7-1)右ハンドルか左ハンドルか

 
birdcage_2013092911164953f.jpg  
(available)
 このところ毎週末更新に集中しており過去ログ顧みる機会もなかったのですが先日、何げなく見直してみると・・・
 赤面ものの文章はさておき(笑)各稿翌週の更新時には通常、多くても三つの「拍手」が知らぬ間に増えているのを知り、驚きました。
 感激です。
 5-0)NBロードスターが唯一負けを認めたオープンカー稿など9拍手も!支持してくださる方がいるだけで励みになります。実際Log(=日誌)といいつつタイムリーなことは書いていないので(笑)時節がない分(続きものはあるとはいえ)どこから読んでいただいてもいいようにしたつもりでしたが、そのように楽しんでいただけていることが察せられ大変嬉しく思います。
 今後ともよろしくお願い致します。
内装1
(自車、今朝の画像)
 さて前稿、ハンドル位置についての話題でしたが実際のところ、メカニカルな問題は抜きで右と左どちらがよいか考えてみましょう。
 まあ我が国では右が基本なので右については論じず、左のメリットとデメリットについて掘り下げてみたいと思います。
 まずメリットから。
 日本のトップ・ラリードライバー 新井敏弘 曰わく
WR.png 
「右の方が器用なんだから右でシフトすべき!」
実際彼のラリーカーは国内用でさえLHDのものがありました。とはいうもののパドルシフト全盛となった今日、左のマニュアル自体絶滅危惧種、現状
500_20130929105150a38.png
500のアバルト
くらいしか思い浮かびません。ちょっと前なら
brc.jpg 206.png
 バルケッタとか206RC
とかがあったのですが。
 次は自分の経験から。まず助手席の人には申し訳ない話ですが(笑)

 オフセット衝突が怖くない

 が筆頭に挙げられます。片側一車線、狭い一般道といった対面通行における衝突接触の恐怖あるいは不安(=緊張)の軽減効果はかなりあります。右に慣れてしまうと感じなくなってしまうレベルですが普段、よりリラックスして運転できるのは確かだと思います。
 次に、ある意味当然、どうってことない些細なメリットですが

 左に寄せやすい

 があります。些細な、とはいえ左側通行で道も狭い我が国では駐停車の際、左に寄せる場合がほとんどなので、その恩恵即ち
「自車をこすらない安心感」
を味わう機会、実は非常に多いのです。
 この実体験に基づく2点、双方とも「安心」に直結するものです。この2点が
 外車らしい、目立つ、格好いい、姉ちゃんに声かけやすい(笑)

 といったどうでもいいメリット(?)を超えて、古くから少数ながら根強い左ハンドルファンが存在する理由だと自分は思っています。
 同時に、車を大事にする気持ち、外車が「財産」だった頃の気分を表しているようにも思います。ところで
rs_20130929105223029.png
道路清掃車
をご存知でしょうか。業務上あの巨体を道路の両脇ギリギリに寄せなければならない道路清掃車。実はあの車両にはハンドルがふたつ左右にあるのです。左ハンドルの寄せ易さを端的に物語る事例でしょう。

 そしてスポーツドライビングに際してもうひとつ。
 ある意味前述の寄せ易さと同義なのですが

 左コーナーは非常に攻めやすい

 ということがあります。低く座る車で左イン側のガードレールに自分の左肩を擦りつけるように走りぬける感覚は、車体をリーンさせるバイクにも似て、とってもエクサイティング!もしガードレールが左肩から離れていったらアンダーステア・・・といった具合に非常に直感的な運転が楽しめるのです。
 とメリットはこのくらいにしてデメリットは、というと・・・まず

 乗降性の悪さ

 が挙がります。寄せ易さをいいことに思い切り寄せると・・・ドアが開かない、降りられない(=そのスペースがない)ということになります。
tr.png 348.png
テスタロッサや348
といったサイドラジエーターのフェラーリはドア自体の厚みが30㎝近く
d_2013092910520209c.png
美しく降りようとするとガードレールから1m近く離れて停めなければなりません。ちなみに全幅も2mと路駐には都合3mのスペースが必要で、
「ちょっと街乗りはできねえなあ」
と感じました。実際

 エレガントに降りられない

との理由で左ハンドルを敬遠する女性ドライバーもいるはずです。ちなみに助手席オンリーの妻は、特に和服の時美しく降りられる!と左ハンドル肯定派です。
 デメリットの話に戻しましょう。次なるデメリットは

