F1エンジンの多様性

 
(ブラバム-アルファ・フラット12 デビュー時。インダクションに注目!)

 前稿F1エンジンルールについて、事実誤認がありました(汗)
 今年からのエンジン、バンク角は90°で決まっているそうです。勉強不足申し訳ありません。なぜそんな誤解が?というと・・・
v10.png
 V10時代のルノー

 車体要件に特化した広角エンジンでパワーの劣勢を覆す快走!そのイメージが強烈で(笑)そういった「エンジンの多様性」すなわち
「色んなエンジンがあって欲しいなあ」
と漠然と考えていたのに引っ張られてしまった・・・と、いわばファン心理みたいなものの成せる技でして・・・。

 90°のみ、ということであればクランクスローの件はなし、全車等間隔点火で間違いないでしょう。となると「冴えない音」の問題はやはりレヴのせいではないでしょうか。昨年までのV8、リミット19000rpmだと1秒間に
 1266回
 も爆発していたものが今年のV6、規則上リミット15000ですが実際には燃費の問題で12000、その時毎秒
 600回
 爆発と「音源周波数」は半分!
 これでは「突き抜けるように!」は聞こえないのはある意味当然でしょう。踏んでいって
「おー来る来る」
って時にスロットル戻してるようなものですから。


 前述の、最高峰のモータースポーツにあるべき(と思います!)エンジンの多様性、それについて話を続けると・・・

 今年のエンジンルール、4気筒という選択肢はフェラーリによって葬り去られたのは前稿の通りですが、もしも許されていたら・・・
 きっと、1.5リッター時代のブラバムのような
Brabham.jpg
「横倒し」4気筒
 は間違いなく現れたことでしょう。
 当時ブラバム(=MRD)在籍中だった鬼才G・マーレイが繰り出した、
 画期的「低重心」を可能にする秘策がこの横倒しエンジンでした。
 この、わざわざBMWに作らせた「ぺったんこエンジン」とそれ専用の、サイドポンツーンの高さしかないような・・・
BT55.jpg
低~い(!)車体
 は当然前投影面積(≒空気抵抗)も小さくウィングの効きも良く、その低ドラッグを利して素晴らしい動力性能と低重心による異次元のハンドリングを実現するはずでした。一方デメリットたる横倒し(=クランクセンター移動)のため追加されたギアトレインの駆動(パワー)ロスも、当時はあり余っていた(笑)ターボパワーで問題にならない・・・はずでした。
 が、思った通り行かないのは世の常、勝負の世界では尚更で、このBT55はその特注ギアボックスの完成度や横倒しゆえの潤滑の問題等で信頼性に欠け、うまく走りませんでした。
 加えてドライバーが、その寝そべった運転姿勢に馴染めなかったことも同車の不振を助長したようで、R・パトレーゼなどは思いっきり車体からはみ出し(=起き上がって)空気抵抗になりながら(笑)運転していました。
 レーシングドライバーとは、前後左右からの

 強烈なGフォースに耐えつつ行う繊細な操作の正確さを競うアスリート

 です。ドライビングポジションはとても重要なはずです。鉄人(ⓒフジテレビ)パトレーゼも譲れないものがあったのでしょう。

 直列エンジンの場合、傾けなければ給気系は
F3
f3.png
のようにドライバー頭部後方左右どちらか
 に突き出すことになります(BT55は横倒しゆえ真上でした)。
 モンテゼモロ氏はきっとその左右非対称な姿がお気に召さなかったのではないでしょうか(笑)もし実現しても(?)ウィングへの悪影響も無視できないでしょうし、例の追い越しデバイス「DRS」の効きも悪くなるかもしれません。実際美しさも相当損なわれることでしょう。モータースポーツの最高峰には相応しくないかもしれませんね。


 一方、ストリートカーでも低重心化のためのスラント(傾斜)エンジンの例は散見されます。
BMWの名機M12
2002.png 
(これは2002tiのレースカー)
市販車はそうなっていますし(F2は別!)
当ブログに何度か登場しているアルファの4気筒にも同様の例があります。
アルファの「市販レーシングカー」
tz.png
TZ
 です。アルファの4発はご存知の通りウェットサンプ、
op - コピー  
底部に凸型の大きな(オイルクーラー兼用の?)オイルパン
 を持ち垂直に積まれます。しかしTZはレーシングカー、
「高性能化のための手立ては予め打っておこう 」
ということなでしょう、ごついオイルパンを廃しエンジン位置を下げるため
ドライサンプ化。加えて空力のためでしょう、低いボンネットを得るためエンジン全高も下げるべくエンジンを傾けたのでした。
tze.png
(随分景色が変わります。傾き、判りますか?)

