カスタムバイク:Fホイール・アライメント

trail.png   
 とりあえず見た目機能的要件は満たすようになった
全5 
お買い物スケーター号
 ですが、その走行性能は・・・?
 これまでに経験のない特殊な車体です。試乗しつつの微調整いわゆる
ファインチューンには腐心しました。何より安全性のためです。

 まずブレーキ。
 しょぼいフロントアーチですがホイールの移動(後述)もありブレーキトルクのかかる方向が曲げから引っ張りに変わったからでしょう、思いのほか効くようになりました。リアの「ママチャリ」ブレーキも「キーキー音」なくちゃんと効きます。ただしそのRブレーキ本体の、フレーム側固定部分の精度に難があり(=ホイールをまっすぐ引けず)修正しました。
 加えて、タイアがタイアだけに(←接地性が良いとは言えない)無造作なブレーキングによる前輪スキッド転倒を防ぐため、常にRからブレーキが効きはじめるよう、左レバーをバーに近く、遊びも少なく調整しました。

 そして、やはりというべきか極端な小径タイアゆえ、操縦安定性には無視し得ない瑕疵がありました。
 安全のためその改善(=ハンドリングのアジャスト)をFホイール・アライメントの見直しからやることになりました。

 以前似たような話題を自分のロードバイク(カスタムマニア)項で取り上げたことがありますが、その続編ということで(笑)

 まず走らせてみると・・・
 直進性はかなりというか、相当低いです。スケーティング時はさほど感じませんがペダリング時、踏み込みの反作用による「蛇行」を抑えるのが難しいほどです。慣れない高齢者にはかなり危険なレベル、でしょう。「発散」して(=とっちらかって)しまうかもしれません。
 見ればオフセットゼロの超ショートフォーク。トレール値
(=ステアリング回転中心の延長線とタイア接地点の距離:トップ画像参照)はタイア半径×キャスター角分しかありません。

 直進性に影響を与える要素はそのトレールのほかあと3つ、
 前輪の慣性モーメント(=ジャイロ効果)と
 接地面の形状(=その縦横比が細長いほど外乱に強い)ですが
 どちらも小径ゆえ、直進性の助けは期待できません
(残る一つはホイールベースですが、これはいじれませんね)。
 さて困った。
 とりあえずいじれるのはトレールのみ。なんとかしてトレール値を増やさねばなりません。

 まずその方法の一つ、「キャスター角」を寝かせてみることにしました。
といってもフレームを切り繋いだり、炙って曲げたりはちょっと・・・(笑)
 ではどうするか?

 姿勢をいじります。オートバイの場合で言うなら
「リアの車高を下げる」
のです。といっても自転車に車高調整はついてません(笑)
 またどれくらい下げれば良いかも見当がつきません。そこで暫定的に・・・
 ホームセンターで売っているL字ステーを使い(←得意技!)30ミリ程度アクスル(=車軸)位置を上げて(←車高は下がる)固定してみました。
 ステー1枚分センターがずれている状態ですが試乗してみると・・・
 直進性には改善は見られましたが微々たるもの。不十分です。何より車高の変化でサイドスタンドが機能しなくなってしまうとか、大事なフロア平面が後傾してしまうとか弊害の方が大きく、この方法は却下です。
 あとリア廻りでできることは残っていません。なんとかフロントで勝負をつけるほかなくなりました。

 ここでFフォークのオフセット、トレール、キャスターについて少し・・・

 キャスター角はハンドリングの話題でよく聞くキーワードですが実はさほど重要ではありません。椅子の足についているキャスター
trail3.png 
あれこそはキャスター角0(90°)で
オフセット即ちトレールによって復元力(=直進性)のみを与えたものです。
進む方向に(180°近く回ってでも)収束し、安定するのはご存じでしょう。
BMWでのこんな実験も・・・
 R69.png
(ゼロキャスター、マイナスオフセットでトレールのみ与え・・・?)
 こうして見ればキャスター角とは、そのためだけではないとはいえ
「トレール値を現実的車体寸法に収めるためにある」
といってもいいでしょう。