 追い越し&右折時の視界、見通しの悪さ

 です。対向車が見えない、ということですね。追い越しの際、対向車を確認するため、いくらオフセット衝突が怖くない左ハンドルとはいえホントに衝突しそうなくらい(笑)対向車線にはみ出さなければならないのでした。これは右折時も同じです。矢印信号が出る前に「様子を見ながら」ささっと右折する、なんて芸当は相当難しいです。
 と、こんなところだと思います。結論に向かいましょう。自分としては結構左ハンドルに肩入れして書いたつもりでしたがどう感じられたでしょうか。
 ところで、3段階評価でオール2と3と1が混じって平均が2、どちらが好きですか?自分は後者です。たとえ大きなマイナスがあってもそれを上回るプラスがある方が魅力があると思いませんか?
 左ハンドルのメリットは右ハンドルでは経験し得ない素晴らしいもの、デメリットを超える魅力があると自分は思います。左ハンの美点だけ見れば右ハンなんて左右均等に
「どっちも曲がりにくいだけじゃねえか!」
と思います(笑)
 でも・・・大事なフェラーリをガードレールから3mの所に停めて車から離れるのは勇気が要ります。それらを踏まえると・・・

 車幅が狭い(=5ナンバー)という条件付きで左ハンドルがベター!

 としておきましょう。
 異論反論お待ちしております。既に絶版ですが
こんな本がありました。
 著者は元運転手、文章はちょっとゴツゴツして読みにくいのですが、本稿に最期までお付き合い頂けた方なら(笑)楽しめると思います。 

 トップ画像は左ハンドルのMaserati Birdcage(←バードゲージじゃなく
鳥籠「ケージ」です、お間違えなきよう・・・)
 ラグナセカでのショット、自信作です。
  
スポンサーサイト
  1. 2013/09/27(金) 20:55:07|
  2. Book
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

2-10)Opposite steering?

j.jpg 
(飯山ジャンプ台にて在りし日のB)

・・・と、時たま引っ張り出して楽しむには充分な(か?)状態となった我らが1750白アルファ。
   1750gtv.png
 1/3オーナーとしてもまあ満足していたのも束の間・・・人の欲とは尽きないもので、その満足を揺るがす魅力的オファーが再び今市から届けられたのでした。
「俺らの白GTVなんだけど、黄色いMGBと交換しない?」
と山本氏。
「あの、ぼんぼり号を?」
「追金は?」
「なし。」
「おお!」
「えっ?ずっと新しい、それもオープンでしょ、いいの?」
「そうそう。あれに比べりゃ新車みたいなもんだよ(笑)ホントにいいの?」
「うん(笑)向こうも、
 こんなブラックバンパーがアルファロメオに変わるんだったらって・・・」
mgb
かくして、当時まだその表現はなかった
「Win Winの関係」
で麗しくも追金なし、本当のバーター取り引きが成立したのでした。そう、あのMGBは 「とりかえっこ」 で川崎にやってきたのです。それまで自分
x-1-9
タルガトップ
の経験はあったもののトラッドなロードスターは初めて、一度は・・・と思っていたので、単純に嬉しかったです。
 ちなみにここで言うトラッドとはTraditional 即ち伝統的の意ですが
「幌を下ろした状態が標準の・・・」
との意味合いで使ってます。ロードスターといえば当時既に
NA.png
ユーノス・ロードスター
は世に在り、仲間うちでも2台保有、当然乗ったこともありました。その文句のつけようがない完成度に感服しつつも、唯一気に入らなかった点が幌を上げた時を標準と考えているフシがあることでした。それは主にウィンドシールドの高さに現れているように思います。ユーノスの窓はやや高過ぎるのです。とは言ってもスタイリング上、破綻は全くありません。
昔のフェアレディとは大違い
2000.png  2001.png
(対米ヘッドルーム対策で無様な縦長ウィンドシールドに)
 その上良好な視界と適度なヘッドルームまで確保しているとなれば、スタイリスト氏(一説にはピニンファリーナJr.?)の仕事は賞賛はされても批判には当たらないでしょう。しかしその十二分に確保された快適性ゆえ
「幌を下ろす気がなくなる」
のも事実なのです。
 MGBの幌を上げてみましょう。いきなりまっ暗になった室内とオープン時には気付かなかった窓の低さに驚くはずです。まるで昔の
F1ヘルメット(J・ハント!
hunt.png
この手のをバイクで使ったら・・・ホントに信号見えません)
のような劣悪な上下視野と閉所感。
w.png
縦横比が極端に横長な窓ゆえワイパーは短いものが3本。
 窓枠越しに見えていた信号機は全く見えなくなり、それまでその存在は大して気にならなかったルームミラーは突如として眼前に迫り、視界を遮ります。わざと不便に作ったわけではないでしょうが、トップを立てたMGBには
「一刻も早く幌を下ろしたい!」
と感じさせる要因に満ちているのです。恐らくBに
ワイドミラー
TS3Q0166_20130922091059eb7.jpg
(年代もんのアルバート、知る人ぞ知る名品なんだそうで・・・)
を付けている人はいないでしょうが、Bには屋根&ハッチ付きのクーペ版
bgt.png  E.png      
MG B GT          (プアマンズEタイプを狙った?)
があります。こっちは乗用車なので窓は高く、これならワイドミラーはありでしょう。ユーノスもちょうどこれくらいの高さでしょうか。この高さこそがユーノスにワイドミラーを付けた車が多いことと、だんだん幌を下ろさなってくる理由なのです。またこのBGTの窓をBに着けたら?・・・フェアレディと同じ運命でしょう(笑)・・・ロードスター談義はこれくらいにして自分たちの車の話に戻しましょう。

