Casting:鋳物の話

mag - コピー_1
(これはレア物。何用か判りますか?)
 鋳物の、鋳造一般の話をしましょう。

 以前「マグネシウムの話」として鋳造について書きました。
マグその1 その2 その3 その4 
オイルパン その2
 F3の記録 その2
 久し振りのその続編、重複する部分もあるかと思いますがお付き合い頂きましょう(笑)興味ある向きの期待には応えたいと思います。

 まず改めて砂型鋳造一般から。

 砂型とは製品(ワーク)に等しい「空間」を残し組み合わせた文字通り砂でできたブロック状の「鋳型」のことです。
 もちろん砂型に対し金型、という言葉もあります。以前・・・
CB750K0
CB750K0
 の話題でも触れましたが・・・
 砂型が鋳造毎に作り、壊すのに対し反復使用が可能なのが金型です。当然量産向きですが高コストでもあります。脆い砂型に比べ強固なので湯(ゆ、溶湯)を注ぐ際、圧力をかけること(≒鍛造)もできます。といっても自分の居た会社は砂型(すなわち手作業!)専門、このブログも少量生産のレーシング・パーツが主題なので金型については触れません。
 ちなみに鋳造することを「吹く」と言います。また加圧しない鋳造を重力鋳造と言ったりもします。
mag_1.jpg 
 トップ画像の某2輪コンストラクター(笑)のスペシャル・パーツの鋳造を考えてみましょう。
 まず木型を制作します。
 木型屋さんの仕事です。機械加工して製品となるよう部品接合面等加工部分に加工代を足した、製品と同じ形状の木製モデルを表面と裏面の2つを作ります。
 この時寸法はやや大きく作ります。
 金属溶湯は固体状態より膨張、体積が増えています。冷えて固まったときに正しい寸法になるように、設計図面寸法に対し一定の系数を掛けた数値で造るのです。マグネシウムの場合1.03だったかと(厳密には違うのですが)アルミも同じ数値でした。そう、アルミとマグは型を共用できるのです。
 普通、表面になる面を下型にします。いわゆる巣(≒気泡等の鋳造不良)は鋳物上部が現れやすいのでそれを嫌って上下逆にする可能性はありますが、稀です。
 砂の塊りに作りたい部品の表と裏をそれぞれ押し付け、その2つを重ねる、イメージです。
法案
(大急ぎで描きましたw)
 鋳物に対し砂型はこれくらいの大きさ。隙間に湯道等を這わせます。
 鋳造不良を防ぐべく湯は「静かにしかもなるべく早く」注ぎます。それを実現するため湯口、湯道(堰=ランナー。プラモと同じw)の取り回しを工夫します。
 また湯が固まってゆく際、熱い(=流動性のある)湯を供給し続けなければ鋳物の組織が粗く(巣とは異なる、スポンジ状に)なってしまいます。それを防ぐための最後に固まる湯だまり、「上がり」を鋳物の上部に立てます。マグの場合湯自体が軽いので押し湯を効かす(=組織を安定させる)意味もあり上がりは製品より大きくなります。
鋳込み終わって砂型を壊し、取り出した鋳物はこんな形。
鋳物
(湯口から上がりへの湯の流れ、想像できますか?)
 上図黄色部分が製品になります。上がりと堰は切断します。そう、上下型が逆だと上がり切断面が製品表面に来てしまう、のです。
 ここで鋳造一般でよく聞く「中子」について。
 中子(なかこ)とは鋳物の中空部分を「埋める」砂型です。砂の塊りを中に浮かせることはできないので中子からステー(巾木と言います)を出し、上下型で挟んで浮かし固定します。

 前述の通り、砂型に対し鋳物を上下逆にすることは可能です。縦にだってできます。普通はしませんが(w理由は後述)
 ここで鋳造への理解を深めて頂くため(笑)同じ鋳物を「縦に吹く」ことを想定してみましょう。

 表面は上下に「抜く」ことは可能ですが、裏側は製品の影(?)になってしまい、型を抜くことができません。この裏側部分は(閉じてはいないものの)鋳物の中空部分とも考えられます。
そこで中子の出番です。
ほうあん 
(巾木を嵌めて浮かせる)
 中子が鋳物の肉厚分だけ宙に浮いていて、そこに湯が行き渡る、のです。
 しかしこの法案では・・・
 上がりの立て難さ、製品の組織の密度(≒丈夫さ)が上部と下部で異なってしまう可能性、鋳物表面に型の分割線(パーティングライン)が来てしまう、只でさえ脆い砂型が上下に高くなる等々問題だらけ(!)
 ゆえにこういう鋳造法案は決して採らない、のです。

 また、複雑な形状の鋳物(例えばクランクケース等)の場合は鋳型が複数になる事もあります。3段重ねの場合もあります。そしてこの木型の分割方法こそ実は、木型屋さんの腕(頭w)の見せ所なのです。


 駆け足での説明になってしまいましたが(笑)お解り頂けたでしょうか?
 続きます。

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  1. 2016/07/24(日) 12:00:29|
  2. Magnesium&Race
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