9-0)食彩堂

 
(available@食彩堂)
 ということで2013年もあと僅か。今年からはじめた当ブログも今回で第53稿、ここらへんでようやく食べ物の話に行きましょう。
 
 行きつけのお店のご紹介です。
 今から十数年前、自分が東京大田区から神奈川逗子に越してきて間もない頃「新しい地元」の飲食店探し、で確か3軒目に入ったのがこちら
食彩堂
 でした。京急新逗子駅(=その昔の「逗子海岸駅」)ホーム中ほど、通りを挟んで向かい側、対向一車線道路に面した半地下のお店、テーブル5卓(だったと・・・)とカウンターのこじんまりしたお店です。
 ここへ来て黙ってテーブルに座り美味しくリーズナブルな料理を味わい満足して帰ったとしても、それではこの店の魅力は半分しか味わったことになりません。
 テーブルではなくカウンターに座りシェフの手際と自分の頼んだ料理の出来上がってゆく様を眺めつつ杯を傾け、そしてそのシェフとの会話を楽しむ。それが食彩堂スタイルだと思っています。
chef_cook_fly.jpg
オーナーシェフの小島氏
 は葉山の超有名フレンチLMDC屋にいた人物。腕前はもちろん喋りもいける、打てば響く人です。料理についても気さくに答えてくれます。自分のように料理に興味がある者にとっては見て聞いて味わえる、得難い店と言えます。特に料理に興味なくともその魅力は変わらないと思いますが。
 メニュー構成は元フレンチということで想像される濃厚な凝った料理というよりさらっとした「食堂」風、全体にライトテイストかつ無国籍です。そのカウンターでの会話の中でかつて氏が語っていたことですが・・・葉山時代
「こんなバターやクリームたっぷりのソース毎日何十回も、味見してるだけでも身体に悪い・・・」
と思ったそうで(笑)それはメニューに反映されていると思います。もちろんその場で調理している訳ですから、好みに応じた調整も自在です。
 実際作る側からいうと、普通お客さんの好みはオーダー(注文した料理)から類推するほかはないもの(例えばご飯と一緒の注文で飲んでいないなら、おかず風の味つけにする、とか)ですが事前に会話があればそこから好み(≒苦手なもの)や希望を知ることができ万人受けのために普通はできない、攻めた(=一歩踏み込んだ)味付けも・・・なんてこともあるかと思います。実際自分も初めて来たとき直に好みを伝え、その通りにしてもらったことが今日に繋がっているのです。

 そして小島シェフ、クルマもバイクも結構なマニアです。
 そっち方面の話題も十二分にイケます。詳しくはご本人に伺って頂くとして・・・そのマニアックぶりをよいことに食彩堂店内に自分の作品、置かせて頂いてます(笑)その展示品、最近トップ画像(と同様)のものに替えさせて頂きました。
 以前アップしたアバルト・シムカ、それを完全手漉き(!)の土佐和紙に転写したものです。
 素材は手漉きならではの周りがぎざぎざというかいびつな、非常に厚い和紙です。実際そのままタペストリー化できるくらいの丈夫さもあります。この周囲漉きっ放し感を活かすためマットは使わない額装、即ち圧着されるようベース板厚調整だけで済むところが魅力です。額も選びません。
 これを手配して貰った会社と、この土佐和紙を使ったパターンで自分の作品をシリーズ化(!)という夢のような話があったのですが・・・その紙漉き職人さんが高齢のため廃業、商品化は頓挫・・・となりました(泣)
 サンプル品として製作した作品何種類か(各2枚づつ)
2754.jpg 
(周囲のいびつさに注目。1枚として同じものはありません)
が手元にあるだけです。もちろん販売可、です。ご興味ある向きはとりあえず食彩堂へ!