 白い1750「ぼんぼり号」は気に入っていたとはいえRHDコンヴァージョンゆえの瑕疵(=ブレーキ、前稿参照)に不満があったのは事実です。同様の不安がLHDBにもありました。
「何か思いもよらぬ不備不具合があるのでは・・・?」
しかしBは対米輸出がメインの車、
「ちゃんと手は打ってあるだろう・・・!」
と半ば自分にいい聞かせるようにして待ち構えておりました。そして乗ってみると・・・ちゃんとしてました!
 LHDゆえの弱点は見当たらず、不安は杞憂に終わりました。実際MGBは、スカットル、Fバルクヘッドは完全に左右対象!

imaiti.jpg
(他車で確認)
 さすが対米メインの車、と感服しました。しかし!それもあくまでノーマルで、古くなる前までの話でした。まず2-6) 追憶のMG B 稿参照の通りツインキャブにしたところ、単キャブならかわせていたブレーキマスターとのクリアランスがなくパワーフィルターといった汎用エアクリーナすら付かない!
 しかしこれには対策品がありました。非常にスリムでも、いかにも旧式な金属製で、濾過吸気効率には疑問符が付きそうな製品でしたがそれを着けました。
 そして車全体が古くなりエンジン・マウントのゴムも
へたってくると・・・エンジン全体の位置が下がり、ステアリングシャフトとエンジンが揺動時に干渉するようになってきました。手に直接振動が伝わるので非常に不快です。まあ、さっさとマウントを替えれば問題ないのですが()
TS3Q0160_20130812150646ae6.jpg
 ・・・とまあほとんど言いがかりのようなBLHD瑕疵2点加えてアルファRHDの経験、偶然ですが双方とも本国仕様とは逆のハンドル位置です。アルファはともかくそこに最大限配慮されたであろうBでさえ若干とはいえ問題があったわけで・・・この貴重な経験から自分が得た結論は
「本国仕様がいちばん!」
でした。イタリア車ならLHD、英車ならRHD、その車が生まれた国に準拠した、設計された原初のかたちがいちばんというのはある意味当然の帰結ではあります。
 ところが!
 21世紀になったというのに我が国では依然としてLHDの欧州車はほとんど正規輸入されず、数少ない欧州車ファンは、本来とは異なるしかも依然として何らかの瑕疵を持ったRHDで我慢させられている現状には悲しみすら感じます。
 右ハンのイタ車なんて
「納豆スパゲッティ」
みたいなもんです。ペペロンチーノのようなシンプル
でたとえ質素でも、現地の人々が普通に、当たり前に食べているものをそのままのかたちで味わいたい、というのは贅沢なのでしょうか・・・?

 カウンターステアならぬ「逆ハンドル」の話でした。 
  1. 2013/09/16(月) 21:49:34|
  2. Old Car
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

2-9) 追憶のAlfaRomeo1750GTV:その3

 
茨城1750 014 
(RHD車の足元)
 連続でアルファGTVを誉め殺してきたので(笑)弱点にも触れましょう。

 まずステアリング。特に確実さに欠けるということはないものの、鋭敏でも繊細でもありません。豪胆な(?)ステアリングですね(笑)
 そして最大の弱点といえるのが、ブレーキなのです。効きが悪いのではなく感触が悪い。オーバーサーボ気味なのは我慢としても、とにかくタッチがDeadなのです。ただしこれは伊藤忠ものに限ってのことかもしれません。というのもRHD化に伴い、右に移設したのはペダルのみ、あとはマスターバックからブレーキパイプ、床下のその「分岐」までLHDのまま、タッチの悪さはすべてそこに起因するらしいのです。
 残念ながら自分は本国仕様を触ったことがないので断言できませんが、ブレーキ系の取り回しが変、というか「遠回り」なのは間違いありません。実際同型車を何台も知る山本氏曰わく
「これはねえ、エアが抜ききれないんだよ・・・」
英誌でも、もちろんRHDで
「どこかが正しくないのだろう・・・」
なる記述を読んで意を強くしました。加えてもう一つ、
 純正シートのフカフカし過ぎ、です。
gs.png  gtc.png
 原初のジュリアはかのジウジアーロ御大が美しくも軽快なクーペになんとか4人乗れる実用性を盛り込んだ車。その「上級車種」たる1750にはかなり豪華な、スポーティーとは言い難いシートが設えられていました。そのぶ厚いシートの「クッションストローク」分ドライバーが揺すられ、その揺動が右足からスロットルペダルに伝わりスロットルレスポンスの良さも手伝って度々カーノック(=ガクガクガク・・・)状態になってしまうのでした。
 ウェバーのリターンスプリングをいじって(=軽くして)ある車だけかもしれませんが厄介な不具合ではありました。しかしこれはシートを
st.png
コルビュー
だったかバケットシートに交換しただけで解決しました。「固有振動数」の問題だったということですね。またこのシート、冬場の防寒にもなりました(笑)
 