 そう、重要なのはトレール値の方なのです。

 トレール値は大きいほど安定します。操縦性としては
「曲がり難くなる」
とも言えます。
 またオートバイの話になりますが・・・
 カワサキZ1は、その大きさと重さの割りには非常に軽快なハンドリング、と評価されていましたが、その秘密のひとつとして大きなフォークオフセット
(=少ないトレール)があったようです。
 そしてストリートでは良好なその特性もずっと高速になるレースの世界
sbpr.png  
(昔SuperBike Production Roadraceシリーズが人気を・・・)
 では「不安定」ということで、オフセットのずっと少ない、弟分Z650の
フォークブラケット(完全互換)に交換するのが常套手段となったとか。
900.png  650.png
(ヘッドパイプ-フォーク間、向こうが見えるZ1と見えない650)
トレールの適正値は狙った速度域によっても違う、ということですね。

 自転車の話に戻しましょう。

 Fフォークのオフセットとは・・・
 フォークブレードを前方へ曲げることによって、前後方向の剛性を保ちつつ上下方向の剛性を落としサスペンション効果を狙うと同時に、通常の大径ホイールでは過大になりがちなトレール値を適正な範囲に収めるため、にあります。
trail2.png
(アメリカSchwinn社によれは、103ミリは過大ということになります)
言い換えれば、
サスペンションがあってホイール径がほどよく小径ならば
オフセットは要らない(=上図右と同じでよい)のです。
 これが、本来サスペンション効果が欲しいはずの小径車にストレート
フォークが多い理由です。
20.png 203.png  
  201.png 202.png
(見た目上は、よけい前後に詰まって見えますね)
 ちなみにショック吸収性を考慮した小径車用ベンドフォークの理想を追求するならば、ブレードを一度後方へ曲げそこから再び前方へ曲げ直す
「S字フォーク」
なんてのが考えられますが(笑)制作上の理由なのでしょう
(特製クラウンとか曲げ治具の問題とか・・・)実現は難しいようで
onda.png  
(小径車じゃない・・・)
ピナレッロのオンダフォーク以外(笑)見たことはありません。

 一方、「逆オフセット」の自転車もあります。

 「ドミフォン」です。
 バイクペーサーの後方で空気抵抗を減じた状態で超高速を維持しながら走るトラック競技です。ちなみにそのためのウルトラハイギアも備えます。
domifon.png 
(これはバイクペーサーではなく、なんとポルシェ935&ペスカローロ!)
「極限までペーサーに近づくため・・・」
と説明されてきましたが、実際には極限の直進性を求めて、だと自分は思ってます。
 だって曲がる必要ないんですから。

 そして買い物スケーター号にも、同様に「逆オフセット」を与えてみることにしました。
逆オフセット
(L字ステー・・・美的には大変不本意ながら、これで・・・)
 他車流用といっても、こ~んなに長いヘッドパイプのフォーク、なんざあるわけないし(笑)やはり「切り炙り」もできずリア同様、とりあえずL字ステーの「ホームセンタースペシャル」でテストです。
 30ミリ程度後方にオフセットさせました。シューの可動範囲を大幅に越えるのでとりあえずノーブレーキ(!)です。

 走らせてみると・・・
 これがなかなか調子いい!
「これなら・・・!」
と思えるくらい直進性は改善されています。

 ただし新たな問題も幾つか現れ、手放しには喜べない状態に・・・。
 長くなったので・・・To be continued.

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  1. 2014/04/29(火) 12:50:55|
  2. Bicicletta
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カスタムバイク:お買い物専用車@Mother's day

 きっかけは老母の話でした。
「普段の買い物は自転車で出掛け、荷物が多いと危なっかしいので・・・
 帰りは乗らずに、押して帰って来るの・・・」
それを聞いた自分
「そんな手押車みたいな使い方があるか!乗ってなんぼの自転車だろ?」
しかし母は頑固です。
「私はそれでいいの!」
それにしても、その使い方には今ある自転車
(=いわゆるママチャリ、26インチと大きめ)はいかにも不適当に思えます。そこで
「ようし、帰りは押してくる前提の、買い物専用車ってやつを
 仕立ててやろうじゃないの!」
てなわけで一丁カスタムバイク製作となりました。現在母親は検査入院中、納期は退院後、ということになります。

 まずベース車ですが楽な取り回しのため、短く低く軽くそして安く(!)
ということで・・・スケーターバイク (異形!?)にしました。
SB_20140426202629cbc.png  SB2.png
(これがオリジナル。ハンドル廻りに注目。出品者画像より)
 キックスケーターに駆動系(クランク/ペダル/サドル)がついたやつ、超小径車です。これなら足着き性良く両足べったりで安心。行きはペダルを漕いでいっても「フロア」に立って片足ケンケンしながら転がしていってもいいでしょう。そして買い物の帰路・・・

 大きな、もしくは重い荷物はその「フロア」に載せて帰ってくる!