スポンサーサイト
  1. 2013/12/29(日) 14:11:25|
  2. Gourmet
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:0

8-2)ステアリングの話:つづき

かっこいい
(For Sale!前稿参照)
 エアバッグの標準化で自動車カスタムのいちジャンル「ステアリング交換」はすっかり廃れてしまいました(代わってハンドルカバーなんてしょうもないもんが復権しているようです・・・)がステアリングの話、続けたいと思います。
 昔はスピードショップに何十本もぶら下がっていたものですが、自分が最初に買ったスポーツステアリングは小径12インチの革巻き、シルバーの
ml6.jpg
Moto-Lita。
当時の愛車フロンテクーペ用に青山ピットインで買いました。
Cus10003.jpg
選んだ理由は専らスタイリング!大きいホーンボタンにやられました。
ml3.jpg  fc.jpg 
(これは別の黒スポーク版)   (ピンボケですが・・・これしか・・・)

今思えば当時入れ込んでいたポルシェターボ(笑)
930.jpg p1.jpg
(↑ ちょっと似てる、でしょ?)
 のイメージもあったのかもしれません。MomoやNardiではないマイナーブランドってところもよかったです。逆に英国製!なんてこだわりは全くありませんでした。フロンテクーペ用モトリタ・ボスなんてものはあるはずもなく(笑)当然アダプター使用です。
太いリム、ソフトな握り心地とスポーク部分から、
ml7.jpg
巻き込んであるパッドが覗ける(!)
 といった「手造り感」が魅力でした。
 いっときモトリタの偽物が出まわったことがあります。見た目はそっくりでしたが感触はまるで違い、外周のエッジもなく円断面・・・と一度でも経験があれば直ぐに看破できる代物でした。
「やっぱり本物には触れとかねえと・・・」
と思ったものです。

 自分が出会ったレアなステアリングの筆頭としてMOMO GTがあります。特にデザインが凝っていた訳ではなく一言で言えば同社の定番、
pt.jpg
Proto Tipo
 の穴なしタイプです。ツインキャブのライフにφ320の小さいやつが着いてました。このGT、正式ラインナップにあったかどうかも不明です。広告でも未確認。ひょっとしてパチモンかも?もちろん以来見たことはありません。 

 ランボルギーニやランチアに標準、をうたっていた
fs_20131215134536336.jpg
Ferrero。
 マイナーですが意外に歴史あるブランドのようです。フェレーロは、
「指先に当たるステッチがない」
のも売りだったはずなのに、ショップで見つけた
「ストラトス・レプリカ」
p1_20131215170758243.jpg  
(このナルディってのはドライバー?)
 にはしっかりと縫い目が!
「よもや量販店向け・・・別ライン?」
謎でしたが、とりあえずレアなので友人のジェミニ(=GMのJカー。ZZ-RじゃなくLS/G、古っ!)に着けさせました(笑)
strts.jpg
(これがストラトスの本物)

 当時は自分、革巻き一辺倒でした。元々革好きでしたから。ところがある日転機が訪れました。カーグラで
「革巻きステアリングのステッチ、実はダミーでただ縫いつけてあるだけ。実際には接着剤で・・・」
との記事を読みショックを受けたのでした。
「・・・縫ってねえんだ・・・」
以来革巻きに幻滅しウッド派に鞍替えしました。前述のモトリタのように
ml5.jpg
手縫い(!外周エッジはリムを貫通するスポーク材ゆえ・・・)
 でやってる所もあるにはあるようですが、革巻きを手に取るたび
「これはどっちなんだろう?」
と疑心暗鬼になるなんてまっぴらでした。まあ今なら見て判るようにはなりましたが(笑)それにまだ製造過程で
「蒸気曲げ」
(↑ 木目が周を画いていないと割れてしまう)といった工程が残るウッドの方が工芸品っぽいではないですか!
 加えて、旧くなって傷んでも(するしないは別として)レストアできそうなところがいいです。知人にギター職人もいることですし(笑)それに比べると革巻きのDIYレストアはちょっと手に余る感じです。外注の余裕もありませんし(苦笑) 
 前述MOMO GTは革の状態が非常に悪く、直しきれなかったのが残っていない理由です。