 「スポーツカーとして」の弱点は以上です。大した数ではありませんねえ。あとは「自動車」としての弱点・・・こっちはたくさんあります(笑)まあベンチレーションとかの快適性を除けば(?!)やはり車体関係について触れない訳にはいきません。

 まず、ボディ外板の合わせ目、いわゆる「チリ」はどうとでもなる(!)として、その下のモノコック自体の寸法精度に疑念が生まれた事例・・・前述のシート交換の際発見したことです。
 普通はフロア側のシート取り付け点はナットが溶接あるいはボスが予め用意されているものですが、この車は「もなか状」部材が板ナットを内包して溶接されていました。もなか構造の内側でナットを各方向数ミリ動かせる状態。シート固定部の寸法誤差をその遊びで吸収する構造になっていました。
 前述の「豪華な」シート・フレームの製作寸法精度に自信がないのか、あるいはフロア(=モノコック)自体の寸法が怪しいのか・・・?いずれにせよ日本車では考えられない、後付け手作業溶接シートマウントではありました。
「車体全体もそうなのか?」
そう考えると、Rアクスル・マウントの「ソロバン玉」や調製式Fアッパーアーム(←いずれも前稿参照)は、その寸法誤差を折り込み済みなのか?と勘繰ってしまいます。
 たとえボディ全体が歪んでいても、R固定軸中心と前輪左右の前後位置が決まれば車は真っ直ぐ走る(=4輪が整列する)。生産性を考えれば常にその調整が行われていたとは思いませんが、その可能性を盛り込んだ設計だったのは間違いないと思います。
 以上から導かれるのは前述「ソロバン玉」の重要性です。後輪の位置決め、サイドフォース(=コーナリングおよびロールモーメント)受け止め、駆動力の伝達(後輪→車体)と前後左右全方向への自重と駆動力の反力を受け止めつつ路面からの微振動をも吸収しているわけです。なるほどあれだけの容量が与えられ、なおかつ傷む理由が判ります。さすればワークス・レースショップ
atd.png
アウトデルタ
による「ソロバン玉」に替わる、レース専用アクスルマウント 通称 
kani.png  
「カニバサミ」
 の凝った形状とその大きさ、も頷けるものがあります。

・・・と、以上がその車体構成についていわば先天的なものについてでした。続いてその車体の、後天的変化(笑)・・・錆びについてです。

 いっときお世話になった「ポルシェ板金の神様」曰わくイタ車は
「鉄(の質)が悪い!」
言下に、あまり請けたくない仕事ってことのようでした。思いのほか手間がかかって(=高額請求になって)しまう場合が多々あるのでしょう。本国では防錆処理という概念がなかった(!)ようで、加えて日本の気候も合わず、70年代(まで)のイタ車は本当に錆びます。確かに材質を疑いたくなる酷さです。どうしてここまで?と思えるくらい「爆ぜるように」グサグサになります。
 苦労してパテを剥がしたところその下の鉄板に、そのパテをのせた時にはなかったであろう錆びが一面に・・・!なんて事例も知っています。

 GTVの床には左右に水抜きとは思えない、大きなグロメット付きの丸穴があるのですがこの車、錆びで穴が大径化(笑)グロメットがはまらない状態になっていました。なんとかせねば・・・と補修することに。今回は川崎の車庫でも不自由なく作業できるFRP貼りです。
「一生乗る!」
のであればきちっと鉄板切り継ぎ板金しなければなりません。さもないと、特にFRP貼りはかえって症状を悪化させてしまう場合があるからです。
 何らかの理由で部分的にでも、鉄板とFRP樹脂の剥離が起きると、前述の「パテ下」と同じことになってしまうでしょう(=僅かな隙間に水分が浸透、いつまでも乾かない・・・)作業の入念さで随分違うのですが。今回は作業工程(=時間)コストパフォーマンスでFRP補修を選択、穴も埋めてしまうことにしました。