 ところで!
 F3で、全く同じ目的のため全く同じアプローチで「横倒しエンジン車」を作ったプライベート・コンストラクターが、それも日本に居たことをご存知でしょうか?
 次回はそのF3について・・・。

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  1. 2014/07/25(金) 23:31:53|
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Turbo F1 2014

f12014.png 
(それにしても際立つ今年のマッサの残念っぷり・・・)

 2014シーズンのF1、大変なことになってます。

 まともに走れない車がほとんど、大混乱と言っていいでしょう。
 その原因の多くはドラスティックな車両規定変更に帰せられますが・・・
それにしても酷過ぎる。
醜い、「アリクイ」とういよりは・・・
f2014.png
口蓋垂(ノドチ◎コ)ノーズ・・・
 や冴えないエンジン音はともかく「モータースポーツの最高峰」とは到底言い難い各車の完成度の低さ。現役ワールドチャンピオン
(贅沢なことに5人もいるのに!)ですらまともに勝負させて貰えない状態
です。ドライバーズチャンピオンシップの名が泣きます。各ティームには、

 テストと練習ははシーズン前に終わらせて来い!

 と言いたいところです。まあ、そのテストが
(バジェットでのティーム間格差を生まないよう)制限されているのが問題なのですが。
 このままでは今シーズンのチャンピオン争い、残念ながらハミルトンとロズベルグのティーム内バトルで終始することでしょう。
 我等がカムイの活躍は(さげまん!とは切れても)車が悪過ぎで期待できませんが・・・
 ライコネンがどれだけアロンソを破るか?
 とか見所はあるのですがいかんせん◎タク視点(笑)もっと分かりやすい、

 抜いた抜かれたどっちが速い (←ああ壊れた・・・ではない)

 といったシンプルなモータースポーツ本来の魅力をアピールしていって欲しいものです。

 今回のレギュレーション変更で悪さ(=熟成不足によるトラブル多発)
しているのがハイブリッド・システムですが、エンジン自体も大変更でした。

そのエンジンについて少々・・・
turbo.png 
(上が2014、下が’80年代・・・見難くてすみません)
 形式的には1.6リッターV6シングルターボ、80年代の1.5リッター・ターボとは機構的には大差ないはずですが、その音には大きな違いがあります。
 その差はなぜ?
 検証してみましょう・・・

 1.5リッター時代は気筒数の縛りはなかったので直4も複数ありました。
なかにはターボの高圧によるガスケット吹き抜け対策として・・・
hart.png
模型エンジンよろしく「ヘッド-ブロック一体鋳造」
のものもあったとか・・・。
 bmw_20140720094453136.png
 BMWのそれ
 はチャンピオンになっているのことからもV6勢に対し4気筒は性能面は互角でも、見た目は多少(最高峰のエンジン、としてはかなり)見劣りします。
 拙文参照の通りボアサイズの問題で、1.6リッターならエンジン単体としては恐らく・・・増してやシングルターボならば排圧の点で4気筒の方が性能的に有利ではないか、とは思いますが・・・
 今回のエンジンルール検討段階において、恐らくは「見た目」の問題で「V6」を強硬に主張したのが
フェラーリ代表
luca.png
「ルカディー」
 モンテゼモロ氏でした。
 氏にとってマルチシリンダーの伝統が売りであるフェラーリが

 しょぼい4気筒を積む!

 なんてのは考えられないこと、F1が「ターボつきF3」になるのは耐え難いことだったのでしょう(笑)
同社、過去には
trc.png 
500TRC (大藪春彦の「汚れた英雄」で有名?)
や社外ではありますが
「フェラリーナ」ASA1000
asa.jpg
(@ブガティック)
 four.jpg
なんて例外(=4気筒)もありましたが。
 4気筒の話題はこれくらいで・・・(笑)
 問題のV6、新旧顕著な差はターボの数です。’80年代はすべてツインターボでした。排気エネルギーを効率よくタービンに当てるためにはなるべく近くに置きたい訳ですから、性能重視のF1としては当然の選択です。
 しかもフェラーリは
126C
gil.png
(有名なダブルRウィング仕様を駆る#27、ジル・ヴィルヌーヴ)
において左右バンク完全対称化を目指し、逆転タービン(=左回り)を日本のIHIに特注したそうな。
RA.jpg
(これは同じくIHI製のホンダ用。排気と給気側の大きさの差に注目)
 RAT.jpg
(もてぎコレクションホールに展示されているものと同じ)
 タービンは普通右回りですが・・・
 左右同じタービンを使うと排気管の取り回しを左右で変えねばならず、
バランスが・・・ということらしいです。
ツインターボ 
(別エンジンですが・・・タービンが同じ向き。これを嫌ったということで・・・)

