Beta orange

 
(Beta March 761 Ford,launch)

 前稿でオゼッラF2について書きましたが、格好良さのかなりの部分がそのカラースキーム即ち、オレンジのBetaカラーによるものなのは否めません。

 ’76年、スーパーカーブームとほぼ時を同じくして突如我が国に沸き起こったF1ブーム。
F1の世界  Lauda-at-Brands-Hatch-a-c-010.jpg
 そしてその真っ只中にいた少年十字野郎(笑)ある種の憧れの目線で見る数々の・・・
P34.png
グラン-プリ・マシン。
 初めて見る、当時の日本のレースカーとは全く違うセンス、色遣いのカラフルなF1カーの中にあっても一際目立つオレンジ単色。鮮烈な印象を受けたのがトップ画像、Betaマーチでした。
 自分の目にはストライプや色分けといった「小技に逃げない」単色カラリングの潔さがマーチF1マシンの、市販型レーサーをベースとするがゆえの構造的シンプルさともマッチして大変好ましく見えました。
 それに加え、そのコクピット前部にある「牛の角」のようなマークが「スパナ」を現わしていることが判るようになると、未だ知らないBetaの工具・・・
beta.jpg
(今では幾つか持ってます)
 も同様に自分の中で「良いもの」となっていました。いわゆるimprinting(刷り込み)というやつですね(笑)

 マーチ761は前年型のブラッシュアップ版。その最大の特徴たるスポーツカーノーズ(⇔ウィングノーズ)の左右上端に新たに設けられた脱着式のFタイア・フェアリングが目を引きます。材質はアルミ(鋳物かも?)らしいですが、この使い方なら木材でもOKかと(笑)
 当時「F2上がり」とか「F1.5」あるいは「フォーミュラ3000」などと揶揄されてもいたらしいマーチですが、その出自ゆえのナロートレッドとスポーツカーノーズ。それを利してのロードラッグで、最高速にアドバンテージがあったようです。しかしそのスポーツカーノーズゆえの前輪の慢性的オーバーヒート傾向があったのも事実なようで、雨に強かったのはその辺りに理由が・・・。

 マーチ総帥、R・ハードは航空機畑の出身。空力に関しては常に精力的に、様々なアプローチを試みていました。
 例えば前稿登場のF2、782では「空洞サイドポンツーン」に加え、ボディ上面で発生するリフトを嫌ったのでしょう、気流をサイドに逃がす形状を試みたり・・・
bg.png 
(垂直に造形されたコクピットカウル前面に注目・・・)
ge.png 
761では時代の先をゆく「Rディフューザー」を・・・
mf1.png 
もっと前には、これまた時代を先取りしていた
サイドスカートがない、だけのロータス78式サイドポンツーンとか・・・
mf.png
  
(これは一代限りに終わった「テーブル」ウィング・・・)
 色々な「技」を繰り出していました。そんなアイデアマン、ハード御大にしてはこの761、その年後半に施行される全高規制対応の低いバージョンも含め「インダクションポッド」の開口部の端部処理はどう見ても切りっ放し(!)今では家電にも使われている・・・
ベルマウス形状
bm.png 
(その効果は海で、シュノーケリングで体験できますW)
 にはなっていません。この開口部では気流(車体)に角度がつくとてきめんに吸入効率が落ちるはずです。それを知らなかったとは思えないのですがなぜか・・・造り易さを優先してしまったのでしょうか・・・?
 そんな、ある意味微笑ましい時代ではありました。

 ここでBetaの工具について少し。
 アマチュアMCメカニックのバイブル
2shb.png
2ストロークレーシングハンドブック
 の著者、元2輪GPメカの吉村誠也氏はハンドツール趣味の「導師」でもあります(笑)氏によるBeta評は・・・

 レースの現場で大トルクが必要な部分はあまりなく、ならばとタフネスには若干目をつぶりつつ(=やや華奢で)も各地を転戦するレースメカニック向けに、薄く軽く造られているのが最大の特徴。大トルクでしなるくらいがかえって使い勝手が良い場合も。カラフルな外観も魅力