 まず床上の防振アスファルト剥がしです。鉄板の地肌を出します。ほとんど山本氏にやっていただきました。自分も遅れて合流したのですが「見てる間に」終わってしまいました。スクレーパーによる手作業です。自分だったら「疲れた」「休憩」とか言って全然進まなかったはずですが(笑)氏は黙々と地道に、かつ速い!
 素人の趣味とは違うプロの仕事、見せていただきました。
 その後FRPマットの切り出し、樹脂の調合、張り込みまでは氏の独擅場。自分はローラー掛けだけちょこっと参加させて頂きました(笑)
 硬化を待って翌週、黒を吹いて完成。今回は防音防振のゴム系塗料は敢えて使わず、さっぱりと仕上げました。以後カーペットはもちろんフロアマットもなしで乗ることとなりました。

 ピーカンのある日、まるで誰かが自分の足元に鏡を向けているように、床の一部分がなぜか明るい!走行中です、そんなことする奴もできるはずもない。???
 よーく見ると、その「明かり」は件の床の穴の形、いびつな丸。路面からの照り返しが黒く塗ったFRPを透過し、丸形をぼんやり明るく映し出していたのでした。
「こりゃあまるで、ぼんぼりだな・・・」(苦笑)
bbr.png 1750gtv.png
以来この車「ぼんぼりアルファ」と呼ばれたとか、呼ばれなかったとか・・・。
 
  1. 2013/09/15(日) 10:39:16|
  2. Illustration&Work
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

2-8) 追憶のAlfaRomeo1750GTV:その2

穣 - コピー
(秘蔵のDe Rosa AifaRomeoジャージを着て・・・)
 「内燃機関雑談」に脱線したまま終わってしまった前稿(笑)
 アルファ1750GTVの話に戻しましょう。

 実車、足まわりはというと・・・車高はほぼ水平に下がってましたが、その方法にちと問題がありました。フロント、バネを切ってあるのですが車高が下がり過ぎてしまったのでしょうか、切り取ったバネの一部、それもバネとして効いていないエンド部分
バネ
(別のバネですが、黄色部分はバネとして機能していない)
を溶接、付け直してありました。バネの受け皿部分との兼ね合いを意識したのかもしれませんが、いずれにせよバネのエンドの、死んでる巻数がふた巻もあるのはいただけません。でも、替わりのバネもなかったのでそのまま組み戻しましたが・・・。
   
 フロントのアッパーアームのトレーリング側は長さ調整可能、キャスターをいじることができるのですが、この車にもその痕跡があり、アルファ本来のアライメント、その味付けは味わえなかったことになります。
 タイアはほんとのあり合わせ、
rt.png 
ブロックパターンのラリータイア(!)
あるいは山はあるもののかちかちに硬化した
p6.png
ピレッリP6
なんてのを履かせていたので実際のところ、ハンドリング云々言える状態ではありませんでした。ただジュリア系のRサスペンションでよく聞く「横揺れ」は気になりませんでした。R固定軸の位置決めを担う巨大な
sb.png 
「ソロバンのタマ」
その劣化に起因する現象ですが、この車には手が入っていたのでしょう。

 そしてGTV系といえば昔雑誌で見た、 リアを沈め、鼻は上がり気味、
am.png am6.png
大きくロールし、内側前輪を浮かしながら・・・のお馴染みの姿勢には
am3.png
ちゃんとなります!
 それが味わえただけで満足、という感じでした。 実際
「少々大回りでもいい、運転手がなんとかするからとにかく蹴ってくれ!」
って感じの車でした。足りないトラクション、その確保が第一義で、ターンインの鼻の入り具合なんか気にするなって感じの仕立てにならざるを得ない車だと思います。
 そういう意味で速く走らせるにはLSDは必須。姿勢も、少々格好悪くても「後下がり」にせざる得ないでしょう。
 いずれにせよ操縦性においては「旋回」「脱出」に妙味のある車、「侵入」は比べればいまいち、ピキピキっとした運動性は期待できないように思います。某「巨匠」評論家の言
「アルファは今も昔もなまくら・・・」
とは当たらずとも遠からじ、でしょうか。

 この車当然クーラーなし、夏は乗らない仕様でした。付けることも可能でしたがその場合コンプレッサーは、カムチェーン・ケース中腹から突き出させた「ツノ」に全てを載っけるかたちで、美しくないばかりか負担も見えるので止めました。だいいちヒーターブロワーすら壊れている車です(笑)このブロワー、結局修理しませんでした。では、寒い冬は?というと・・・助手席で震える同乗者に
「ちょっと待ってろ。しばらくすれば床全体があったまってくるから・・・」
とたびたび言っていたくらいです(笑)

