな、別の回答を見せられた思いでした。
 購入を決めるとさすがサガミ、サクっとBB(ボトムブラケット=クランク軸受け)ネジをタップでさらい渡してくれました。
 そしてその新品フレームを元のショップへ持ち込み全パーツの移植を依頼。担当者の好意で工賃は無料でした。
 規格違いで移植できなかったパーツはBBのみ。これは後日カンパ純正品をサガミにて購入、持ち込みました。 イタリアンパーツはサガミが安かったのです。
 
 かくして廉価版とはいえ生粋のイタリアン・ロードレーサー、それも眩いばかりの(←手前味噌表現)フルカンパ仕様の一台が仕上がったのでした。

 全パーツの移植即ち変更はフレームのみだったので、純粋にフレーム特性の違いが感じられ非常に興味深かったというか勉強になりました。
 怪我の功名、ではあります。
 まずフレーム剛性感はMBKの圧勝。これはある意味当然で、同じチューブ(コロンバスSL)での 

 潰しの有無の違い

 を感じることができました。 反対に振動吸収性は

 低速ではCasatiの圧勝、高速域(下りで60km/hとか)でMBK

 という感じで、自分の脚力
(こういう場合「貧脚」といいます・・・)とのマッチングを考えれば現車に軍配。総じて、レーススピードにならないと良さが現れないMBK、ということになります。

 操縦性についても同様で普通に乗っている限り、ハンドリング自由度に於いてMBKはCasatiの敵ではない、と言えます。
 そう、現車に乗り続けている最大の理由が
 
 優れたハンドリング

 なのです。普通自転車を選ぶ際重視するのは、踏み出しの軽さとか登坂性能とか進み具合とか軽さといった性能面でしょう。しかしそういった尺度ではなく

 操縦性で自転車を選ぶ

 マニアックで格好良いと思いませんか?

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  1. 2013/04/21(日) 20:14:24|
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5-0)NBロードスターが唯一負けを認めたオープンカー

275 コピー 
(available) 
 当ブログとしてはこの所比較的多くの来訪者数 をカウント(左側プラグイン参照) しておりますがそれにしても皆様シャイなご様子、 前稿「C/Gファンクラブ?」に対してのコメントは頂けておりません。
 あんまり昔のことを書くのもどうよ、と思いつつもやはり 当時のこと、皆様のこと、CG'sのこと、書いておかねばならない(?)ことがまだまだあるようで・・・ 依然としてコメント募集中です!
 皆様のコメントへの回答という形で続けられれば、とも思っております。

 そこで閑話休題(休話閑題?) 突然ですが自動車スタイリングについての話題を!
 既にリンクさせて頂いておりますが
 
 Car Styling Design-BBS

 という権威と歴史ある掲示板がございまして、 自分も時々書き込ませて頂いております。
 このBBSにおいては過去に「ミウラ論争」なるものが勃発、 端的には

 ランボルギーニ・ミウラのデザイナー(=設計者ではなくスタイリスト)は誰か?
 021.jpg 
(Sold)
 というものでしたが大いに盛り上がったことがあります。自分も途中参戦(?)致しました。 くわしくは件のBBS過去ログ(長いので結構大変・・・)をご参照下さい。

 そのBBSで改めて論じる、あるいは問題提起するまでもない、ちょっとした自動車スタイリングに関してのことですが
 
誰も気付いていないであろう
(当時ほとんどの自動車関連書籍を確認していたので間違いないかと)
3代目 NCロードスター
ncrr.png 
のスタイリング検討時のこと 、すべては想像ですが(笑)状況証拠は揃っているので・・・を四方山話として以下に。

 1989年の初代ユーノス・ロードスターNA
NA.png
 そのスタイリングは、デビュー時巷ではエランがどうの、云われておりましたが自分としては各部のまとめ方、ディテールの配置等から、エンジンを短い4気筒に替えた(笑)
D.png
ショートノーズ・デイトナ(=フェラーリ365GTB4スパイダー)
と云えるのではないか、と考えています。本題はNB以降なのでNAについてはこのくらいにして・・・

 その初代NAの大成功を受けて正に雨後の筍のごとく主要メーカーから
z3.png
Z3
SLK.png
SLK
986.png
ボクスター
brc.jpg
バルケッタ
F.png
MGF
フォロワーが次々登場、それらを迎え撃つ形で'98年マツダは
 NB.png
2代目 NBを投入しました。

 それらライバルの中で、特に可哀想なのはMGFです。'80年代末期「空位」だった本来「MG的なもの」
B_20130414093433.png
 軽便で安価、思いのままに操れるそこそこの動力性能のオープン
をマツダ(≒立花啓毅氏)がモノにしたがゆえに行き場を失ってしまった本家
MG.png
が 渋々「より本格派なもの」に移行せざるを得ず、仕方なく仕立てた不慣れなミドシップが同車・・・と見えます。