 のが主要コンセプトです。実勢価格3万円以下ですが、またもネットオークションで状態のよい個体が安価に入手できました。当然色は選べずなんとアーミーグリーンの迷彩!「後期高齢者」には派手かもしれませんが(笑)
母は昨夏開催の「サンダーバード博」に行きたがるくらい
tbh.png
(お台場でありました。これに連動した雑誌Penは必見かも)
 変わった人なので問題ないでしょう(笑)迷彩でも通じるはずですが、
「国防色」とでも言っておきますか。

 さて実車を(電車で!)引き取ってくると・・・予想はしてましたが、とにかくハンドルが遠い!床に立つスペースを取ったのは理解できますが、自分の体格でも肘が伸びきってしまうほどです。小柄な女性(含母)では乗りきれないのではないでしょうか。実際オークション出品者(=元持ち主)の女性もその辺りに不満はあったようです。
 クランクは130ミリと子供車並みの短さにもかかわらず、特にサドルが低い状態だとペダルが非常に踏みにくいことも判りました。サドルを思い切りセットバックさせる(=後方へ引く)必要があります。
 そうするとますますハンドルが遠くなる・・・少々立つスペース減らしてでもハンドルを相当手前に引かなければならないでしょう。
 また車載も輪行も高さ調整もしないので、オリジナルのクイック付きの首長ステムも無意味です。とりあえず「正しい」ポジション出しのためステムの交換は確定。それも前後逆に(=突き出しを手前に)使うことにします。
 ハンドルの方も結構なアップハンドルを手前に倒して使わないと十分な「後退量」が得られないかも・・・その場合、ママチャリバーのように手前への絞り角(=アップスウィープ)が大きいとバーエンドが下がってしまい、うまくありません。
 となるとフラットな(=絞りの少ない)大アップハンドルに加えて、前後逆転させても違和感の少ないステム(←そんなんあるか?)の組み合わせを模索することになります。
 溶接ステムか鋳物か?突き出しは100(オリジナルは90)mmそれとも130? 角度は115°くらいないとハンドルが下がってしまう?
 同時に取り付けるバーもオリジナルピクニカのようなものを探しましたが、なかなか丁度良いものはなく・・・
おりじなる 
(オリジナルはクランプ部が特殊で流用できない・・・)
  色々考え、シミュレーションの結果(笑)
元々のキックスケーターのスタイリングイメージから・・・
KS.png
ブリッジの付いたBMXのハンドルセットにしました。
BMX.jpg
(ちなみに右が前。前後逆にしか見えませんねえ・・・)  
 一方、フロアに荷物用のカゴを付けるとそこには立てません。
 そこで荷物の固定(保持)はカゴではなく、脱着できるゴムバンドかネットを使うことにします。そのためのフックを、と探していたら・・・便利なタイラップ型がありました。
フックストッパー
 いくら荷物は床に置くといっても食べ物とかはちょっと・・・
 前カゴは付けることにしましょう。といっても極端な小径車ゆえポン付けとはいきません。あれこれ考えるうちに重量物のステアリングへの影響も避けようという意図も生まれ、前カゴはハンドルではなくフレーム固定にすることにしました。
 シートポスト用キャリアをひっくり返して装着、そこカゴを載せ固定します。上(縦)マウントはどうしよう、とホームセンターをうろつくと・・・ありました!
1インチのヘッドチューブにジャストフィットするステー付きクランプ。
クランプ 
(銀色のそれ。下方が逆転ポストキャリア。クランプ上方の丸穴にも注目)
 配管素材ですがスグレモノと思います。カゴはサイクルベースあさひの格安処分品を。
 サイドスタンドは位置が悪く(=リリースはしやすいが後ろ過ぎ)カゴが重くなると転倒しそうなので、前方へ移しました。
スタンドペダル 
ペダルもスケーティング時の邪魔にならないよう、折り畳みに変更。  

 コミューターとしては鍵も重要です。
 自重が軽いので持って行かれる心配があり、どこかに括りつけるワイアロック(しかもダブル)が望ましいのですが
「高齢者に、施錠の度毎回しゃがみこませるのは難儀ではなかろうか・・・」
とそこで一計、 盗難に対し視覚的抑止力を発揮させるような・・・
ステアリングロック
ロック 
(=南京錠!これをぶった切るのは面倒・・・と思わせれば・・・)
 を掛けられるようにしました。得意の荒技で(笑)ドリルで穴を開けただけですが。