そしてY10にはこれを着けました。モモの確かモデル名Benetton。
yb.jpg
(この画像もピンが・・・これまたレアなAutobianchiホーンボタンと)
 最初は、スポーク部のマットな表面処理(ヘアライン+ショットブラスト?)にやられて同じベネトンでもこっち(↓)にしようかと思ったのですが・・・さすがに唐突なので止めました(笑)
$T2eC16ZHJF0E9nmFSvJ1BQGPwFK7Lw~~60_35
(良い色でした。時々着け替える?お洒落さん向きですね)
 先にペダルをOMPのアルミ製穴開きのものに替えてあったのでデザインの整合性というか(笑)見た目のマッチングを考えて、でした。ペダルに合わせOMPも探しましたが同社ラインナップには(ある意味当然)ウッドは一種しかなく他もラリー色が強過ぎるので却下、でした。
 内装1
(ペダルとシフトノブを・・・)
 このステアリング、ヘアライン仕上げのT形スポークのスタイリング、親指のかかる部分左右の「くびれ」とそのタッチ、ウッドの色味が薄過ぎない点とか気に入りましたが、リムが太く繊細さに欠ける感じが不満でした。ところが不思議なことにシフトノブを同じモモの、アルミ/ウッド混成のものに替えたところ気にならなくなりました。
 掌に木、指先に金属、と感触が揃ったからでしょうか。同じフィロソフィーで造られたプロダクトってことなのでしょう!

 やっぱりじかに触れる部分は大事ってことですね。
[8-2)ステアリングの話:つづき]の続きを読む
  1. 2013/12/22(日) 08:04:18|
  2. Old Car
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

8-1)ステアリングの話:Niki Lauda autograph

  autograph 
(available ¥60,000)
 ステップバンが来てひと月、決して万全ではないにしてもオブジェではない(笑)車があるのは楽しいものです。生活なり車自体なり何か新たに働きかけようとする気にもなります。忘れかけていた自動車の持つ根源的魅力

 利便性と高揚感、自己投影性

 を再確認しているようです。本当は実車、床や顔のケアの方が先なのでしょうが・・・シートの補修が思いのほか上手くいったのに気を良くして

「やっぱりじかに触れる部分は大事だよな・・・」

と半ば自分に言い聞かせるように(笑)ハンドルを替えることにしました。
 元々着いてたのは共に結構年季の入った革巻き黒の
オリジナル
アバルト・パターンと
abarth   
アルファ(Milanoロゴ)のホーンボタン。
 山本社長にとっては由緒あるものなのかもしれません。大事なものに自分のところでダメージを与える訳にはいかない、ということで仕方なく(!?)のハンドル交換です。決してカスタム魂が再燃した訳ではありません(笑)
大人の分別で新規購入ではなく手持ちのものを引っ張り出します。
Raid
Raidのウッド
 昔家業の配達用ミラ‘パルコ’ターボに着けていたやつです。ウッドの、
紫がかったダークな色味
510.jpg
(ブル510もそんな色でした)
が気に入ってます。このステアリング、特筆すべきはなんと
往年のF1チャンピオン
Lauda-at-Brands-Hatch-a-c-010.jpg
N・ラウダ
の直筆サイン入り!なのです。

 その昔スズカで Forza Ferrari ! なるイベント

(本も出てます)
があり、スポーツプロト333SP
P000Fade.jpg
のLaunchも同時に行われ、ゲストとしてラウダもやって来る!という情報を名古屋-川口ラインから得た自分、このハンドルと彼の著者
F1の世界 
(二玄社刊、絶版?オススメ!)
を手にスズカへ向かったのでした。

