マグネシウムの話

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 先日、某自転車(↑)気鋭のビルダー氏と会食の機会がありました。

 渋谷の怪しいバーでの会話の中、冶金(=やきん)の話が思いのほか受けたのに気をよくして(笑)ステップバン・トラブルの話が途中ですが・・・
今稿マグネシウムの話などをひとつ。

 少数そして高価ゆえ、さほど普及していないにもかかわらずホイール素材として誰もが知るマグネシウム。ある種の「憧憬」をもって語られる「高級」な
マグネシウムホイール
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(The Wheel of Lamborghini Miura !cast by Campagnolo?)

 に対して普及品といえなくもない「アルミホイール」ですが、その世間への
(アルミ、で通じる程の!)浸透っ振りは驚くべきレベル、マグネシウムの名のメジャー化に一役買っていると思います。
 
 あるいは「ブロンズ→像」とか「桐→箪笥」みたいなものでしょうか(笑)

 今回はその名に比して実態はあまり知られていない「謎の金属」マグネシウムについて元プロの自分がお話しましょう。
 元プロ?実は自分、本屋になる前はマグネシウム鋳造業に従事していたのです。

 マグネシウム、元素記号Mg、実用金属で最も軽い比重1.74。

 その重さは軽量金属の代表アルミのおよそ65%(!)と、超軽量金属と言えるでしょう。マグネシウムとアルミニウム、その機械的性質は近いものがあるため、アルミで形作れるものはほとんどマグネシウムに置き換えることが可能です。ただしコストは単純に地金の価格差だけで数倍から合金の種類によっては十倍以上!そういう意味で「高級」は間違いありません。
 ただ置き換えるだけで35%の軽量化は素晴らしいとは言えますが、元々軽いアルミですから実際の軽量化代は極く僅か、部品によっては数グラム(!)ということもままあり、コストパフォーマンスには疑問符が付く場合も。
 それゆえ一般的には軽量化目的の単純置換は行われず、

 新規部品製作の際、選択肢の一つとして超軽量素材マグネシウムがある

 と言えます。新規ならば、一般的に高価な木型製作費等付帯費用は同じ、単純に素材価格差のみで軽量化できるということになるのです。
 いきおいマグネシウムは設計変更(=セッペン)や新規製作(それも少ロット)の多いレーシングパーツ企画時に、その検討の俎上に上がることが多くなります。ゆえにマグネシウムは
「レース専用素材」
と誤解されることが多いのもある意味当然かもしれません。

 その軽さ以外にマグネシウムの優れた点は・・・
 まず比強度(=重さと強さのバランス)そして切削性(=削り易い)加えて振動吸収性があります。

 最初の比強度。
 これがマグネシウム合金の存在理由と言っていいと思います。
「軽くて強い」ということです。

 次の切削性。
 手ヤスリをかけるだけで体感できるレベルなのですが、
「切粉離れが良い」
というか材料が粘らない、軽く削れる、といったことです。これは機械加工の際ももちろん同様で「送り」量を大きく設定できる、ということになります。そしてそれは省力化と加工時間短縮、即ちコストダウンに直結するのです。この切削性の良さは
「加工面の荒れの少なさ」
をも意味し
「鏡面が容易に得られる」
というマグネシウムのもうひとつの顕著な特徴につながるのです。これも実際にやってみるとすぐにわかるのですが・・・「磨き」のためのバフ掛けの際、アルミに比べればその手間は体感的にはざっくり半分(!)サンドペーパー掛けでもあっという間にピカピカになります。
 この鏡面は加熱溶解中も同様で・・・酸素が遮断された環境下でしか見ることができませんが・・・その溶融金属(溶湯=ようとう、または単に湯=ゆ、と呼びます)の表面は正に鏡面(それゆえ中国語でマグネシウムを金へんに美と書くのだそうです)それはちょうど映画ターミネーターの敵役
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「液体金属人間」のようです(笑)
 そして振動吸収性。
 全ての合金ではないもののある種の(=高価な)マグネシウムには振動吸収性があります。その分子構造上「滑り振動」を受け入れやすく、振動を熱に変えるのです。ところが最も一般的なマグネシウム合金であるAZ91(アルミ9%亜鉛1%含有)は残念ながら特筆すべき制振性は持っていません。とはいうものの・・・
 最近はあまり聞かなくなりましたが、自転車フレーム素材談義で
「アルミは振動吸収性が良い」
という「意見」がありました。アルミがそうだとすれば、それに比してマグネシウムは例えAZ91だとしても制振性で確実に勝るでしょう。