 ある夜、新横浜駅あたりをバンドメンバーと走行中のことです。近辺は大掛かりな舗装工事中で、いたるところにマンホールがまるで
火山
火山
のように突き出していました。そしてその一つが結構な勢いで
op - コピー   
エンジン下、オイルパン
にヒット!車体全体が一瞬持ち上がったくらい、でした。
「やべっ!割れたか?」
思う間もなく突然作動し始める電磁ポンプ! カチカチカチ・・・始動時なみのピッチが続き、にわかに強烈なガソリン臭も漂ってきました。
「こ、これは漏ってる、いや撒いてる?火が出っかも!?」
すぐさまエンジンを切り、惰行で車を道端に寄せます。車を降りフードを開け暗い中(←ポンプが動いてしまうためキーONできない)チェックすると・・・
 燃料ホースが破れてガソリンダダ漏れ(!)でした。経年変化で硬化したホースが急激なエンジン全体の揺動で「割れて」しまったのが原因でした。
 そうと判れば車を置いて帰るほかありません。電車でえっちらおっちら帰り、自宅の軽自動車のエンジンルームから適当なホースを分捕り(!)バンドメンバーの車で現場に戻ります。
 ちゃっちゃとホースを差し替え、日付が変わらないうちに帰ることができました。翌朝、再チェックすると・・・
 適当なホースは耐ガソリン性がなく、ホース全体が膨らんでいました(!)
オイルパンには打痕がありましたがクラックはなし。もちろんホースは正しいものに交換しました。まあ無事でよかった・・・という話でした。

 ミッションについてもお話ししましょう。悪意ある向きは
「トラックのような」
と揶揄する長いシフトレバーですが、特にストロークが長いでもなく、シフトの重さをレバー比で稼いでいるでもなく、
茨城1750 003
「ステアリングから遠くないシフトノブ」
の実現のためそうなっていると感じます。またゲートの確実性といった面でも、直下にあるギアクラスターを自分で動かしている実感のある、ポジティブなミッションと思います。
 ただしNから1速へは慌てるとカリン!と車の「舌打ち」を聞くことになります。そこは焦らずそれこそ「冷えたバターに熱いナイフ」でジワリと入れて下さい。どうしても急ぐなら、一度2速を舐めてから、です。
 この、自分でギアの噛み合いを動かしている実感、これこそ現代の車が失ったもの(≒喜び)の筆頭ではないでしょうか?
 ダブルクラッチでシフトダウン、回転がばっちり合って
「吸い込まれるように」(=予測されたショックや抵抗感が全くなく)
入るシフトレバー、このぞくぞくするよな達成感を知らずにスポーツドライビングを語ることなかれ。
 ほとんどの車が横置きのFWDになってしまった今日、シフトリンク取り回しの自由度や静粛性、制振性のメリットのため、ロッドではない、自転車並み(!)の「ワイア・シフト」の車が増えました。いわゆる「オトシン」が優れている分、その感触も遮断されてしまうことになります。
 かくして、シフトレバーはタッチを楽しむべきデバイスから単なる切替スイッチに成り下がったのでした。
 初のミドシップKスポーツが出た時のことです。
hb.png
 そのカタログにはシフトストロークの短さを誇ると共にそれがさもスポーツである・・・といった記述がありました。後日実車に乗ってみると、確かにそのシフトは短いストロークでスパスパ入るものの、感触が全くない!
「さてはこの若い設計者氏、本物のスポーツカーに触れたことがないな・・・」
などと感じたものです。実際に新しいワイア・シフトの評価をベテランに委ねたところ、芳しい声は聞けず思わず漏れた言葉が
「これでもダメですか」
・・・という逸話もあります。ほとんどの車がATになった昨今、まあ
「シフトタッチ音痴」
が増えるのも致し方ないのかもしれませんね。

 F1におけるトラクションコントロールをはじめとするハイテク・ドライバーエイド。そのため「当てる」機会のなくなった・・・
  uk.png cs.png
                        カウンターステア を
「もはや伝統芸能と化した・・・」
と言ったのは現役時代の片山右京
tuk.png
(今や自転車プロチーム・オーナー)
ですが、重要なシフトテクニックである
ダブルクラッチ

(こんな映画もありました)
もその伝統芸能ぶりは、似たようなものでしょう(笑)
日本人チームが
panoz.png
パノス
でルマンに行った時のことです。同車のアキレス腱、ミッションを保たせるため全員が努力していたレース中
「ミッションに負担をかけないシフトの方法を見つけた!」
と言っていたドライバーがいました。
「プロでそのレベルかよ・・・」
と思ったものです。速さはともかく(笑)自分、シフトのスムーズさにはちと自信があります。もちろん慣れた車限定ですが(笑)ダブルクラッチも常用します!その頻繁なクラッチワークの代償として
007.jpg
 自車
11万キロ走行時クラッチペダルが折れましたが(T_T) [2-8) 追憶のAlfaRomeo1750GTV:その2]の続きを読む
  1. 2013/09/06(金) 23:34:58|
  2. Illustration&Work
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

