Aerodynamico:MotoGPの空力


(国内チャンプ中須賀駆るテストベッド)

 MotoGPマシンが凄いことになってます。Ducatiは昨年からでしたが、今年はワークス全車に「翼」が生えました。

 ということで今週はモーターサイクルレースにおける空力について、見て解る範囲内で(笑)考察してみましょう。

 まず2016MotoGPマシンの特徴となっているウィング、その実用的
(←実戦配備された)元祖は’70年代中期の・・・
heron.jpg 
ヘロン-スズキRG500
 でしょう。転倒時のライダーとの接触を考慮してエッジのない、その丸みを帯びた形状は(当時の)ちょっと前の・・・
mf1.png  mf.png
マーチF1
 を彷彿させます。このマシンは・・・
real.jpg
 J・ハント
 に続き?伝記映画が作られるらしい今は亡き名ライダー・・・
B・シーン
sheen.png
 (ロバーツが現れるまで最強でした)
 も乗りました。ところが彼は、一説によると
「マシンには無頓着」
だったそうで(笑)そのせいもあるのでしょう、このウィングの効果
(の有無)を伝え聞くことはありませんでした。
 まあ翼端板もない
(←せっかく切り開いた空気の流れが横からこぼれ落ちてしまう)滑らかな形状では効果は望むべくもなく、単なる空気抵抗でしかなかったのでは?とも思われます。

 増える抵抗、落ちる最高速に目を瞑ってでも、ウィングに望む効果とは唯一コーナリング時のダウンフォースです。
 ところがその効果は速度に比例するがゆえに一番効くのは、実はダウンフォースの必要がない「直線」なのです。とすれば、正しい設計の
(←ちゃんとダウンフォースを発生する)ウィングを装着したマシンは直線で不必要に(?)車高が下がっている、可能性があります。しかもウィングが重心位置付近にあるならば車体は水平に沈みますが現在のMotoGPマシンへの装着位置は前輪寄りです。したがって各車は望まない前下がり、前荷重で走らされていた、可能性があるのです。
 この直線時に前下がりの姿勢をもたらす過大な前輪荷重が何か「悪さ」しやしないか・・・?
 今回のレース後のヤマハ、J・ロレンツォが言及した「後輪グリップ不足」。これは正にそのダウンフォースの影響、だったのではないでしょうか。加えるなら予選時彼は燃料タンク位置違いのマシンを試していました。これも後輪荷重を意識してのものだったのでは?

 今後ウィングの装着位置が重心位置に来ることは恐らくなく
(←なっても禁止されるでしょう)この荷重変化問題は、今シーズンからワンメイクとなったミシュランを悩ませることになるのでは?とも思います。
 前戦のタイアライフのためのFlag to flagレースも実はウィングが引き起こしたのかも?

 ということでウィングは、効いて欲しいコーナリング時より直線で効き過ぎてしまう可能性が高いことがお判り頂けたことと思います。

 では、コーナリング時に効果を発揮させるにはどうしたら?

 ここで問題になるのがバンク角です。
 タイアのグリップを増すには真上から押さえつけるのが最も効果的なはずですが、ウィングが車体に付いている以上その荷重は車体垂直方向に作用します。ということは、発生するダウンフォースはバンク角の分だけ目減りしてしまうのです。またその目減り分はタイアを外に逃がす力ともなります。
 ウィングが(最近の車載カメラのように)バンク角に応じ可動すればより良い効率を発揮できる可能性がありますが、これも許されることはないでしょう。
 しかし固定された状態でも、車体バンク時上面になる片側のウィングのみをより効かせることができれば同様の効果が望めます。
 そして各車のウィングに与えられている「下反角」はそれを狙ってのことなのではないでしょうか。
 恐らく、ですが・・・
 バンク時下側になるウィングは「対地効果」等によって上側より効率が落ちる、と思われます。その左右(=上下)差を増やすのがこの「下反角」なのだろうと自分は考えています。

 ではこのウィング、今後どのように進化して行くのでしょう?

 まず現状大型化の方向が既に見えており、しかもそれは前輪に近づくかたちです。前述の通りそれでは過大な前輪荷重
(あるいは後輪荷重の減少)を招く可能性があります。したがって今後ウィングは禁止されるまで

 車体側方(≒重心位置)に向かって長くなる

 と思われます。そして既にドゥカティがやっているようにウィングを車体有効幅内に収めるため

 カウリング中央部が横に張り出す

 ことでしょう。こんな感じに。
SFC.jpg 
(Laverda SFC)
 並行してウィング面積を稼ぐため

 車体が細くなる

 ことも間違いないでしょう。以上は実は・・・
フォーミュラカー
マーチ782 
(ex.マーチ782)
 がグラウンドエフェクトでダウンフォースを得るため歩んできた道、そのものなのです。

 そして最近のライディングフォーム・・・
肘擦り
「肘擦り」
 を考慮すると、先頃のF1がコクピット内でやっていた
(←運転手が手動で空気の流れを変える)のと同様に・・・

 ライダーが肘で、下側ウィングの気流を阻害する(!)

 なんてこともあるかもしれません。

 MotoGP解説の宮城氏曰く「エアロ元年」である2016年シーズン序盤です。
 今後モーターサイクルにおける空力の秘密が明らかになる前にあえて予言的(笑)考察を書き散らかしてみました。この文章がどれくらい当たっているか、後に明らかになることでしょう。楽しみです。
 大外れだったら笑ってやって下さい。

 次週はモーターサイクルのカウリング形状の歴史的考察、の予定です。


RG500.jpg
(P・ヘネンとシーン)
 文脈の都合上無視しましたが(汗)ヘロン-スズキ、翼端板ありの仕様も存在してました。
 もちろんその効果は聞えてきませんでしたし何より危険です、やんわり禁止されたのかもしれませんね。
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  1. 2016/04/30(土) 11:19:15|
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