 続いてマグネシウムの弱点について・・・
 実はこれ、価格を含め結構たくさんあります。しかしその理由のほとんどはマグネシウムの二つの特性、

 酸化しやすい、展性に乏しい(=延びにくい)

 に集約されるのです。
 まず酸化の件ですが・・・
 アルミの腐蝕(=酸化物)はご存知でしょうか?海岸を走ったオートバイのFフォークとかに現れる(笑)白く粉状に盛り上がるヤツです。マグネシウムの腐蝕も見た目はほぼ同様、その酸化しやすさからもっと短期間に進行します。
 「酸化」とは、酸素と結び付くということ。マグネシウムは、場合によっては同じ環境下にある別の(酸化した)金属から、その酸素を奪ってまでも酸化しようとします。別に意志がある訳ではありませんが(笑)そう表現したくなるほど「活性」があるのです。
 酸素を奪うことを「還元」と言います。この性質を踏まえ船舶の腐蝕防止のためマグネシウム片を船体に貼っておく(←マグネシウムが船体の代わりに酸化する)そんな使用法もあるくらいです。車の世界でも昔から、車体に微弱な電流を与え防錆する装置がありますが、あれも似た原理です。
 電流?そう化学の世界では酸素のやりとりの前段階として

 電子の行き来

 があるのです。実際いくら活性の高いマグネシウムといえどその粉末を他の酸化物とただ混ぜてシェイクしても化学変化は起きません。ただし水に浸せば話は別です。水の分子との間で電子のやりとりが起こり、全てではなくとも「いつでもオッケーよ♡」といわんばかりの「尻軽状態」に変わるものが現れるのです(笑)これを「イオン化」と言います。

 「イオン化傾向」はご存知でしょうか?元素を「電子の離れ易さ」の順に並べたものです。
「貸そうか  な、 ま  あ 当  て に  す  な、  酷   す ぎる、借金  」 
  K   Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb H Cu Hg Ag  Pt Au

 聞いたことがあるでしょう(笑)これは言い替えると「水への溶け易さ」と考えてもらってよいと思います。もちろんどれもが砂糖のように溶けるわけではありませんが(笑)マグネシウムは実用金属中、最も溶け易いことがおわかりいただけるでしょう。

 酸などの溶液を仲立ちとしてイオン化傾向に差(=電位差)のある二つの金属板(=電極)の間に電子の流れを起こさせる、それが電池です。電位差が大きいほど強い電池になります。するとマグネシウムは最高の陽電極になり得るポテンシャルを持っていることになります。それほどの活性を持つということは言い替えれば「不安定」ということ。地球上に酸素がある限りマグネシウムは酸化しようとします。逆に言えばマグネシウムは、

 純粋状態では存在し得ず酸化マグネシウムとなってはじめて「安定」する

 のです。そしてその安定した酸化マグネシウム(≒豆腐のにがり)は液体として、海水に大量に含まれてもいます。実はマグネシウムは地球上においてはありふれた元素(=8番目に多い)特に稀少な金属ではないのです。

 ではなぜ高価なのか?その抽出にコストがかかるのです。

 他の酸化物から酸素を奪ってしまうような活性を持つ金属を再び還元するには高エネルギーが必要なのはご理解いただけるでしょう。
 前述の電池、使い捨てのものを一次、充電して繰り返し使えるものを二次電池といいますが、マグネシウム電極を使った二次電池の開発が困難な理由がこの高エネルギーにあります。充電程度のエネルギーでは還元できないのです。

その一次電池もようやく実用化の途についたところですが・・・

 実は数年前「マグネシウム二次電池開発ベンチャー」に誘われたことがあります。色々調べ上記の理由で「眉唾」と判断、さらに調査すると・・・怪しい「謎の触媒」の存在が明らかになったところで、乗りませんでした。

 長~くしかも化学(chemistry)の話に終始してしまいました。「相性の」悪かった方もいるかと・・・(笑)「展性」の話もまだですが、製品主体の話になればもう少し取っつきやすく・・・それでは、to be continuedということで。

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  1. 2014/01/30(木) 20:48:47|
  2. Magnesium&Race
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正常性バイアス・・・?