 ・・・といったところでしょうか。自分はフルセット持っているわけではないので総合評価できる立場にありませんが、限られた経験内ではその通りと思います。
 その昔、リラが安かったうえ正式な輸入代理店も決まっていなかったのでしょう(?)Betaはディスカウントストア「ダイクマ」で大量に扱われていました。
beta.jpg
 あの時買っておけば・・・と思っている方もいることでしょう(笑)

 自分の場合は、工具に目覚めると同時に訳あってKTCを揃えはじめてしまっていたので、Betaには「行けなかった」のでした(T_T)

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  1. 2015/01/29(木) 10:52:18|
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Hillclimb Special:Osella


(Osella PA20 for hillclimb)

 ヒルクライムのマシンを調べてゆくとひとつの、馴染みのある名前が目に留まりました。オゼッラ Osellaです。

 昔F1にも参戦していたのをご記憶の方も多いでしょう。
of1.png 
(当時はオセーラとか言われてましたが・・・)
 上記F1時代は「その他大勢」扱い、リザルトにも見るべきものは残念ながらありません。いちプライベティアの情熱だけでは乗り越えられないトップカテゴリーの壁、といったところでしょうか。

 そのオゼッラの名が世界に轟いたのは'79年、F2での成功でした。
asprint.png 
(その鮮烈さは雑誌の表紙になるくらいのインパクトが・・・)

 ロータス(≒ACBCことC・チャプマン)が歴史的名機78
l78.png  
(これは1977、FISCO・・・)
 で「ウィングカー」のメソッドを一般化させた2年後、そのテクノロジーは下位クラスにも波及、それまでF2で鳴かず飛ばずだったオゼッラもその流れに追従、結果生みだされたのがオレンジのBetaカラーが映える・・・
F2.png 
FA2/1979
 でした。2年振りにF2の舞台に現れたオゼッラはそれを駆る若きアメリカン(=後のF1ドライバー)E・チーヴァーの能力もあったとは思いますが、チャンピオンこそ逃したものの刮目すべき快走を披露したのでした。
 その、お世辞にもスマートとは言えない(笑)・・・
cheever.png 
(どこがむしろズングリした・・・失礼)
 無骨なクルマが驚くべき速さを見せる!自分もその格好良さに痺れた一人です。

 当時のF2をリードしていたのは英国のマーチ。現在のダラーラ Dallaraのような立場でした。
「市販レーサー」
ゆえでしょうが、冒険を避けた手堅い、どこか「学生の習作」っぽいスタイリングのマーチに比べ、機能と造り易さを優先させつつもディテールの処理にどこか美的センスというか「芸術性」を感じさせ、一品物の雰囲気を持つ(?)オゼッラF2、記憶に残る一台だと思います。

 ちなみにマーチといえばその前年、日本GPで圧倒的快走を見せたチャンピオン、
bg.png  
B・ジャコメッリ
 憶えている方もいることでしょう。彼とマーチ782BMWワークスカーが当時の日本のレース関係者に残したインパクトも相当なものがありましたね・・・余談でした。

 オゼッラの名をはじめて我国の自動車ファンに知らしめたのは恐らくカーグラ・・・
7304 (2)
 OT2000
 の記事でしょう。高名なアバルト・コレクターK氏のたってのオーダーで、既にデリバリーの終わっていたOT2000を改めて組み上げた、アバルトと関係の深いレーシングガレージ・・・として紹介されておりました。
 実際アバルトがフィアット配下となりそれまでよりある意味、自由が利かなくなった’70年代前半、アバルトのレースカーには
oa_20150118151654373.png
 ABARTH-OSELLA
 の文字が現れるようになっています。
 アバルトの人達はフィアット傘下となってからは主にラリーを闘い、後のアルファ・コルセとなってゆくのですが、手薄になった「サーキット走行」レース部門を受けて立ったのがそれまでアバルトのセミワークス的存在だったオゼッラ・・・そんなストーリーなのではないでしょうか。
ao.png
 そう考えると納得できる、カーグラの記事です。