 以上がハードウェアというかまあ外見上の変更点になります。
全5
こんなバイクになりました。
 全1
その姿は期せずしてホンダのヘビーデューティー系(?)スクーター
ps250.png
PS250
 ズーマー  
ズーマー
を思わせるものになったのは大変興味深く・・・偶然でしょうか。

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  1. 2014/04/26(土) 20:28:48|
  2. Bicicletta
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Gendermerie

 
桜も散り
 革ジャンの季節も終わりが・・・といいつつも例年暑くなるまで着てますが(笑)そこで久々にレザージャケットの話題をひとつ。

 自分の持っている中で今シーズン最も活躍したジャケットがこれです。
coat
 ネットオークションで見つけた、フランス仕入れの軍ものコート(=古着)。
 オークション出品者は古着屋さん。商品説明にはどこ軍のものか不明、
しかも画像も不鮮明と今一「やる気のない」出品だったのでライバル(?)
は皆入札を控え、様子見状態でした。
 そんな中そのシルエットに松本零二のマンガ
松本  
的なものを感じるとともに(笑)
 軍もの=ミル・スペック=コスト度外視の高品質・・・であろうと判断した自分、寸法的にもドンピシャだった(←理由としてはこっちの方が大きい)こともありギャンブル入札を敢行!結果的に無競争落札、安価に入手できたのがこのコートでした。
 届いて見ると、赤い羽根のような紋章
襟
(=左右対象)と大きな襟ぐりが目立つ、
襟自体も頬への当たりを考慮したメルトン地(←画像では判らなかった)
前合わせは手袋を想定したであろうボタンでも、同じメルトン地で
2重
防風カバー
 されたプレーンな外観・・・となるほどミル・スペックっぽい凝ったジャケットでした。前述のマンガっぽさや徹底した防風対策、ジャストフィットなのはもちろんすっきりしたシルエットで、関西で言う「シュッとした」イメージ、どことなく「海軍さん」的なものを感じます。
 ポケットの中には元持ち主であろう名札
robert.jpg 
(裏はベルクロ、でもこの服に付くところはない。MPは憲兵?・・・後述)
が残されており(笑)胸ポケットのブランドタグ
tag.jpg 
(なぜかマジック消し・・・?)
からはフランス製(@ストラスブール←フランス読み)なこと、素材は着馴れた牛革ではなくその柔らかい感触と表面のシボから羊革であることがが判りました。
 またネットで古着を(画像のみで)購入する際、確認の術がなくギャンブルにならざるを得ない臭いの問題!がありますが・・・幸いにもその点はカビも含め問題なく、「賭けに勝った」感もある嬉しい「獲物」でした。
自分はミリタリーマニア
prdtr.png 
ではないので(笑)
その本物感だけで満足、「どこ軍か」サーチはしませんでした。
そして自分の本能的「マーキング」
mark.png 
(これはクマの。犬のそれは憚られたので・・・)
とも言える革ジャケットのバックペイント 
  宮殿 (2)   abbey R
ELP1.jpg
RISING (2) 009.jpg
news (2)
(ペイントではなく実際にはドローイング・・・)
ですがこのコートぐらい、軍服としての様式美(笑)を持ち合わせていると、これ以上の「足し算」は馴染まないのではなかろうか・・・ちょっと見、前面がシンプル過ぎて「もの足りない」くらいのやつが絵を描くに適していると常々思っているので・・・というわけでこいつには絵は描かない、ことに決めました。

 が代わりにというか、ピンズでも着けてみよう!という気になりました。それも車関連でもバイク関連でもない、何かミリタリーイメージのものがいい!もちろんベタベタたくさんではなくひとつがいいでしょう。
銃器メーカー、例えば映画 「ダーティ・ハリー」
DH.jpg 
で有名な スミス&ウェッソン
SW.jpg 
(これもオークションで。グリーンのは珍しい・・・)
とか
glck.png
グロック
とかのロゴなんかあればいいなと考え、何度かお世話になっている
フランス・ピンズ専門店ピンズ・マルシェ で物色です。
そちらのHPでミリタリーカテゴリーを見ていると・・・
なんと、このコートの襟章と同じものが販売されているのを発見!
JDRM.png
標題には 「ジャンダルムリ憲兵隊」 とあります。