 
ステップバン飯山号・・・
 快調に走ってます!と言いたい所ですが・・・やはり車齢40年の旧車、トラブルは出ますね。ウォーターポンプが逝ってしまいました。

 思えばまあ来た時から結構なメカノイズでした(笑)エンジン内部からではないガラガラ音です。
「大方どっかの遮熱板か何かの溶接でも剥がれて鳴ってんだろ」
ぐらいに考えていました(こういった、異変の過小評価を正常性バイアスと言います)が・・・日増しにだんだん音が大きくなってきます。
「うーん、これは・・・?」
そうしているうちに時折カツッあるいはコキッてな引っかかり音が。これがエンジン内部からだと大事なんですが・・・幸いにもそうではない。トルク感は変わりないしアイドリングも安定してます。基本的に短距離使用なので水温も異常なしです???
「何の音?いったい何が起きてるん?」
と思いつつそれでも乗っていたら
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(グリルの歪みをなんとなく修正したりはしてましたが・・・)
 来ましたベルトのスリップ音、キユーッ!
「・・・?Vベルトが遊んでる?」
チェックすると・・・遊んでいたのはベルトではなくプーリー!ウォーターポンププーリーが首振ってます。軸が指で動くほどです。樹脂製のポンプカバー内側にはプーリーの接触痕
TS3Q0202.jpg  
(≒切削痕)がくっきり!
「こりゃもう乗れないわな・・・」

 早速修理の算段です。調べると、ポンプAssyは既にというか当然というべきかメーカー欠品。専門店(あるんですねえ)が現物送付で分解修理対応していることが分かりました。

 さて、となるとポンプを外さねばなりません。ところが・・・見るとそのポンプの上(=真横)ギリギリをタイミングベルトが通っています。
「これって・・・タイベル外さないとポンプ取れないわけ?」
そしてその下方を見れば・・・タイベルカバーのそのまた上にオルタネータとポンプを回すクランクプーリーが鎮座。
「ひょっとして、クランクプーリーも抜かんといかんの?」
どうもその様です。
「プーリーってもしかしてテーパー勘合?外すのにプーラーが要る?」
ライフのドライブトレインはいわゆるジアコーサ式レイアウト、エンジン本体はエンジンルーム左端です。そしてクランクプーリーと左隔壁(=ホイールハウス)の間にはプーラーの食いつく隙間はどう見てもありません。
「えええっ?これってまさか、エンジン本体抜かないとプーリー
(そしてその下のウォーターポンプも!)取れないってこと?」
小さな2気筒とはいえそれなりの重量のエンジンミッションを上に抜く、我が家にそんな設備はありません。もはや自走もはばかられます。
 さて困った・・・!to be continued.

  1. 2014/01/25(土) 17:48:08|
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カスタムバイク:Atavism

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(Sold out)

 前稿BSピクニカの話、受けは今一のようですが(笑)自転車カスタムの話題、調子に乗って続けます。

 サーファー御用達の自転車、ビーチクルーザー。自分は結構好きです。特にあのハンドル形状、カッコイイと思いませんか?ワイドで、カクカクっとした

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ダートトラッカー

 を思わせる アップハンドル、大好きです。
 MTBはビーチクルーザーの改造車から生まれたのはご存知でしょうか。そう、ビーチクルーザーはMTBの祖先なのです。

 偶然入手したビーチクルーザーのハンドル。ネットオークションでたまたま発見、安かったので衝動買いならぬ衝動落札(笑)でした 。
「折角入手したハンドル、是非使ってみたい。そのためには・・・1台組もう!」
という自転車マニアにありがちな(?)パーツと車体、本末転倒がそもそもの発端でした。折しも巷は、シンプルなスタイリングを最大の魅力とする(と、思ってます)ピストバイクブームです。