 走行日はなんとヘビーレイン。デモランも中止。せっかくはるばる、’76年にチャンピオンを逃した・・・
極東の地まで再びやってきたというのに・・・その苦い記憶を呼び起こすであろう雨!
「彼はもう二度と日本には来ないだろうなあ・・・」
と思いつつラウダとご対面です!
NikiLauda_Portrait1.jpg
 その知的、繊細なイメージから勝手に想像していた線の細さはなく結構な偉丈夫、意外に大男でした。G・ベルガーが若い頃「ラウダ二世」と呼ばれたのがなんとなく理解できる、似た雰囲気があります。
 この日準備というか「ネタ」を仕込んできたのはもちろん自分ひとり、単独行動だったのでサイン受領中の証拠写真はありませんがサーキットにハンドルを持ち込む人はあまりいないでしょう(笑)
 かくしてめでたくも我が国におそらく唯一、N・ラウダ直筆サイン入りステアリングが成ったのでした。
本 
ラウダ
(上が印刷、下が直筆。20年経ってちょっと変化が・・・)
 このハンドル、当初センター部分に時計を仕込んで額装・・・と考えていました。昔カーグラで販売した「パネル時計」ご存知でしょうか?
p1.jpg 
(こんなパネルで、画像に合わせ時計が埋め込まれてました)
 あれにインスパイアされての企画です。ちなみに自分デイトナスパイダー版持ってました。新品で購入後20年くらい飾ってましたが
「もういいでしょう」
と売却を決意。モテギで一緒に売ってもらおう!とある年のネコデイ
nd_2013121515104616f.jpg
山本社長のオートジャンブル・ブース
 に持ち込みました。すると山本社長
「こんなのまで持ってたんだ。アンタ見る目あんねえ!」
その一言に気を良くして・・・その時計、今も飯山にあります(笑)・・・そうそうステアリング時計の話でした!そういう使い道にはフラットスポークの方がずっと納まりが良いようで、額というより無様な分厚い箱になるのは避けられないことが判明・・・断念しました。それより毎日使ってニンマリしよう、と。

 このステアリング、リムの正面が斜めに面が落とされ断面はほぼ半円形、異例に深い裏側の指当てざぐりと相まって見た目よりずっと細身に感じます。気に入ってるポイントです。コーンもただの曲げではなく型を当てての 
曲げ
「アール曲げ」
と手間かかってます。なぜか裏側の刻印には
刻印
Nuova RAIDとあります。
 おそらく同社は一度倒産、従業員らで再建・・・なんてインサイドストーリーがあるのでしょう。

 そして最近オークション落札した純正?
ホーン
Raidのホーンボタン。
 今回のハンドル交換に当たり
「何かよいホーンボタンはないものか・・・」
と探していたら見つけました。永いこと自動車趣味やってますが初めて見ました。オークションにはライバルがいて、結構な高額落札になってしまいましたが非常にレアなアイテム、嬉しいです。実際・・・
かっこいい
画竜点睛!
な感じがするのは自分だけでしょうか(笑)

 タイムリーな映画があります。
 20130929230936.jpg
近日公開の「ラッシュ/プライドと友情
 ここ何年も映画館へは行っていませんが、自分としては大変興味あります。

 今、世にラウダファンという方はいるのでしょうか?この映画を見て、という向きもあるかもしれませんね。
 ラウダファンの方、このハンドル売ります。サイン本とホーンボタンも付けて・・・6万円!強気に過ぎるでしょうか。
[8-1)ステアリングの話:Niki Lauda autograph]の続きを読む
  1. 2013/12/13(金) 20:37:30|
  2. Old Car
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

4-6)グレイ(・・・宇宙人?)

 グレイ全景 
(not for sale!)
 ようやく革ジャンの季節がやってきましたね!早速ディープなお話を。

  
 自分は「新車主義」というか、車に限らず衣類を含め道具類はすべからく新品が望ましいと常々考えています。これまで何台かのUsed carを手にして、その「初期化」に汲々とした上、どんだけ手を入れようと新車には戻らないというある意味真理、ある種「悲哀」を沢山味わった上での結論です。
 なのになんであんな古い車を・・・?
 懲りないやつのことは放っておいて(笑)・・・そんな自分ですが、唯一Usedの方が良いのでは?と思えるのが革ジャンです。
「床屋行きたては恥ずかしい」
という表現、聞いたことはありませんか?自分は真新しいレザージャケットに、全く同じ感覚を覚えます。以前アップしたDaineseのように新品で買って20年以上かけて「馴らす」のが一番良いとは思いますが、これからそれをやってたら良い状態になった頃にはおじいさんになってしまいます(笑)
 第一それまで気恥ずかしさや窮屈さを我慢するなんてのはナンセンスでしょう。最初からしなやかで(=革が上質で薄い)傷が付くのが気になるようなヤワな革ジャンにも興味はありません。もし古着屋に自分にぴったりの革ジャンがあったとしたらそれは、

 自分とよく似た好みと背格好の誰かが、自分のために馴らしを済ませておいてくれた(!)