2-7) 追憶のAlfaRomeo1750GTV

gtv_201309011253096da.jpg 
(恒例「お正月ラリー」にて)   
 1750gtv.png 178.png
以前アップした、外側を 「デカ目」 にしたアルファ1750GTV。
この車も自分たちのかつての愛車でした。
3nin.jpg
仲間うちでの共同所有、実はこの車から始まったのです。
前稿MGB同様、ブガティック在籍中だった山本氏
imaiti.jpg 
(これは別のB解体現場・・・)
がそのツテから話を持ってきた「出物」でした。氏曰わく
「状態はそんなによくないんだけども・・・手が入ってる所は分かってるし、
 エンジンが良くて、このまま流しちゃうのはちょっともったいないので・・・
 どう、一口乗らない?」
訊けば非常にリーズナブルな二桁万円!それをTちゃん(=A氏)と3人で頭割りすりゃ・・・!
 当時も今も貧乏な自分ですが(苦笑)そんな状況の中でも熱いエンスー魂で、当時所有していたNW(=Need Work)コンディションの国産某車
Cus10003.jpg
(結構入れ込んでました)
を直しつつチューニングも施し、半人前のスポーティーカーを本物のスポーツカーにするのだ!と鼻息も荒く、そのための「レストア貯金」細々と続けておりました(笑) ほんの数秒、逡巡の後その資金の流用を決意!
「うん乗った!」
即答した自分がそこにおりました。その逡巡の中身とは・・・
 あの車、直さにゃならんけど、既に手元にある車は逃げやしない。それに今すぐ直さんでもいいだろうし。しかし!アルファのGTVに、それもそこそこちゃんとした(?)出処のはっきりしたヤツに、しかも安く乗れるチャンスは二度と来ないかもしれない・・・いや、二度と来ないだろう!やっぱり「外車の名車」には一度乗ってみたいし。そう、幸運の女神に後ろ髪はないのだ!
 てな訳で、晴れて白い伊藤忠もの(←ポイントの一つでした)RHDのGTVが川崎のガレージにやってきました。状態は・・・
 外装はオリジナルペイントに塗り重ねられた白、結構やれてます。とりあえず「かさぶた」は見当たらないものの各部に相当パテが入っているのは見て取れました。 床は酷い状態のようでしたが、怖くて(!)見ませんでした(笑)
 内装は純正シートに、ジュリアとは異なるランボルギーニ・ミウラにも似た
茨城1750 003 
(スタイリストは同じ?)
ダッシュボード中央にはお約束の割れ、ノンオリジナルの3点式ロールバーが付いていて、そのセンターはRパーセルシェルフに無理やり穴を開け貫通、トランクフロアに締結されていました。ほかには、燃料計とヒーターブロワーが不動、オーディオレス・・・といったところでした。
 さて山本氏の誉めるエンジンは、というと・・・これが本当に素晴らしいフィーリング!外観上はノーマルのウェバーツインのダイレクトファンネル仕様
af.png 
(曲げベルマウス+金網)
でしたが、中身がちゃんとしている実感のある「充実」振り!トルクはもちろん機械的クリアランスも詰まった感じです。吹け上がりも素晴らしく、軽量フライホイールが効いているようです。さりとて発進に気難しさもなく、始動も確実でした。音もまた素晴らしい。セルを回すと薄いフライホイールのチキチキ音の後轟然と始動!経年変化か消音効果の薄れたマフラーからは野太くも濁りのない澄んだ排気音を盛大に吐き出し、加えて勇ましい吸気音。それらが渾然一体となった音と吹けの良さは、空ぶかしするだけで
「買ってよかった」
と思えるほどでした。 ちなみにこのエンジンを組んだのは山本氏の知人で、そのメカ氏
「これはうまくいった」
と言っていたそうです。
「2000はトルクもりもりで、というよりトルクあり過ぎで
 アルファのスポーティーイメージと合わない・・・」
という話を聞いたことがありますが、その通りかもしれません。敢えていいます、アルファの4発は1750がベストです!
 ややこじつけっぽいですが・・・自動車工学的裏付けもあります。シリンダーボアと燃焼速度の関係です。
 CDI登場以前の旧世代イグニッションシステムの着火能力とその火炎伝播速度では、ボアφ90mm近くになると 「燃え残り」が発生してしまうようなのです。よくチューニングカーの世界で言われた
「気筒当り500㏄、ボア90mmがブン回すエンジンの限界・・・」
は同じことをいっています。即ち燃焼室の径が大き過ぎる
(=プラグ-ピストン外縁間が遠い)と混合気が燃えきる前にピストンが下がりはじめてしまい燃え残り(=カーボン)が発生、その分だけトルクも出ない、しかもそれは高回転時に起こる・・・ということなのです。  ちなみにレースの世界で永く使われた名機、
BMW M12/7
TS3Q0161_201309011256225eb.jpg TS3Q0160_201309011256201e4.jpg
(長谷見選手使用済ピストン、MAHLE製の本物=我家の来客用灰皿)
はボア88mmでした。