さすがF1のこだわり!といったところでしょう。

余談ですが・・・フェラーリF40に
f40.png 
KKKやギャレットではなく、ラリーで使い慣れた
開発に「小回りの利く」IHI製ターボを採用したのが、
かの闘うエンジニア、N・マテラッツィ
(上記参照)
だそうで・・・
彼はF1にも関わっていたのでしょう。
F40オーナーには堪らない新たなF1イリュージョン
(ⓒ沢村慎太郎)でしょう・・・。
しかしアップデイトの激しいF1の世界です。さすがのフェラーリも後半は
126c.png
左右同じターボになっていましたが。

 余談はここまで。シングルとツイン、性能的にはトルク特性に違いがあるはずですが「音」に違いは・・・?
 この際、ターボ抜きで考えればV6の排気系において、

各バンク独立(=3into1×2)と集合管(=6into1)どちらの音が良いのか?

 V8ならばフォーミュラニッポンにおいて「音を良くするための集合管化」という成功例がありますが、残念ながらV6ではストリートカーを含め、実例を挙げることができません。音については不明です。
 もし左右分割の方が快音、なのであればシングルターボである限り今シーズンの「音」の問題・・・
 ライブで観ていても、どこか遠くでレースをやっているような、あるいは
 録画を見ているような、そんな印象を受ける冴えないサウンド・・・
 は解決できないでしょう。
FIA(FOCA?)も実際に音質改善のため
メガホン 
(・・・!)
megahon.png
「メガホンマフラー」
 のテストも行ったものの芳しい結果は得られなかったようです。

 音質の問題でもうひとつ。
 MotoGPの世界においてピークパワーではなくトルク特製、主にトラクション性能を上げるため4気筒のクランクスロー(≒形状)を変えて2気筒のように動かす

 同爆エンジン

 なるものがあります。この技術をF1エンジンが採用していたとすれば・・・
 今年の音質になる可能性は非常に高いです!
  各エンジンのバンク角は不明ですが、等間隔爆発になる60°ではなく90°のようです。となるとオフセット・クランクピンが使われているのはほぼ間違いありません。もちろんターボを綺麗に回すには等間隔が良いように思われますし、4輪エンジンのトラクション特性ってのもピンと来ませんが・・・
 これらについては調査中です。


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  1. 2014/07/20(日) 09:49:33|
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ステップバン:返却

 
(返却直前にパンク、そのまま走行してタイヤ全損、なんてことも・・・)

 飯山の山本社長から

「ステップバンそろそろ車検だから、いっぺんこっちへ戻して」

との指令がありました。

 当ブログの読者ならご存知の通り()現車、まだフロア修理が完了してません・・・がオーナーのお達しとあらば仕方ありません、時間切れです。

 まあ途中とはいえ作業前より状態はずっと良くなっているはず。
社長も喜んでくれると信じつつ、車両配送の算段です。

 前回はキャリアカー陸送でしたが今回もそうした場合、帰路の
「空荷」が面白くない。
 替わりの「お持ち帰り」に良さげだった(笑)パンダ4×4は売れてしまったそうな。しかも入れ替わりに来た車は
「幅が広くて君ん家には入らない」
とのこと。全長は入るそうで・・・一体どんな車・・・


r5t.png 
(車検があって動くってんで飛びついてしまったとか)

 ステップバン、フィーリングによる「自主規制」最高速が70km/h()同じく巡航速度が65キロと、非常に非力なので

「高速道路は厳しいかも」

と社長。また、持ち帰り車なしならば帰りの公共交通機関の利用は確定。そうであれば往復コストもトラックレンタルより抑えたいところです。高速道路は厳しいってことでもあるし・・・

 よし決めた!一般道自走で行こう。

 検索すると全行程およそ8時間!何やらY10陸送時と似たような
「罰ゲーム」の様相が・・・()

 帰路は社長おすすめの高速バスを選択。初体験です。

 今回は単独行のつもりでしたが、前回もお手伝い頂いたU氏から

「お付き合いしましょか!」

のありがたいお声掛け頂き(言わせた?)不案内な道中、文字通りナビゲーターとしてご同行お願いしました。

さて当日。

晴天でもさほど暑くない絶好の「エアコンレス陸送日和」の日曜早朝

U氏宅へ。

start.jpg 
(元祖トールボーイスタイル)