 変速機がなく、チェーン下弦がクランク下方からリアに向かって切れ上がってゆく

 シングルギア車の、これ以上削ぎ落としようがないシンプルさ。その美しさはいかなる高級ロードレーサーをもってしても太刀打ちできない、とは言い過ぎでしょうか。
関連書籍も続々出版、掲載されたカスタムバイクの数々に感化された部分もあって、今回のカスタムバイクプロジェクトは始まりました。そしてそのコンセプトは

 MTBにあのハンドルをつけて、ビーチクルーザーのようにユルく乗りたい

 というもの。極力シンプルに、は言うまでもありません。結果的にMTBを先祖帰り(Atavism)させるような、言い換えれば
「MTBとビーチクルーザーのハイブリッドを作ろう」
というものになりました。ビーチクルーザーの特徴を列記すれば
 件のハンドル
 ダミータンク等モーターサイクル・イメージ
 ペダルを逆回転させると効くコースターブレーキ
 それゆえブレーキレバーは、なしか前1ヶ
 海岸線は平地ゆえのシングルスピード
 砂に潜らない太いホワイトウォールタイア
 といったところでしょうか。

 上記の特徴(イメージ)を手持ちのMTBに落とし込むべく作業は始まりました。

 
 フレームはMTBブーム当初流行ったエレベーテッド・チェーンステーのモデル、HEAD610(’91年か)。YETIのOEMではない廉価版の方です。重く、別段特筆すべき点もありませんが「凝った造作」なのは間違いありません。この複雑なフレーム形状でモーターサイクルイメージを狙います。ちなみに自分、このタイプのフレーム(の形)が大好きで何台か乗り継ぎました。

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(前任車NISHIKI「エイリアン」デザイナーは「始祖」R・カニンガム)

 このHEADもそこそこ傷んだ中古、レストアしつつ組み上げます。今回もピクニカ同様「アベレージコンディションの雰囲気」を出すべくピカピカは避け敢えて傷んだオリジナルペイント残して仕上げます。
 しかしオリジナルペイントは磨き込んでも退色や艶ムラが目立ち、ぱっとしません。地肌露出の深キズも多いためお得意の「艶消しクリアコーティング」することにしました。こうすると一時流行った「ソフトタッチペイント」の雰囲気が出てグッと上品になるのです。またこのリペイントの効果を知らしむるため(誰に?)リジッドのフォークは敢えて磨きのみとします。
 塗装中、オリジナルペイントに細かいクラッキングが発生!
「・・・こりゃあ全剥離か・・・?」
と焦りましたが・・・放置!するとペイント乾燥とともに症状は終息、結果オーライでした♪

 パーツ構成は基本的には「ありもの」主体、足りないものはネットで、となりますが「シングルギアの美」は譲れません。しかし「変速なし」は乗り手としてはちとツライのも事実。この矛盾をとあるパーツの投入で解決しようと目論みます。

 シングルスピードの美観と多段変速の両立

 を叶える、今回のプロジェクトの肝が'70年代初頭のヴィンティッジパーツ、シマノ「3.3.3.」内装3段変速ハブ(未使用デッドストック)です。なぜわざわざ旧いパーツか、というと・・・これも
「いつかは使う」
とネットオークションにて衝動落札していたもののひとつなのです(笑)また内装変速ハブ自体は珍しいものではありませんが現在のものは高級ママチャリ風。ゴムカバー等美観の点で自車に使う気にはなれなかったのでした。
 このハブに手持ちのアラヤCV7リム(黒)スポークは#14プレーン(黒)黒いアルミニップルも投入、6本取りでホイールを組みます。
光り物を極力減らす、もコンセプトのひとつです。

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(クラシックな外観のハブ、他は真っ黒)

 30年前の「新品」変速メカは当初ゴリゴリと、まともには作動しませんでした。そこで標準装備の立派なグリースニップルからチューブ一本まるまるグリースを注入。それだけで転がりを含め完調となりました。さすがシマノ!バラさずに済んで助かりました。余分なグリースの漏れにしばらく悩まされましたが(笑)
 フロントハブは手持ちのカンパ・アテナ。回転感は申し分なし。「ちょっと違う外観」を求め(笑)これをラジアルで組みます。太いタイアは決まっているのでショック吸収性は無視、軽い走行感を得んがため思いっきり張力をかけます。ちなみにホイール組み付け台、売ってるのを見たら「これなら作れる」と思い、作りました。