 その昔(=SR登場以前)2輪誌で「ビッグシングル」XT500をボアアップする記事がありました。ノーマルでボア87mmもあるXTです。そのボアアップ用の、より大きいピストンとして当時最大の4気筒、三菱デボネア・エグゼクティブ(=2600)の91.1mmのものを加工流用し、547㏄としていました。このXT、「元気よく」走っていてもバラしてみるとピストン外周部にカーボンがあったそうです。
 同じく2輪の例で、昔の単気筒GPレーサーは500、350、250の各クラス向けに、同排気量内で最適なボア・ストロークの組み合わせを探るトライが各チューナーによって精力的に行われておりました。そこから得られた「一般解」とは・・・
 ボア・ストロークはやはりスクエアが基本(500なら86mm)。なぜなら相手は爆発する気体。当然球体に近いほど耐圧性が良いのは
tank.png
ガスタンク
を見ればお判り頂けるでしょう。それゆえのスクエアなのです(ストロークは短ければ好回転型、長ければトルク型に)。そして500の方がパワーはあり当然速いが350の方がより高回転までストレスなく(振動面でも)回せるので比出力は高い・・・といったものでした。
 350は76mmスクエアです。この500と350の中間の数値81mm辺りに旧世代の内燃機のボア最適解、マジックナンバーが隠れているようなのです。そして1750のボアは80mm(2000は84.5)なのです。
 そして現在はというと、スーパー&ハイパーカー・リーグが軽く400馬力オーバー、500に届こうかという驚くべき争いへとエスカレートした昨今、BMWはあっさり伝統の6気筒を捨てV8にスイッチしてしまいました。3リッター(=500cc×6)それも同社こだわりの(アルピナへの意地の?)NAで、安定した400馬力は厳しいものがあるのでしょう。同様に、いくら大排気量を求めてといっても、4気筒を二つお尻にぶら下げる訳にはいかない(!)ポルシェは遂に4リッター、ボア102.7mmに!その仕立てには結構な苦労をしているはずです。
 綺麗に燃やしつつブン回わさなきゃならない高性能エンジンにおいてピストンのサイズとはかくも重要なことなのです。
 ビッグボアに限らず「燃え残り」対策としては燃焼速度を上げる、のが最も近道なのですがその実現のため、特にハイテクを用いず既存の技術のみで可能、最も古典的な方法が
tp.png 
ツインプラグ化
です。アルファやアバルト、ポルシェ等に例があります。
その具体的方法は二つあり、まずは
12.jpg
従来の倍の数のコードを持ったデスビ
に換える。もう一つが、デスビをもう一本増設、コイル
mm.png 
(’76年頃市販されてました)
も追加、全てを倍設える、というものです。ディーノ206のように予めもう一本分のデスビの取り出しが用意されている(!)なんてのは例外中の例外でしょう。当時はまだ純レーシングモデルでも2バルブが一般的で、燃焼室側の加工は従来のプラグホールの、バルブを挟んだ反対側に
tp2.png
もうひとつ穴を開ける
だけなので難しくはないはずです。ただポルシェの場合
ptp.png  
追加分はエンジンの下側(!)
になってしまうのでメンテは厄介にはなります。
simca_20130901125449978.jpg 
アバルト・シムカ
だったかのツインプラグエンジンのレストアで、オリジナルの8本コード・デスビが使い物にならず、部品の手配をしようにもそんなもの、世界中どこにもない!・・・窮余の策としてアルファGTAのものを取り寄せたら・・・逆回転だった(!)という笑えない話を聞いたことがあります。そういえば旧いクライスラーにもデスビ回転の正逆があったそうな。
 ツインプラグといえば、日産にもありました。Z型です。設計者はルマンカーで有名な林先生、当時誰も着目していなかった燃焼速度を、速い方が良いに決まっている!とそれを追求した結果生まれたエンジンなのだそうで
「排ガス対策用に開発したわけではなく、たまたま時期が重なっただけ、
 エンジンの基本は同じ・・・」
とは先生の言葉です。 ちなみに先生曰くターボチャージド・エンジンとは
「濃い大気の中で回るNAエンジン」
なのだそうです。
・・・と、内燃機関の話に脱線しっ放しですが、長くなったのでこの辺で。
[2-7) 追憶のAlfaRomeo1750GTV]の続きを読む
  1. 2013/09/01(日) 13:49:10|
  2. Illustration&Work
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0