 なんと4食分のお弁当(おにぎり2人×2回分=8ヶ+から揚げ)持参でピクニック気分を盛り込み、苦行感を和らげます(笑)

 U氏宅のある港南区から保土ヶ谷バイパス⇒246⇒8⇒17号と順調。上尾あたりで朝食。高崎から18号、いよいよ碓氷峠です・・・
 登りません!
 登坂車線があるとホッとするレベル、340キロがやっと(!)という区間もありました。スロットル全開サチュレートを続ければ壊れてしまうでしょう。適当に「抜きながら」走らせます。

 登りきりました。

nagano.jpg

ここで昼食。

 後は下り基調、ハードコーナリング()は上がったボディ剛性のおかけで安心感が違います(笑)

 軽井沢市内で給油(排気量だけでなくタンク容量もバイク並みの20リットル!)日中ゆえ眠気もありませんでしたがここから運転をU氏と交代。

 道がちょっと入り組んできたので、ナビに専念してもらうべくコンビニ休憩でまた自分と交代。
 長野市内に近づいた頃、ちょっとミスコースなんぞもあり(笑)
さすがに疲労と注意力散漫になってきた感覚があったので最後は飯山まで再びU氏に交代。

 ルマンでチェッカーを譲ったドライバーの気分でした(^◇^)

 

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  1. 2014/07/13(日) 00:53:21|
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マグネシウム・コ-クスクリュー:M

 
  (・・・適当なコルクを刺してあります)

 最近、車や自転車への作業の結果は別として・・・(笑)
 「作品」をアップしていないことに気づきました。そこでトップ画像、

 マグネシウムコークスクリュー

 です。もちろん過去の作品ですが、実際のところ制作活動が止まっちゃってるので・・・(笑)

 螺旋(ネジ)が切ってあるので便宜上「スクリュー」と呼んでますが、これではきついワインコルクは抜きにくいでしょう。正しい用途としては、

 飲み残しボトルの栓

 ですね。その場合、取り付けるコルクは切るなり削るなりしなければならないので・・・あまり実用的ではありません。まあオブジェ、ということで。

 ご覧の通りアルファベット「M」を形取ったものですがこれ、砂型で吹いた「鋳物」ではありません。
 マグネシウムの塊(=上がり。マグネシウムの話その2稿参照)から
型も図面もイメージスケッチもなしに、フリーハンド一発で削り出した

 一品物

 です。したがって(厳密には)二度と同じものは作れません。
 Mの2つ△の下穴にドリルを
エム
上部V字切り込みに半丸ヤスリ(のエッジ)を使った以外は、
ネジ 
ネジ部を含め(!)
 全てエアリューター一本で削り出しています。

 その工程は、以前説明した通りのマグネシウムの特性、切粉離れの良い
「切削性の良さ」
「鏡面が容易に得られる」
その2点のメリットが生きて、想像されるよりは大変じゃありません。もちろん簡単とはいいませんが。

 これがもしアルミだったら?
 リューターの振動で手が痺れてくるぐらい、大変な作業になるはずです。
また同じようにアルミ鋳物の「上がり」を素材とした場合、ピンホール
(=溶湯に混入したガスにより上面に出るポツポツ。マグでは発生しない)
も問題になるでしょう。鏡面は難しいかも。
一方これは鏡面仕上げの後、艶消しクリアを吹いてありますが、
結構な年数が経っているので
corc-s.jpg
若干腐食が見られます。

天は二物を与えず、そんな印象を受けますね。

 アルミに比べればマグネシウムは「面白いように」削れます。作業しながら考える余裕も生まれます。その余裕を利して、リューターを当てながら・・・
えむ  M.jpg
「ここの形はこうしよう」
スクリュー
 「ここはこんな曲面で・・・」
という具合に、思い付くまま削り進めていく・・・そんな、いわば当てずっぽうで形作っていったにしてはきっちりまとまった、美しい形状になったのではないでしょうか。
 これを作ったことによって自分の中で大文字アルファベットの、一つのフィロソフィーというか形状パターンが確立、完成直後には
「次はどの文字を・・・!」
ぐらいの勢いでした。が結局、「次」はありませんでした(笑)
意識はともかく体は正直です。それだけ大変、だったのかもしれませんね。

 もしこれを見て・・・
「気に入った!イニシャル◎、を作ってくれ」
なんて方がいらっしゃったら・・・
現在手元に残っているマグネシウム塊は、これのみ。
塊
(大きさは右のSDアダプタから類推を・・・)

 ここから取れる分だけはお受けできます。

  1. 2014/07/06(日) 12:00:00|
  2. Magnesium&Race
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