 と思うことにしましょう!自分がそう感じ、古着の革ジャンにハマるきっかけになった一着がトップ画像のこれです。
 経年補修か裏地が張り替えられているためブランド不明の'60年代のダブルのライダース。亀戸にあった「目方売り」の古着屋で7、8年前に出会いました。アメリカ古着中心の店だったのでこれもそうだと思われます。当然それなりの重量があるので、やや高価でした(笑)
 全体形はショットに似ていますが若干スリムで、さほど高級品ではありません。むしろ安物でしょう。というのも高級品はファスナーや襟回り等、革を折り返す部分が分厚くならない様、
 その部分の裏側を削ぐ
 という手間をかけるものなのですがコレにはそんな配慮は微塵も見えず、襟はボッテリ厚くなっています。自分としてはそういうディテールはゴツさを表していて嫌いではなく、襟全体も厚く曲がり難くなるため通常のダブルライダースより襟が高く見えるのもカッコよく着こなせるポイントと思ってます。襟が低いと、例えば好みじゃないですが白いスカーフ(!)なぞ配したくなるように、首回りが寂しい感じになるのですがコレには「襟を気持ち立てた」様な雰囲気があるのです。またその襟の高さゆえ首の当り(=擦れ)もややキツイようで
貫通部分もありますが
襟 
(襟の穴と厚み・・・)
穴があくほどの擦れには相当の時間が必要なのはダイネーゼ項で述べた通りで少なくとも20年以上は経過、その根拠の一つでもあります。
目立つ両袖の革質(=表面のシボ)の違い
袖
(左が腹部、右が背?の部分の革)
肩のエポレット
エポレット
裏の折り返し処理
その見事な手抜きっぷりも安物の証です。
 またスナップボタンが錆びている点(=ステンレス製)も同様で、'70年代以降は表面が鉄のスナップはほとんど見られないのです。
'60年代と思しき理由はほかにも。
Scovillファスナー
Scovillのブラスのファスナー
その年季、そして縫い糸でした。
 このファスナーは補修されているのですが、オリジナルの針穴跡などお構いなしにミシンで荒っぽく何重にも縫い付けられた全くの素人仕事です。最初は交換されてなおこのファスナーの年季、
「一体この革ジャンどんだけ古いのか」
と思いました。しかしこの革ジャン、着ているうちに
 各部の縫製がどんどんほつれてくる
 ことが判明。片袖などは完全に開いてしまったため、オリジナルの針穴跡をトレースし開かない最小限度自分が手縫いで補修したくらいです。そこから類推するとファスナーは交換したのではなく糸がほつれて取れてしまった、ということなのでしょう。この縫い糸の崩壊が示すのは、使われている糸が木綿糸だということ。経年変化で繊維が劣化、切れてしまうのです。'70年代にはナイロン糸は普通に一般化しており、この糸の件もそれ以前のしかも安物、の証明となると判断しました。

 また大変気に入っている、漆黒ではない、珍しいこのグレーっぽい色味も当時の(現在と異なる?)染色技法あるいは経年による退色なのかもしれません。 ほかにも結構な数のジャケットがあるので便宜上grayと呼んでます(笑)