 そのオゼッラは現在も存続、主にイタリア国内選手権とヒルクライム用に2座スポーツカーを製造しています。トップ画像のPA20です。
 このPA20はスタイリング上、前後オーバーハングの造形に特徴があります。
 テールは半ば無意味に(?)ダックテール風にシェイプされ、加えて前部は現代のレーシングカーとしては相当なロングノーズです。これだけFオーバーハングが長いとテコの原理でより強いダウンフォースが得られる反面、空力的に敏感・・・
 路面とフロアとのクリアランスの変化(=ピッチング)に連れてダウンフォース量も変化してしまう・・・
 結果的にセッティングを出し難い、乗り辛いクルマとなってしまうはずです。
clr.png 
(その極端な例がルマンでのコレ・・・)
 なぜそんな、ロングノーズになったのでしょうか?
「そんなに高速は出さない(≒ルマンには出ない・・・?)でもとにかくダウンフォースは欲しい・・・」
そんな設計者の意図を感じます。
 そう、このクルマはとにかくダウンフォースが欲しいヒルクライム用、らしいのです。HPによるとルマン等、耐久レースを考慮した2種類のロールバーの仕様があるようで、イタリア選手権がターゲットなのも確かですがそれよりも設計上、ヒルクライムへの比重が高い、というか執着(?)があるように見受けられます。
「マウンテン・キング」
への情熱は並々ならぬものがあるように感じます(笑)

 ダウンフォース狙いのFオーバーハングの長さはヒルクライムでの実戦上、こんな亜種(仕様)を生み出しています。
pa20.png
(ノーズをアウトリガー状に整形、別体の「ウィング&カナード」を追加)
 この追加デバイス、ウィング後方下部に車体があるため十分なエアフローが得られず所定のダウンフォースは得られないことは現在では明らかになっている処理です。
  しかしそれでも、ちょっとだけでも・・・これこそ空力、風洞実験が「エンジニアの頭の中で行われていた」’70年代のセンスでしょう(笑)
 これはPA20ではなく前述アバルト-オゼッラのテールですが・・・
nabarth.png 
(EX.パイプの位置、その突き出し具合、色、ステーの処理・・・正にAbarth)
 こういった雰囲気は現行車にも散見されます。
 なにより、現在のレーシングカーのパワーユニットにわざわざ長大なBMW6気筒を選ぶ・・・
bmw6.png 
(確かに直6クランクは完全バランスですが・・・それにしても!)
 いかにもエンジン偏重(笑)マルチシリンダー好きのイタリアンセンス、そう感じます。

 ’70年代の「レース屋」のセンスを持ちつつ21世紀にも生き続け、しかも「峠」にその主戦場を求める熱きコンストラクターOSELLA、極東から陰ながら、応援したいと思います。

  1. 2015/01/18(日) 15:22:19|
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Hillclimb special:その3


(長閑な、山岳列車で有名な?Dunieres。ここでも・・・!)

 ヒルクライムの話題、続けましょう。

 ヨーロッパのヒルクライムは各地でメジャーなものだけでも年間16戦以上が行われており、各戦100台近くがエントリー(!)と盛況です。
 その実態は・・・

 ヨーロッパ各地のスキーリゾートの夏場の呼び物

 としてその登坂路(もちろん公道)を閉鎖して行われているタイムアタック競技です。スキー場ゆえの峻険な、凍結時は登坂困難であろうその急勾配はスロットルを戻せば減速する(?)ので安全性にも若干寄与しているのでしょう(笑)
 競技形式自体はターマック・ラリーのSS区間とは極めて近いものですが、登りしかないこと(ラリーなら下りもある)と一人乗り(コドライバーなし)であることが決定的な違いなのは既にお話した通りです。
 DVDが手に入るイベントだけでも・・・
 Trento Bondone
 Saint Goueno
 Verzegnis
 Le Mon Dole
 等の有名なリゾートや自転車のツールドフランスで知られる
 Col St.Pierreなどで開催されています。