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(中古リムゆえの銀色の擦れ跡と組み付け台ホームセンタースペシャル)

 ビーチクルーザーに標準のコースターブレーキは、片手にサーフボードを抱えるための必然でした。前述ハブが決まっている以上コースター化は無理ですが、それゆえシングルブレーキレバーは譲れないディテールと考えていました。しかしブレーキを前後どちらか1ヶ、という訳にはいきません。危険です・・・原付免許取りたての頃、ブレーキング時左レバー(=クラッチ)も握ってしまう悪癖を矯正すべく自転車のRブレーキを取っ払っていたことがあります。よ~く前転しました(笑)余談でした・・・。
 タンデム用のワイア2本引きレバーを使えばシングル化は簡単なのですが、美観の点で却下です。
 そこで、MTBでのシングルレバーを実現するためにモトグッツィいうところの「インテグラル・ブレーキ」すなわち

 前後連動ブレーキ

 を「開発」することにしました。幸いMTBはカンチブレーキなので・・・
 アウター受けを複数設け、その間に前後ブレーキワイアを連結する特製チドリを置けばよい、ということになります。アウター受け内蔵のステムはいかにも当時っぽい(=高さのない)TIOGA「Tボーン」 。大アップハンドルでもポジションが手前に来過ぎないよう長いもの(135㎜)を探しました。「アメ車」なので左レバーに。チドリはボルトを穿孔、切削加工して作りました。

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(二股ワイアを引き、1本は貫通するという取り廻し判りますか?)

 前後ブレーキ効力のバランス調整はRのカンチにサンツアーXCプロのSE(セルフエネルギングだったか)を導入、FアーチワイアをタイアギリギリにセットするなどしてリニアなF(=モドロ・チベット!)、ダルでも効くRと納得できるものができました。
 またクランクは股関節の可動範囲が狭く楽な165㎜、あり合わせの黒いフォーミュラ1(=流行らなかったクリテリウム用BMX!)にワンピースクランク用28T(←ハブギアが厚歯だった)を穴あけ加工して無理矢理装着しました。ペダルは何だったか、これまたあり合わせのMTB用にカンパ幻のMTBコンポ「ユークリッド」のハーフクリップ(!)を奢りました。ビーチクルーザーらしいポジションを得るため、シートピラーはロゴ入りのオリジナルですがサドル(=手持ちターボマチック)を思いっきり後方へ引けるようヤグラ部分を加工しました。

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(完成!)

 乗り味は・・・元々サスペンションのない時代の「ダウンヒルバイク」即ちホイールベースが長めの、相対的にバック剛性の低い、重量級(笑)クロモリMTBですから、その通りのFirmな乗り心地に、ファット&ヘビーなホワイトウォールタイアのまったりした(?)乗り味が加わって非常にどっしりした印象です。ワイドなハンドルもその雰囲気に一役買います。
 全体に重量があり前後が特に重く、堅くスリムな中心部・・・とまるで
「鉄アレイに跨っているような感覚」
が愉快です。ビーチクルーザーはユルく快適ですが、BB周辺を見てもらえば判る通り「走りません」。それを嫌っての
「走りに振ったビーチクルーザー」
という狙いもあった訳ですが、まあその通りにはなったかと。
 ただ改めて思うのは

 自転車の乗り味においてその支配度が最も大きいのはタイアである

 ということです。実際「乗り味」とは、誤解を承知で言い換えれば
「あらゆる入力に対する路面反力」
とも言える訳で、それを掌るタイアが重要なのはある意味当然ではあります。今回の車輪に盛り込んだ、軽量チューブやアルミニップル、スポークの組み方やテンションといった細かいこだわりは、悲しいかな重く太いタイアにすべてかき消されてしまい、自分の鋭い感性を以てしても(笑)感じ取ることはできませんでした。(T_T)

 そして、ビーチクルーザーのもう一つの魅力は「人が乗ってカッコいい」ことです。錆ていようが汚れていようがサドルが低すぎようが、
 人が跨ってこそ映える
 のは単なるMTBには求め得ない美点と思います。

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それは実現できたかな、と思ってます。

 