 同じ頃、貴島孝雄氏を主査(NBから継続)とする開発チームは次世代NCの検討のためライバル全車を研究したはずです。その各車評価はスポーツカーとしての尺度すなわち

 操縦性、重量配分、重心高、車体剛性、質感、快適性、機械的信頼性、スタイリング、空力そして価格

で行われたことでしょう。 しかしNBは優秀です。 各項目でいえば

 重量配分面ではミドシップ2車はトラクションでプラス。しかしMGFの方は重心高でマイナス。
 ボクスターとZ3とは全ての面で拮抗、NBにとっても手強くも価格帯でライバルたり得ず。一方ドイツ両車に対し質感ではNBが健闘、価格を考慮すればプラス。
 SLKの操縦性は重心高と相まって問題外、価格面でもマイナス。
 バルケッタには駆動方式(FWD)からして圧勝・・・

 総合点で太刀打ちできるライバル車はなかったでしょう。
 以上、自動車ジャーナリズム的あるいは自動車開発実験部隊的評価ではそうなったはずです。

 しかしマツダのどなたか(主査ではないかも)はNBが負けている点をひとつだけ見つけたのです。
 それはユーザーの、このクルマへの愛着を望んで止まない、設計者の愛情溢れる視点によるものでした。しかもそれは非常にコストがかかる贅沢なものにもかかわらず、完全に同価格帯といえるバルケッタにだけ備わっていたのです。
brct.png
 それは「ボンネット」でした。
昔のフェラーリ
275.png
例えば275GTB。
 フェラーリに限らずコーチビルド時代のスポーツカーのボンネットは丸く、独立していました。ノーズ部分と左右フェンダーは溶接で一体化され、滑らかに繋ぎ目のない状態です。そして バルケッタ もまた
brctt.png
イタリアンスポーツのひとつの様式としてその構造、工程を受け継いでいたのです。
 そう、フィアット社内でも「スポーツカーらしく、フードはこうしよう」それは割とすんなり決まったように想像します。イタリア車というかフィアットはかつて
x19.png 
量産ミドシップ X-1/9
でも(車体剛性のため)継ぎ目のない溶接Fフェンダーを選択しています。そういう歴史的経緯もあり、フェンダー-ノーズピース溶接という手間のかかる工程にも拒否反応がなかったのではないでしょうか。
 

 一方世の自動車は樹脂バンパーが標準、鉄製フェンダーとのパーティングラインは不可避なものです。すると 左右フェンダーとバンパーに区切られたボンネットは四角くならざるを得ないのです。パーティングライン自体に罪はありませんが(笑)
275gt.png
 それがない、滑らかなボディは特にそれを洗車あるいは磨く時、密かな、オーナーのみが知り得るえもいえぬ満足感を与えてくれるものなのです。

 これ(=スポーツカーと一般車を差別化する贅沢な構造)だけはウチの子(NB)にはない! ハンパな格好だけのスポーツカーもどきに負けた・・・

 開発チームの悔しさはNCのボンネットに現れています。
   
 それは意識的にバンパーとのパーティングラインに見えないように大きくラウンドし、フェンダーとのそれも峰でも機械的境界でもなく曲線優先になっているように見えます。さらによく見るとホイールアーチにかかるバンパーとフェンダーとのパーティングラインは特別に気を付けて狭く保ち(=目立たなく、見えないようにし)ボンネットの方は技術的には同様に狭く保てるにもかかわらず、敢えて多めに取っているように見受けられます。
NCRS_20130414012526.png    
この考えに至ったきっかけは、NCのフード形状の不自然さ(失礼・・・)からでした。
daytona.jpg 
「またデイトナかぶれ?」
最初はそう思いましたが、メカニズム的観点からも不整合な形状・・・??
 その疑念はそのまま放置されたのですが、ある日バルケッタを見て
「すげーなこのクルマ、安物なのにフェラーリと同じフード配置・・・」
と思った時、すべてが繋がったのです。

 かくしてNCは「丸い」ボンネットを持つに至ったのでした。
ncr.png 
 些細な事にこだわる、マツダらしいアプローチがそこにあった、といえるのではないでしょうか。
 brc.jpg
 そして最後に申し上げたいのはバルケッタはスポーツカーもどきなどでは決してなく、愛着を持って接することのできる、今となっては稀有で贅沢な造りという美点を持った、入れ込むに足るクルマである!ということなのです。

 トップ画像は275GTB NARTスパイダー。これも自分で撮ったショット、場所はペブルビーチでした。

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  1. 2013/04/14(日) 01:38:36|
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