 各開催地では
「年一回の夏のお祭り」
として認知されているようで観客の老若男女、それぞれが思い思いに楽しんでいる様子・・・盛り上がっているのはもちろん、人によってはその走行など全く見ずに、音を聞きながら?テラスでお茶を、あるいはピクニック気分で・・・といった光景はツールドフランス等自転車ロードレースと同じ雰囲気です。
 その光景を敢えて我が国で例えるなら・・・
 マラソンの沿道応援風景、もっといえば
「これを見ないと年が明けた気がしない」
といった、熱心な大勢のファンが毎年詰めかける
「駅伝」
が一番近いかと。

 その長閑な雰囲気と素晴らしい景色・・・
ペーター 
(今にも「ペーター」が出てきそうでしょう?)
 お伽話の世界のようなヨーロッパの山村の公道・・・
 そこを直管(?)の爆音、スキール音とゴムの焼ける匂いと共に数々の純レーシングカーが駆け上がるのです(!)
regal.png190.png
nsu.pngbmwgp.png
imp.pngr2.png
osella.png
 そのミスマッチ感に魅力を感じるのは、実は我々アウトサイダーゆえの感覚かも・・・そう、地元では、日常ではないものの案外
「普通」
の事なのかもしれません。

 各地各戦を転戦しているプロフェッショナル(含セミプロ)はもちろんいますが地元の、年に一度の晴れ舞台として「型遅れ」の(?)コンペティションカーに相応の手間とコストをかけ完璧に準備し出陣する、そこそこ裕福であろう(もちろん年配が多い)ドライバーは、地元の名士であり
「おらが村の代表」
尊敬を集めるヒーローなのです。
 旧いレーシングカーなんぞ持っているだけで・・・
「遊びクルマを乗り回して(←差別的表現!)道楽か・・・」
ぐらい言われる、どこかの国とは大違いです。
 自動車だけでなく自転車、モーターサイクルも含めレースというものがスポーツ、イベントとして、もっといえば常に身近にある
「文化」
として認知されている彼の地ならでは、の雰囲気でしょう。
 なぜそういった、自動車ファン、レースファンにとっての理想郷的な雰囲気が生まれたのか?理由は実は単純、
「歴史」
です。
 ヨーロピアン・ヒルクライムを取り巻く人々・・・参加者、関係者、観客・・・彼等にとってその光景は「生まれた時から」のものなのですから。

  1. 2015/01/15(木) 14:16:09|
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Hillclimb Special:その2

pbs.png
(Porsche's hillclimb Special,909`Berg Spyder')

 さて、ヒルクライム専用車の歴史について少々・・・

 前稿の通り、現在のようなモータースポーツ、公式競技としてオーガナイズされる前からヒルクライムはありました。

 ヒルクライムに要求される性能はその原初から唯一、登坂性能すなわちパワーとトラクションです。
 他にもスピードを殺さず曲がるためのコーナリング性能とかもあるにはありますが何より重要なのは出力と駆動力、そしてそれを支える軽量化と駆動輪接地力(=後輪グリップ)なのです。そしてそこに専用車の生まれる必然性があります。ヒルクライム・スペシャルのはじまりは

 軽量化と後輪接地性に特化した改造車

 なのです。ヒルクライムは、どんなにアクセルを踏もうと急勾配のため他のモータースポーツよりスピードは低く、比較的安全といえます。ならばドライバーのプロテクション(=ボディーワーク)は空力を含め最小限(≒なし)でよかろう、ということで昔からボディはペラッペラ(もしくはストリップ=裸)が一般的、競技車ゆえ保安部品もなし・・・ヒルクライム・スペシャルの誕生は以前話題にしたホットロッドとの近似性を感じさせます。

 ヴィティッジ期のマシンにはこんなBackyard buildなスペシャルが、多々ありました。
hlcs.png
(しかもこれはセンターステアリングの単座!アメリカものですが・・・)
 軽量化のためボディー外被は一切なし。そしてトラクションのための後輪ダブルタイア・・・と正に上記の通りなのはお判り頂けるでしょう。

