The‘moral winner’TOYOTA

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(ヒロ・松下とアルシェロ・ウェルズのレイナード#24)

 先週の2016ルマン、驚きましたねえ。

 レースの大半(23時間57分かw)を支配したトヨタは残り3分、あと一周という所で勝利を逃しました。その原因や分析は専門誌に任せることとして・・・
 鋳造屋時代の似たような経験(=トヨタ初優勝目前でのトラブル!)を思い出したので今回はその、2000年チャンプカー(CART)シリーズ第5戦もてぎ
ファイアストンFireHawk500
 のインサイドストーリーを。

 久々のレースの話題、しかも「鋳物」の話も盛り込みたいと思ってます。長くなるかも(笑)

 自分が在籍していたマグネシウム鋳造会社は横浜市は綱島にありました。そしてその最大のお得意様は当時は徒歩圏(!)という立地もあってトヨタ、それもそのワークスレーシング部門(?) TRD 様 でした。
 最大のマーケットであるアメリカでの宣伝効果を狙い(ホンダを追って)エンジンサプライヤーとしてCARTに参戦したばかりの当時のトヨタでしたがTRD-USAはまだ稼働しておらず、インディー・エンジンの開発、製作はツナシマが主体でした。太平洋を隔ててのレースマネジメントは小回りが利くとは言えず、加えてトヨタエンジンユーザーに有力ティームはおらず(失礼)’98年までは苦戦続き、でした。
 ただし遅々として進まない開発でもその分だけ新規投入パーツは非常に多く、我が社は潤ったのでした(笑)

 そして’99年。
 3型というべきエンジン(↑ トップ画像)は長足の進歩を示し、他社との差はかなり縮まりました(関係者によると、このパワーアップは云わば偶然、だったそうなw)。
 この細かいリブが特徴のインダクションボックスはアルミ製でしたが、さらなるパフォーマンスアップ(軽量化)を狙いマグネシウム仕様も投入されました。
 インディー・レースでは過去の大きな火災事故を教訓に消火の容易な
(=水で消える)メタノール燃料を使っていますが実はマグネシウム、そのアルコールに溶けてしまうのです。気化した燃料混合気程度では鋳物の内壁が失われるようなことはありませんが、このボックスにはフューエルパイプも鋳込まれていて・・・
 アルコールに侵されないような特殊コーティングを探すのは大変でした。例えば、フライパン屋さんにも行きました(笑)

 さあ2000年です。
 前年の進歩とトヨタのポテンシャル(≒予算w)を見たレース巧者ともいうべき辣腕ティームオーナー、チップ・ガナッシ(ルマンにいましたねw)は突如ホンダからトヨタに鞍替えを決めました。前年のチャンピオン・ティーム&ドライバー(=ファン・モントーヤ)が陣営に加わったことで意気上がるトヨタは全く新しいエンジンを投入しました。
 この第二世代エンジン、インダクションボックスが角っぽく、表面もフラットなところが特徴でした。
 indy.jpg
(中心の穴がポップ・オフ・バルブ取付部)
 なぜか我が家にあった(笑)画像のパーツ、確か正式名称はプレナム・チャンバー・アッパーてな名前だったかと・・・。それまで一体だったエアボックスがアッパーとロワ、上下二分割になったのでした。
 IB_20160625191359d02.jpg 
(画像下端が燃料パイプ部分)
 その年序盤から新型エンジンとトップティームのマネジメントそして何よりチャンピオンドライバー、モントーヤ異次元の走り(!)でトヨタは好調、記念すべきCART初優勝は目前・・・に見えてきました。

 そして第5戦「もてぎ」です。
 ホンダのサーキットとはいえトヨタとて地元(母国w)です。TRDは2種類の新仕様を投入。ひとつはなんと予選スペシャル(!)それが功を奏し、モントーヤ/チップ・ガナッシはポールポジションを獲得したのです。

 当時のCARTは結構なハイテクが導入されていて・・・
 ターボの過給圧制限のポップ・オフ・バルブは全車共通のオーガナイザー支給品、エンジンの最上部(=ドライバー頭部ロールバー後方)に装着されていました。
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(コレです。コードも見えるでしょう)
 当時このポップ・オフ・バルブの制御がパワーを引き出すポイントのひとつでした。
 もしレース中、過給圧が限度に達してしまうと・・・
 このバルブが自動的に開放され一気にパワーダウンしてしまいます。しかも圧力は瞬時には回復しないので、作動させたが最後あっという間に置いて行かれてしまうのです。したがってこれを作動させないギリギリの過給圧を保つ、のが肝要でした。ライバル(ホンダ)はターボF1での経験が生きていたのでしょう、この点で一日の長があったようです。
(一説には・・・ポップ・オフ・バルブ直下が二重構造で、しかもそこの流速が非常に速くなるよう「通路」になっており、実際より流速分圧力が低く検出されるとか・・・?)
 そしてこの過給圧設定は排気量等から考えるとかなり低めだったとか。
「そんな低圧ならひとつで十分」
とトヨタが持ち込んだ予選スペシャルはレース用とは異なり、シングル・ターボ(しかも片バンク?)だったそうです(←未確認w)。予選の短い時間ならアンバランスでも、という実戦的判断だったでしょう。

 そしてそのレース・デイ。生憎の曇天。
 朝の雨で濡れた路面はCART特製「ジェット・カー」で噴き乾かします
(ブォ-ッ!)オーガナイザーの判断は
「スタートしてしまえば雨天中止も致し方あるまい」(?)
といった感じで大急ぎで国歌斉唱・・・
 ところがそこで無情の雨(!)
 アメリカ生まれのオーバル・レースは雨天は考えられていません。オーバル用のレインタイアすら存在しません。中止です。実はこのイベント、雨天用予備日を儲けた土曜日決勝でした。翌日に順延ということになりました。
 流石はMLBと同じアメリカン・スポーツ・エンターテインメントたるCART。オーガナイザーは観客サービスとしてオーバルコースを急遽開放、自由に歩けるようにするだけでなく各ピット前にはテーブルが出され即席サイン会場となりました。オーバルのバンクを歩いて実体験(!)したのはもちろん・・・
J・P・モントーヤ
signature.jpg
(意外と小柄、でした)
 をはじめP・トレイシーら各ドライバーのサインをゲットしました。マリオの息子マイケル・アンドレッティや元F1ドライバー、C・フィッティパルディ、中野信治らは物凄い人気で近寄れませんでしたが(笑)アメリカン・レース・レジェンド・・・
R・ペンスキー
rp_2016062520441666f.jpg 
(以来ロジャー、と呼んでますw)
 のサインは嬉しかったです。一方ガナッシは
「自分は裏方、スターじゃない」
とばかりにサインくれませんでした。

 思った通り長くなってます。まだスタートまで行けてませんねえ(汗)
 以下次週。

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