 調べてみると・・・フランスには通常の軍隊、警察そして憲兵隊の3軍があるそうな。憲兵隊と漢字で書くと何かイメージ悪いですが(笑)英語ではミリタリー・ポリス(=MP。上記参照)武装警察のことです。

 フランス・ジャンダルムリは中世、オスカル、アンドレの(笑)近衛兵の時代からの歴史と伝統を受け継ぐ由緒正しい「軍隊」で、警察の手に余る「治安出動」に備え戦車や艦艇、航空機まで武装配備しているとか。
 そして現在の主たる任務としては
あのルマン24時間
GT40.jpg
(これはGT40ではなく、あくまでフォードのピンズだったの安価でした)

ツール・ド・フランス(自転車)
TdF91.jpg
(これは45mmもある、珍しく巨大なピンズ)
といったナショナルイベントの 警備
gdr.png 
(見覚えありませんか?)
があるそうで、
となるとがぜん自分の趣味に引っかかりが出てきたのです。
偶然ですが(笑)

 そしてそれらを考慮し選び、手に入れたピンズがこれです。 
pinz
ジャンダルムリの白バイならぬ「青バイ」。   
車種はヨーロッパのポリスらしくBMWのトップモデル、R100RS。 
   ハンス・ムート・デザイン
TD.png 90s.png
の派手なバイクですね。
R100.png
(初代R・ムーアの方が有名な、TVシリーズThe Saint より)
 しかも背景は、あのターマックラリー
 「ツール・ド・コルス」
corse.pnglr.png 
 で有名なコルシカ島のシルエット!と自分の趣味のアイコンを反映しまくりのピンズです。
 きっとコルシカ島のバイク部隊のものなのでしょう。大変気に入ってます。

 たった30ミリ足らずの記章です。誰も気づきゃしないとは思いますが(笑)
まあ密かな楽しみということで・・・。
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  1. 2014/04/20(日) 09:56:10|
  2. Jacket
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オイルパンの話:モーターサイクル

 
(これは集合管で有名なYの製品、アルミ製)
 4輪に比べ、より3次元的な運動(=バンク)をする2輪車。
 それゆえモーターサイクルの運動性向上には低重心よりマスの集中
(重量物を重心付近に寄せる)が要求されます。
 当然エンジンを低く積む必要はなくエンジン下には大きな空間があるためオイルパンの高さを削る必要もありません。コーナリングにおいても、車体をバンクさせるため横Gはかからず(=縦と前後のみ)それゆえオイルの片寄りもないのでドライサンプの必然性も薄れます。実際飛んだり跳ねたり、
時には逆さまになる
MX.png  
(=油面が安定しない)
オフローダーには標準装備のドライサンプですが
現代のロードバイクでの採用例は少なく、初代CB750がその筆頭でしょう。
750.png
 初代ナナハンはなぜドライサンプになったのでしょう?
 思うに、宗一郎総帥をはじめとする技術陣の「意気込み」がその理由ではなかったか、と感じます。つまりそれが「新時代のスーパーバイク」に相応しい「高級な」技術に他ならなかったから、だったのでしょう。実効があったのももちろんです。それまで
mv4.png
 GPレーサー
 以外に例のない、初の量産空冷4気筒です。当時の2輪車は夏冬で指定オイルが違っていた時代でもあり、潤滑トラブルなどあってはならない!
と、信頼性の保険としての強制潤滑だったのでしょう。
(実効は伴うものの)いわばメカ・アイコンとしての採用は同車ディスクブレーキも同じでしょう。有名な逸話ですがCB750、デビューのショー会場にはドラムブレーキ仕様で持ち込まれたそうな。それを見た宗一郎氏
「あれはどうした?」
その、正に「鶴の一声」で展示車は本来発表の予定のなかったプロトタイプのディスクブレーキ仕様に差し替えられとか。
DB.png  dsk.png
宗一郎氏の短気と、ディスクブレーキの採用理由がメカ・アイコン寄りだったことを窺わせるエピソードではありませんか。