  1. 2014/01/18(土) 19:40:36|
  2. Bicicletta
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フォールディング・バイク:2 &万能川柳

 万能川柳 
(毎日新聞朝刊3面左下方です。)
 
 自分、毎日新聞の人気投稿欄「万能川柳」に投稿しはじめてから2年と少しになりますが昨日、3回目の掲載となりました!結構嬉しいです。例の「悪法」成立を受けての句ですから掲載までのタイムラグはおよそひと月、投稿句数は万単位!選者仲畑氏自身が「運」と言う程の狭き門なのです。過去の入選作には

 20年続けば不況じゃなく普通

 なんてのもあります(顔印頂きました)常連目指し今後とも精進します。
  MK1.jpg
 とタイムリーな話題のあとはピクニカの話、続けましょう。

 これまでの幾多の(笑)自転車改造から得た教訓の一つとして

 消耗品にレアものを選ぶとリプレイスが大変

 というのがあります。新品はおろか入手自体が困難あるいはあっても高価、安くは絶対買えない!てな具合です。それを踏まえピクニカレストアではまずホイールの変更が望ましいということになりました。なぜならオリジナルのタイアは今ではほとんど見かけないイギリスサイズ(=WO)入手困難は目に見えてます。しかし同じ16インチでもアメリカンサイズ(1.75×16HEとか)ならホームセンターで売ってます。迷わず後者!ですがそれにはホイールの組み直しが・・・。というのもWOとHE、リムは全く互換性なくスポーク長も違うのです。傷んではいるもののオリジナルリムは再メッキを充分受け付けるであろう高級品でしたが錆びたハブと共に再使用せず、ホイールを新たに組むのではなく

 他車からアメリカンサイズのホイールをそっくり移植する

 ことに決めました。
 また、ブレーキアーチが1ヶしかないのは前稿の通り。
ブレーキレバーは半端な在庫(新品)が一つ
bc - コピー (3)
(これを組む際、バーに沿っての曲げ作業失敗で折損、買い足した残り・・・)
 この組み合わせでフロントは確定。
 でリアは?
 レストアコンセプトである「ずっとあった」感のため、フロントのそれと同じようにやれたブレーキアーチをそれも一つだけ入手するのはかなり困難です。見た目妙に浮いたRブレーキをつけるぐらいならば
「いっそブレーキアーチはなし!」
とRホイールをコースター・ハブ(=ハブ内蔵逆回転ブレーキ)仕様にすることに決めました。さすれば外観上の違和感なし。加えて流行りのピストに通ずるシンプルさ(&軽量化?)も手に入ります。
 コースターの16インチ、となるとアメリカ製子供用BMXです。部品調達はまず最初に、ネットオークションでカテゴリー:自転車、車体「子ども用」を探すことになりました。
 そしてほどなくSchwinのジュニアBMXが2千数百円(!)で落札できました。そのワンピースクランクは130ミリしかありませんでしたがホイール以外は使わないので問題なし。こうやって要らない部品が増えていくんですねえ(笑)
 取引連絡の際の出品者からの質問
「お子さんの身長は?」
には苦笑。
「(子供用を)自分で使う・・・」とは言えません(笑)その後次々に部品を落札していきます。
 首長ステム(日東テクノミック、新品・現行)
 オールランダーバー(当時表記、日東、中古、付属旧ステムは転売・・・)
 シートポスト(アルミ製、φ34と極太、新品・現行)
 サドル(セッレ・イタ-リア初代「アナトミック」新品デッドストック)
 BB(フレーム構成上幅広特殊サイズ、コッタレスに変更、中古)
 クランク(スギノ・マキシー、48Tシングルかしめリングタイプ、中古)
 ペダル(三ヶ島シルバンツーリング、新品・現行)
 実際入手した部品はこれだけです。
(意外に少ないと思いませんか?自転車ってこんなもんです・・・)
グレーキワイア/アウター、チェーン、ブレーキシュー、バーテープ、バーエンド(=ワインコルク!)は手持ちのものがありました。
 部品が揃ったところでフレームの錆落とし、修正そしてペイントです。剥離剤は使わず、錆落としと旧ペイント剥がしを兼ねて
ベルトン
 で荒っぽく研磨していきます。少々旧ペイントが残っても構わず進めます。同時に各所にあるガゼット(補強当て板)の端面の仕上げ、キャリア、泥よけ用ダボ等不要突起物のカット等をします。
 シートパイプ上端(切り口)はイタ車っぽく凹加工も(笑)
 僅かに曲がっていたシートステーは力ずくで引っ張ったら直りました。材質はCr.Mo.ではなくハイテンション鋼なのでしょう。
 美しさは求めないレストアコンセプトゆえの荒っぽい下地にガンガン使うつもりでもあったのでペイントにはひと工夫します。
 
