Hillclimb Special:Osella


(Osella PA20 for hillclimb)

 ヒルクライムのマシンを調べてゆくとひとつの、馴染みのある名前が目に留まりました。オゼッラ Osellaです。

 昔F1にも参戦していたのをご記憶の方も多いでしょう。
of1.png 
(当時はオセーラとか言われてましたが・・・)
 上記F1時代は「その他大勢」扱い、リザルトにも見るべきものは残念ながらありません。いちプライベティアの情熱だけでは乗り越えられないトップカテゴリーの壁、といったところでしょうか。

 そのオゼッラの名が世界に轟いたのは'79年、F2での成功でした。
asprint.png 
(その鮮烈さは雑誌の表紙になるくらいのインパクトが・・・)

 ロータス(≒ACBCことC・チャプマン)が歴史的名機78
l78.png  
(これは1977、FISCO・・・)
 で「ウィングカー」のメソッドを一般化させた2年後、そのテクノロジーは下位クラスにも波及、それまでF2で鳴かず飛ばずだったオゼッラもその流れに追従、結果生みだされたのがオレンジのBetaカラーが映える・・・
F2.png 
FA2/1979
 でした。2年振りにF2の舞台に現れたオゼッラはそれを駆る若きアメリカン(=後のF1ドライバー)E・チーヴァーの能力もあったとは思いますが、チャンピオンこそ逃したものの刮目すべき快走を披露したのでした。
 その、お世辞にもスマートとは言えない(笑)・・・
cheever.png 
(どこがむしろズングリした・・・失礼)
 無骨なクルマが驚くべき速さを見せる!自分もその格好良さに痺れた一人です。

 当時のF2をリードしていたのは英国のマーチ。現在のダラーラ Dallaraのような立場でした。
「市販レーサー」
ゆえでしょうが、冒険を避けた手堅い、どこか「学生の習作」っぽいスタイリングのマーチに比べ、機能と造り易さを優先させつつもディテールの処理にどこか美的センスというか「芸術性」を感じさせ、一品物の雰囲気を持つ(?)オゼッラF2、記憶に残る一台だと思います。

 ちなみにマーチといえばその前年、日本GPで圧倒的快走を見せたチャンピオン、
bg.png  
B・ジャコメッリ
 憶えている方もいることでしょう。彼とマーチ782BMWワークスカーが当時の日本のレース関係者に残したインパクトも相当なものがありましたね・・・余談でした。

 オゼッラの名をはじめて我国の自動車ファンに知らしめたのは恐らくカーグラ・・・
7304 (2)
 OT2000
 の記事でしょう。高名なアバルト・コレクターK氏のたってのオーダーで、既にデリバリーの終わっていたOT2000を改めて組み上げた、アバルトと関係の深いレーシングガレージ・・・として紹介されておりました。
 実際アバルトがフィアット配下となりそれまでよりある意味、自由が利かなくなった’70年代前半、アバルトのレースカーには
oa_20150118151654373.png
 ABARTH-OSELLA
 の文字が現れるようになっています。
 アバルトの人達はフィアット傘下となってからは主にラリーを闘い、後のアルファ・コルセとなってゆくのですが、手薄になった「サーキット走行」レース部門を受けて立ったのがそれまでアバルトのセミワークス的存在だったオゼッラ・・・そんなストーリーなのではないでしょうか。
ao.png
 そう考えると納得できる、カーグラの記事です。

 そのオゼッラは現在も存続、主にイタリア国内選手権とヒルクライム用に2座スポーツカーを製造しています。トップ画像のPA20です。
 このPA20はスタイリング上、前後オーバーハングの造形に特徴があります。
 テールは半ば無意味に(?)ダックテール風にシェイプされ、加えて前部は現代のレーシングカーとしては相当なロングノーズです。これだけFオーバーハングが長いとテコの原理でより強いダウンフォースが得られる反面、空力的に敏感・・・
 路面とフロアとのクリアランスの変化(=ピッチング)に連れてダウンフォース量も変化してしまう・・・
 結果的にセッティングを出し難い、乗り辛いクルマとなってしまうはずです。
clr.png 
(その極端な例がルマンでのコレ・・・)
 なぜそんな、ロングノーズになったのでしょうか?
「そんなに高速は出さない(≒ルマンには出ない・・・?)でもとにかくダウンフォースは欲しい・・・」
そんな設計者の意図を感じます。
 そう、このクルマはとにかくダウンフォースが欲しいヒルクライム用、らしいのです。HPによるとルマン等、耐久レースを考慮した2種類のロールバーの仕様があるようで、イタリア選手権がターゲットなのも確かですがそれよりも設計上、ヒルクライムへの比重が高い、というか執着(?)があるように見受けられます。
「マウンテン・キング」
への情熱は並々ならぬものがあるように感じます(笑)

 ダウンフォース狙いのFオーバーハングの長さはヒルクライムでの実戦上、こんな亜種(仕様)を生み出しています。
pa20.png
(ノーズをアウトリガー状に整形、別体の「ウィング&カナード」を追加)
 この追加デバイス、ウィング後方下部に車体があるため十分なエアフローが得られず所定のダウンフォースは得られないことは現在では明らかになっている処理です。
  しかしそれでも、ちょっとだけでも・・・これこそ空力、風洞実験が「エンジニアの頭の中で行われていた」’70年代のセンスでしょう(笑)
 これはPA20ではなく前述アバルト-オゼッラのテールですが・・・
nabarth.png 
(EX.パイプの位置、その突き出し具合、色、ステーの処理・・・正にAbarth)
 こういった雰囲気は現行車にも散見されます。
 なにより、現在のレーシングカーのパワーユニットにわざわざ長大なBMW6気筒を選ぶ・・・
bmw6.png 
(確かに直6クランクは完全バランスですが・・・それにしても!)
 いかにもエンジン偏重(笑)マルチシリンダー好きのイタリアンセンス、そう感じます。

 ’70年代の「レース屋」のセンスを持ちつつ21世紀にも生き続け、しかも「峠」にその主戦場を求める熱きコンストラクターOSELLA、極東から陰ながら、応援したいと思います。

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  1. 2015/01/18(日) 15:22:19|
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