 そしてCBナナハンを取り上げ話題にしない訳にはいかない最初期型、通称「K0」独自の特徴、砂型クランクケース!
 バイク雑誌の「国産車アルバム」の同車解説に
「最初期型のみ一本スロットルワイアと砂型クランクケース・・・ 」
との記述があり以来「手造り」のイメージ先行で「珍重」されるようになった・・・のでしょう。
 生産方法で、砂型で行くか金型を起こすかは単純に生産量によります。
 ホンダはこの新型車がセンセーションを巻き起こすことは確信していたと思いますが、売れる!とまでは確信が持てなかったはずです。それはCB750のクランクケース生産方法に砂型を選択したことで明らかです。そして当初の予想を大きく上回る反響にそれでは生産が追いつかない!これが金型を起こした理由でしょう。
 CBが金型移行以前に複数用意したかどうかは定かではありませんが普通、木型は一組みしか作りません。それゆえ1日の生産量は職人が1日に抜ける(=作れる)砂型の数で決まります。そして生産を急ぐあまり職人が「慌てて」仕事をすると砂型の失敗が増え一段と作業効率が落ちるのです。
 砂を詰め終わった木型の外枠を叩いて型を「緩め」枠を外し、砂型から木型本体を抜く時(息を止めてやるような作業です)ちょっとした引っかかりで例えば、薄いフィンの部分の砂がポロッと欠け落ちてしまう!なんてことが往々にして起こります。
 時間に余裕があればその型は廃棄、作り直しですが急いでいると、欠けた部分を「糊」でくっつけて・・・。一部マニアがありがたがる「手造り」の痕跡とはそんな、砂型職人の失敗の跡だったりするのです。
 上記「緩め」にしても寸法精度は落ちる方向です。正確さ、均一性では金型の圧勝。機械部品としては金型鋳造製の方が明らかに優れています。そう、K0よりK1の方が「正しい」機械なのは確かです。総じて砂型鋳造は手造りゆえその分だけアバウトなものとは言えるでしょう。
 それでも、例えばその鋳肌の風合い(≒サンドブラスト後の肌)
sb_20140413110732a3b.png
(これは金型部品をサンドブラスト加工で砂型風に肌を荒らした例)
といった砂型の魅力も確かにあるのですが。

 さて2輪オイルパンの話に戻しましょう。ロードレース用オイルパンは
 横倒しにしたL字(=Γ)型
 です。深いオイル溜まり部分が片寄っている理由は、エグゾーストです。そうオイルパンが集合管を避けているのです。レーシング・モーターサイクルならではの車体要件、
dm.png
60°にもなんなんとするそのバンク角
 を確保するため車体下方も横幅を詰めなければならず、エキパイ一本でさえ通すところを考えなければならないということなのです。
 そのロードレース用オイルパンの形状(Γ型)は、車体要件なので各社共通です(笑)
 なかにはオイル溜まり(=深い部分)から腰上の「急所」へ直接オイルを圧送するためなのでしょう、垂直方向に「通路」が設けられている場合があります。
 その場合、中子を置いての鋳込みになりますが吹き終わった後、中子を形作っていた鋳砂を取り除かなければなりません。太い針金でつついての原始的(笑)作業です。この時設計者氏に砂型鋳造の知識があれば、その作業性を考慮した通路の取り回しとか、あるいは木型屋さんが超絶アイデアでなんとかしてくれる、なんて場合もありますが、そんなこと全然お構いなし!という設計もあります。
 K社のオイルパンはそんな鋳物でした。

 オイルパン上面(エンジン内部クランク下)に穴を開け通路の砂を掻き取った後、溶接で埋める!

 という、ある意味非常に乱暴な設計でした。当然溶接部分の肉厚が管理できない(!)ことになりますが、
「オイルパンなんてそんなもの、漏れなきゃいい 」
という考え方もある、ということです。
 K社のマシンを駆る我等がヒーローN選手。その勇姿をTV観戦中のことでした。スピードは落ちていないのに(=エンジンパーツ破損ではない?)
盛大に白煙を吹き上げ!リタイアしたことがあります。
「あそこの溶接が剥がれたか?」
・・・真相は闇の中です。
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  1. 2014/04/13(日) 08:26:46|
  2. Moto
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オイルパンの話

 2週「お休み」したマグネシウムの話、再開しましょう。

 前回GT選手権について取り上げ、呉越同舟
(実は誤用。ホントはそこに協力がなければそうは云わない・・・)
と表現した、自分の工場で作られる各陣営のパーツの数々。中でも、GTに限らず2輪を含め各車それぞれその狙いや思惑が端的に形状に現れるエンジンパーツ、
オイルパン