自転車の塗装はとても難しいのです。
自分の缶スプレーテクニック
を持ってしても(笑)細いパイプ全周を同じ肌で吹き上げるのは不可能(=磨きが必要)です。磨きはできればやりたくないし(笑)今まで行った自転車塗装では適当に吹いた後、艶消しクリアをトップコートして一時流行った「ソフトタッチペイント」風の仕上げを多用し磨きを回避していました。
 今回下地にはサフェーサーも省略、クルマのボディ下回りに使われる食い付きの良い黒いゴム塗料「チッピングコート」を使いました。よく欧州車のドア下部とかにある「ブチブチ塗装」です。それを全体に吹き、その後ホワイト(=発色のためのベースコート)その上にピンクを吹きました。

 この凸凹仕上げは塗膜に柔軟性と厚みがあるのでキズに強く

(キズついても白、次に黒が現れるだけ、金属面には届きにくい)

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(表面の凸凹、削ったダボ、シートステーのキズ、判りますか?)

 もしキズがついた場合でもその補修は平滑な面ではないので
 
 部分マスキングで気楽にできる

 のが最大のメリットです。また敢えて面を出していないのでピカピカにもなり得ず、古~い感じも出て狙いはバッチリだったと思ってます。
 最終組み付けの段階で問題が発生しました。
 現在では普通Fハブのアクスル幅は100ミリですが当時一部に97ミリのものがあり正にこれがそれでした(!)
「前輪組み直しか?」
とも思いましたが、ものは試しとBSオリジナルとシュインBMXのハブ分解してみると・・・ベアリング部の規格は同じなことを発見!シュインにBSのアクスルを組み込んで解決しました。
 またさすがは子供車、というか「見えないコストダウン」というか荷重に合わせてということでシュインのハブ、ベアリング部にはボールが半分しか入っていませんでした。ボール、追加してます。


実用車なので

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モールトンのスタイリング

に倣ってオシャレな(?)籐籠キャリアを着けました。

キャリア

ベースのパイプはなんとママチャリフレームのダウンチューブ(!)ヘッドパイプ部分の一部をを合わせて切り取り「取り付けフランジ」としています。

表面 
(全体をシルバー、付根を車体色の塗り分け、大正解でした!)

 取り付けはホースバンド、あり合わせのベース板(何かの木箱の蓋)をΩ型ステー2ケで取り付け、その上に籠をネジ止めしている、といういわば
「ホームセンター・スペシャル」
です(笑)カッコ重視で小ぶりの籠(100円!)にしたためあんまり荷物は入りませんが(笑)強度面に不安もあるのでこれで・・・。

 といった訳で、BSピクニカ「いちごミルク号」(←色と表面処理から)が完成したのです。

 乗り味の方は・・・
 フレームは、BSにとって初の折り畳み車です
「万が一にも折損等があってはならない!」
ということでしょう、かなりの強度マージンが与えられているようで剛性は高く、かつての記憶通りシャキシャキとよく走ります。それに低いハンドルを着けると・・・ワクワクするような疾走感!だからこそコイツを直そうと思ったのですが(笑)
 コースターブレーキは結構効きますが慣れが必要です。微妙なコントロールも難しく例えばトライアルっぽいことは全くできません。
 またブレーキトルクがチェーンに働きRアクスルが動いてしまうことが判りました。対策としてサイドプルブレーキのジャンクパーツを使いヨーロッパのオートバイ風アジャスタブル・ストッパーを作りました(↑画像参照)。
 タイアはシュインの2.25をキャリーオーバー。ブロックパターンは気に入りませんが!太いものが欲しかったので・・・。乗り心地が懸念される小径16インチでも太さ2.0以上あるとかなり快適です。
 