 トップ画像はポルシェが造ったヒルクライム専用車・・・
909.png
909ベルクシュパイダー
 です。ちなみにBergとは山岳のことです。
 当時の同社持ち駒たる
t331 - コピー (2)  910.png  
カレラ6                 カレラ10  
 等のフレーム、パーツを使って仕立てられたこの車。(ポルシェなりの)ペラペラボディ、簡略装備、後輪グリップ、機動性そして好視界に特化したスペシャルなのです。ダウンフォースへの意識の発露は感じさせるものの(笑)空気抵抗は無視したであろう、極端に短かい前後オーバーハングに軽量化と運動性への、そして当時としてはアップライトな着座姿勢にショートホイールベース化と好視界への、それぞれ配慮が感じられます。
 ちなみにこの車の経験が後のタルガフローリオ・レーサー、908/3に繋がるようですが同車については別の機会に。

 ポルシェをして「ワークス・レーサー」を造らせるほどのヒルクライムの価値です。ヨーロッパに数多あるレーシング・コンストラクターもこぞって、それぞれのヒルクライム・スペシャルを仕立てたことでしょう。
 前稿で取り上げたFiat600用大容量Rサスのスペシャルもその一例です。
berga.png 
(大きなRサスユニット以外はそのまんま・・・)
 オリジナルカーから主要メカニズムをそっくり移殖するという手間を考えるなら
「いっそのことミドシップにしてしまえば・・・」
とも思えますが、このタイヤです
「リアエンジンのトラクションを活かしたい」
という考えも成り立ちます。
 そう、重いエンジンを車体後方に突き出すRエンジン車はその後輪荷重(過重?)による優れたトラクション性能ゆえ、ヒルクライム・シーンにおいては今もなお絶大な人気を誇っています。
 加えてヨーロッパ各国にはその国独自の「コンペティティヴなRエンジン車」ともいうべき存在がそれぞれにあるのです。そしてそれらは一様に小さくて無骨な「弁当箱」風ですが(笑)それでいて「山椒は小粒でピリリと辛い」あるいは、いわゆる「羊の皮を被った狼」的な魅力を放つスポーツセダン、愛すべき「ツーリングカー」たちなのです。

 まずイタリア代表は・・・フィアット850です。
850.png
(この車の改造はAbarthか「それ風」にならざるを得ませんね・・・)
 前述600も、もちろん500もそうです。しかしどちらも少々旧くあまりコンペティティヴではありません。それでも、大改造を施し乗っているのはオーナー(であろう)ドライバーの、その車への愛情に他ならない、と思います。

 そして何といっても一番人気、フランス代表・・・
r2.png 
Simca1000Rallye2(&3)
 です。アバルトをして仏車にもかかわらず600の後継車とせざるを得なかった(?)優れたシャシー性能はボディーを着せ替えるまでもなく(笑)速い!ということなのでしょう。
 とはいえヒルクライムの伝統は活きていて見た目はシムカ1000でも中身は・・・というスペシャルもいます。
hcsimca.png 
(車体後部、パイプフレームになってます)
 イタリアにおける600(ベースのアバルト)にあたる存在としてフランスには・・・
8.png
Rnault 8 Gordini
 がありますがこちらも600同様やや旧く、何よりもはやコレクターズ・アイテムになってしまった感があり、ヒルクライム・シーンにはあまり登場しません。

 そしてドイツ代表は、VWビートルではなく・・・
nsu.png 
NSU1000TTS
 です。この車の特徴はそのエンジン冷却方式です。VW(そしてポルシェ)を擁する彼の国ではそれに馴染みがあるゆえ拒否反応(?)が少ないのか、はたまた
「後部に突き出すなら軽い方が・・・」
という判断だったのか、それは「空冷」なのです。
 実際高負荷時、熱的には苦しいはず(チューニングの際は一層)で、冷却のためエンジンフード(後部)は画像のように「半開き」が基本です。それが機能だけでなくアバルトに通ずる、高性能を暗示する外観的魅力ともなっています。フロントエンドにこれ見よがしに付加されたオイルクーラーも、アバルトやポルシェそして・・・
gtr_20150108205223904.png 
KPGC10
 にこれまた通ずる格好良さではあります(笑)