(これはいかにもイタリア的なFIAT124用大容量アルミ製ウェットサンプ)
 
 についてお話しましょう。

 まずGTマシンに巨大な6気筒を積むN社。
 RB26.png
(下端、薄べったい褐色の部品がそれです)
 運動性能のためにはできるだけ低く積みたい、ということでオイルパンは非常に(上下に)薄いものの図面が上がってきました。
 それを木型屋さんにまわし共に鋳造法案を決め、出来上がった木型で
砂型を「抜き」その製品を「吹く」のが鋳物屋の仕事です。しかしそれでは「素材」どまり。素材納品は稀で、普通はその後の機械加工や表面処理まで手配、管理し完成品として納品します。

 ドライサンプのオイルパンはオイル回収のための受け皿です。いかに効率よく「吸い取る」かが問われますが、その時撹拌抵抗を発生させないため、通路でつながった2重構造
DS_201404052036151db.png 
(クランクウェブ側と回収部を仕切る)
 になっています。そして鋳造の際その2重構造は「中子」と呼ばれる砂型を浮かせて空洞部分を作り出し実現するのですが、その分デリケートな作業になります。
 そして同車は毎年エンジン搭載位置を下げるアップデイトを敢行、それは毎年ミリ単位ですがオイルパンが薄くなることを意味します。かくして非常に凝った構造の、作りにくい巨大な「蓋付き製氷皿」
sara.png
(これが一体化してると思って下さい)
 のような鋳物ができあがったのでした。
 この「作りにくさ」とは「歩留まりが悪い」即ち失敗が多い、ということです。構造上真ん中に「上がり」を立てるわけにはいかずそれゆえ湯に「力がなく」
真横に薄く流れるうちに冷め力尽きてしまうのです。鋳物の真ん中に湯の届いていない大穴(!)が開いてしまうこともありました。

 続いてT社。選手権が白熱してくるにつれ開発競争も激化します。それを抑えるためレギュレーションの締め付けも厳しくなります。ある年は空力開発抑制のため
フラットボトム
surotto.png
(これはスロットカー・・・)
 が義務付けられました。T陣営はそれを逆手に取り、オイルパン最下部に完全フラット部分を追加し(一部3重構造)エンジン搭載位置も下げフロアを貫通させました。つまりフラットボトムの一部をオイルパンに肩代わりさせたのです。ついでにオイルパンの厚みを利用しエアを後方へ抜くチャンネルもサイドに設けフロントのダウンフォースも稼ぎ出します。そう、オイルパンのエアロパーツ化でした。これはT陣営、一石三鳥の秘策だったのですが、皮肉なことにそのデビューレース(=開幕戦)で1台が接触だったかコースアウト。しかも、こともあろうに腹を見せて転覆!秘密兵器エアロオイルパンは初日にして白日の元にさらされたのでありました。

 F3のオイルパンをマグネシウムではなくアルミで吹いたことがあります。
ARF3.png 
(これはよく似てますが別もの、アルファ・・・)
 普通レーシングパーツは肉は薄く、あらゆる部分の無駄を廃した軽量設計が基本ですがそのオイルパン、ブロック下左右に張り出し、駄肉はついているは本来中空のところが埋まっているは、わざと重くしているとしか思えない、持ち上げる時
「くっ」
と声が出るような謎の代物でした。訊けば「バラスト」とのこと。F3マシン
(ダラーラでしょう)は軽量化が進み既に最低重量を下回っておりバラストを積む必要があったのですが、

 床に錘を貼るぐらいならオイルパンを重くしてしまおう

 という意図なのでした。
 フォーミュラは、F1がナロートレッドになってしばらくするまでは、さほど
前輪荷重は与えないのが普通だったのでオイルパンバラストでよかったのでしょう。しかし、これがエスカレートして (?)
「・・・今度は鉄で・・・」
というオーダーもありました。ズク(=鉄の意)の設備はないので木型を送っての外注でした。できあがってきたそれは、それこそ持ち上がらないくらい、重量挙げのバーベルを連想させるような物体でした。

 F3オイルパン、軽量化と低重心化はレーシングカーの基本、と改めて認識させられた鋳物でした。

モーターサイクルの場合は
MCOP.png 
 同じレース用オイルパン
 でもだいぶ設計要件が違うのですが、長くなったので・・・
to be continued.
  1. 2014/04/05(土) 20:16:56|
  2. Magnesium&Race
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