 自分で組み立てた自転車に乗る楽しみ、皆さんにも知って頂きたいと願っております。

  1. 2014/01/12(日) 10:11:13|
  2. 万能川柳
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フォールディング・バイク

Mk1 
(not for sale)
 正月早々久々に自転車に乗りました。それもロード(=Casati SL号)ではありません。ステップバンが来るまでの我家唯一の「足」だった折り畳み小径車です。現金なものでこのところ稼働率が激減していました(笑)

 パッと見は「今風」ですが・・・’70年代前期(!)日本初の折り畳み自転車
(?だったと思います。未確認)
ロゴ
ブリヂストン「初代」ピクニカです。
 
 今を去ること10年くらい前でしょうか。都内某警察署向かいのD1K国道脇にたまたま電話のため停車中、夜でした。ふと歩道側を見ると小さな自転車の残骸が打ち捨てられているのを発見しました。当然施錠なし、クルマに踏まれてRホイールがバラバラに壊れているような状態でした。ボロッボロのサビッサビでしたがそれは確かにかつて乗っていた名車(?)BSピクニカ号なのが元オーナーたる自分には見て取れました。
「これは・・・!天の配剤・・・?」
そしてその後その残骸はなぜか我家にあったのです・・・。

 すぐには直しませんでした。しかし割と簡単に修復なるであろうことは確信がありました。というのも、しばらく仕舞っておくべく分解、ダンボール詰めにしたのですがその際、サビッサビではあったものの折り畳み可動部やネジ部分に頑固な固着はなくすべて普通に緩めることができたのです。
「さすが世界に冠たるジャパニーズ・プロダクト。これなら直せる!」
しばらく雨ざらしにしただけでシートポストが固着するような今のアジア製とはモノが違うことが工具から伝わる感触で直接理解できました。
 実際当時で3万円以上もした「高級車」です。
インストラクション
(オリジナルに付属の立派なマニュアル)
 というか自転車自体が今よりずっと高価なものだった時代でした。その加工精度、組み付け精度、すべての作業の丁寧さは現在のものとは比べものにならない、ということでしょう。

 そして何年か過ぎ、ようやくレストアに取り掛かりました。中学高校時代乗っていたピクニカは盗まれてしまったのですが・・・

 それをずっと持ち続けていたらこうなったであろう

 これがレストア・コンセプトです。
 すなわち自分好みに改造(←当時既に)されたうえ、持っている間に何度かあるいは徐々にアップデイトされた感じ、それを取り付け交換された部品の年代(=時代考証)で具現化しよう、というものです。簡単に言えば
「真新しくない、当時モノの中古部品を使った ピカピカじゃない仕上げ」
です。自転車趣味の世界は偏屈が多いのか(失礼)そのもの自体の価格が(クルマやオートバイに比べれば)安いがゆえかそれとも産業構造自体が未整理(これまた失礼)なのか特に部品は、使わずに「寝かせて」置く例
(=デッドストック)が非常に多く、どんなに古い物でも、それも新品に近いものが大概入手できます。ネットオークションでも
「こんなものが・・・!」
と驚くような旧いものあるいは珍しいものが数年も待てば(←これまた気が長い話ですが・・・)出てきます。そのネットオークションを活用して'70年代の部品を集めよう、というのです。その際の「ルール」は・・・
 1)錆落としなんぞに時間はかけない(=錆びてる部品は交換)
 2)着いていた実用車用部品はなるべくスポーツ車用「やや高級」部品に
 3)当時モノあるいは現在でも形が変わらないものはできるだけ新品に
・・・といったところでした。

 当時の部品を知らないと集められない

 というところが趣味として「入れ込める」ポイントでしょうか(笑)
 実際このルールに従うと「残骸」の中から使える部品はフレーム本体と
ブレーキアーチが1ヶのみ
Bアーチ
(左側=ワインマンの超ロングアーチ。40年前のオリジナル!)
 で、ほとんどの部品を調達する必要がありました。
・・・to be continued.
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  1. 2014/01/05(日) 15:15:43|
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謹賀新年

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  1. 2014/01/01(水) 21:08:29|
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