 この革ジャンの「元オーナー」は上半身は自分とほぼ同じ体格、一般に袖が長いライダースとしても長めの袖から腕(そしてアメリカ人?として当然足も)の長さが想像され、身長は自分より10センチがた高い現地では小柄な人と思われます。彼はタイトフィットがお好みらしいですがもうワンサイズ上が良かったかもしれません。というのも
本来折り込まれていて肩の動きを助ける
アクションプリーツ 
アクションプリーツ
が完全に伸びきってしまっています。当初ここに革を足してアクションプリーツの機能を回復させようかとも思いましたが止めました。オリジナルに敬意を表して、もありますが肩回りは充分こなれていて動きに支障はなく何より例の縫い糸の件もあり
「せっかくくっついているのに無理に解くことはなかろう」
との判断です。まるで車の修理の話みたいですね(笑)
右肩には
肩
「無事では済まなかったであろう」
結構酷い擦過傷があります。
 ウェストベルトおよびインナーライナーも失われていますが特に折り返しやステッチもないのでスリム&シンプルがベターと考える自分はない方が好きです。
またポイントとして、キーリング用の
キーリング小物
フック
が、例の縫い糸で厳重に縫いつけられています。これは非常に珍しいディテールで気に入ってます。きっと元オーナー君は降車時、お気に入りのキーホルダーにつけた愛車の鍵をジャラジャラ言わせていたのでしょう。
 ところがある日混んだ電車内で、これが他人のセーターを噛み込んでしまい難儀したことがあります。
小物カバー
以来透明パイプでカバーしてます。
 とにかくお気に入りの一着です。
 ゆくゆくはこれまた安手の裏地を替えたい・・・といった希望はありますが永く、似合わなくなるまで着たいと思っています。
[4-6)グレイ(・・・宇宙人?)]の続きを読む
  1. 2013/12/07(土) 20:09:46|
  2. Jacket
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

2-15)鳥籠

 
ハンドル位置の話題から再掲・・・額装¥100,000)
 しばらく下世話な(笑)Ordinary carや2輪の話題が続いたので本来というか、Exotic carと絵のお話をひとつ・・・
 Maserati Tipo61 `Bird cage' Fエンジン・チューブラー・スペースフレーム車の究極のかたちです。究極という意味ではミドエンジン車ですがLamborghini Countachのスペースフレームも、その複雑さでは負けていませんが愛読書

スーパーカー誕生
によると同車のそれは
「設計当初の鋼板モノコックをパイプの組み合わせで再現した」
ものなのだそうで、スペースフレーム車として生まれたものではないそうな。余談ですが。

 以前「メカを描くのはイラストじゃなく製図・・・」とメカニズム・イラスト・コンプレックスがあったことを述べましたが同じ頃見た一つの絵に少なからぬ衝撃を受けたことがありました。
MO3.png
MVアグスタのレースバイク、その「コクピット」
 こういうメカニカルな部品だけを描いていながら「製図」にはない暖かみと、それら部品の集合体であるマシンへの憧憬をも同時に表現しているこの絵の作者はテクニカルイラストレーター大内誠氏。
 氏はなんとCGs創設メンバーなのですが、当時は恐れ多くてお話しなどできませんでした(笑)しかし今では知己を得、よいお付き合いを戴いております。 この絵を見
「こういうのもありなんだ!」
と感銘を受け、触発され取り組んでみたのがトップ画像のバードケージなのでした。とはいうもののこの構図、それを狙ってのものではありませんでした。

 ラグナセカの広いパドックで、有名なこの車を発見、撮影しようと近寄ってみると・・・知ってはいましたが
23.png
とにかく格好悪い
というか美しくない!設計者氏の
「車はメカニズムなのだ。ボディ(=スタイリング)など
 メカを覆う外皮でしかない、最小限で充分・・・」
との声が聞こえてきそうな、何の洒落っ気もないスタイリング。ビジネスライクというか、美しく見せようなんて気はサラサラない、醜いの一歩手前
(失礼)の同車を前にカメラアングルに窮した自分がおりました。
「こりゃあホントに外皮じゃなくメカを撮るしかねえなあ・・・」
といわば仕方なく(=必然的に)撮った1枚がトップ画像イラストの元となりました。そのほかには全景が1枚と都合2枚。普通自分はアングル違い、各部ディテールと1車10枚以上は撮るので、いかに少ないか、ですね(苦笑)
61.png
(細いストレートパイプを各パート間に「編み込んで」ます)
メカニズム的には見どころ満載戦績も申し分なし、ゆかりのドライバーもきら星の如し、でも格好悪い・・・という稀有な車、自分の中では評価に悩む「名車」ではありました。
  1. 2013/12/01(日) 09:31:29|
  2. Illustration&Work
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0