 そして英国ですが・・・
 イギリスに山岳はありません。ゆえに彼の地のヒルクライムとは文字通り「丘登り」、閉鎖された荘園内の緩い勾配のアクセスロードでのタイムアタック、といった雰囲気のものになり、Sprintingと呼ばれたりもします。ちょうど
Goodwood Festival of Speed
 のタイムアタック・シーンを想像して頂ければ、と思います。
 そこでイギリス代表は、ヒルクライムよりサーキットでその真価を発揮している・・・
imp.png
Hilman Imp
 です。とはいってもドーヴァーを渡り、大陸のヒルクライムに果敢に挑戦している猛者ももちろんいます。
 名機コヴェントリー・クライマックスを積む同車ですが日本ではほとんど馴染みのないルーツ・グループのぶっちゃけマイナーなセダン、ご存じない方も多いでしょう。実は自分も実車見たことがありません。

・・・とパワーユニットが後方へ突き出す、構造的にはある意味「異形」ともいえるリアエンジン車の、アンバランスな魅力
(自分には後輪を軸に、ボディー前半部とエンジン部分はバランスするように見えます・・・)にやられてしまっている仲間は世界中にたくさんいる!ということでした(笑)

  1. 2015/01/08(木) 10:48:30|
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Hillclimb special


(今は亡き名手G・PlasaのV8 BMW。ホイールハウスの高さに注目)

 前稿で触れたヨーロピアン・ヒルクライムについて・・・

「ホモロゲーションなし」と書きましたが、この競技があらゆる車両に対して門戸を開いている、という意味です。ヴィンティッジ期の古典車から最新のフォーミュラを含むレーシングカーまで、ラリーカーはもちろん2輪車、4輪バギー(ATV)に至るまでも走行機会が与えられています。言い替えればそれだけ細かいクラス分けが行われているということです。
 特に現車が現役当時「縛られていた」レギュレーション、ホモロゲーション、それを逸脱するモディファイが加えられていたとしてもそのクラス数の多さで吸収しているのです。

 その縛りのなさをよいことに(笑)他のどんなレースにも参加が許されそうもない、大改造を施されたヒルクライム・スペシャルも現れます。

 その筆頭がトップ画像、ヒルクライムのBMW使いとして勇名をはせた
G・プラサ(彼のみを取り上げたオンボードカメラDVDも!)駆るM3(?!)です。
 M3といってもそれは外観、キャビンのみ。エンジンは耐久レース用ジャッドV8に換装、570HPを誇るモンスターなのです。レース用でコンパクトな設計とはいえ絶対的には大きいV8を低く手前に積みつつ、サス・アーム長を稼ぐためFバルクヘッドより前の部分は大改造、というより「新造」され、まるで・・・
panoz.png
Panoz
のような純レーシングカー、別物に生まれ変わっています。
GPBMW.png 
(モノコック前端部分は消失、パイプフレームにWウィッシュボーン・・・)

実はこの車には兄弟車があります。
その外観からあの「DTMの生き残り」と広く信じられているこの・・・
190.png 
メルセデス 190E
 です。現在のヒルクライム・シーンでも非常に人気の高いこの車、かつてのDTMレーサーとはエンジンが違い、ジャッドV8。
 そう、この車はプラサBMWと全く同じ手法で造られた、同じように速いヒルクライムスペシャルなのです。

 そしてこれがヨーロピアン・ヒルクライムの絶対王者・・・
regal.png
R・RegalのローラF3000です。
 ウィング類はモナコ並みのフル・ダウンフォース仕様、車高は荒れた公道でもなんとか腹を擦らないギリギリの高め、ウォームアップなしの
(=冷えた)ウルトラソフトのスリックでの一発アタック!
 その緊張感は想像を絶します。山岳路でF3000を御しきるテクニックはもちろんですが、レーシング・ドライバーとしてのリーガルの精神力は比類ないものと言えるでしょう。
 彼もまたプラサ同様、DVDが出るほどのヒルクライム・ヒーローです。しかしその公道でのF3000渾身のアタックのリスキーさの証明として・・・
 彼もまた「今は亡き・・・」なのです。

 ・・・to be continued.

  1. 2015/01/01(木) 17:15:13|
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