Casting:Colors of Mg.マグネシウムの色

フェラーリP
(ホイールの、この色!)
 今週はマグネシウムの色について。
 自分的には以前から書きたかったことなので、ようやくって感じです(笑)

 Mg.は、吹き終わった直後はAl.とほとんど見分けがつかない
(プロでも難しい)銀白色です。そして非常に酸化し易いことも何度か書きました。
 Mg.は特に水分を与えるでもなくそのまま空気中に置いておくだけで酸化が進行し、Al.の腐食と同様な(=盛り上がるような)白い粉を噴いてしまいます。塗装して空気(≒酸素)を遮断すれば酸化は防げますがそれでは万一剥離があった場合、地肌が剥き出しになってしまいます。
 Mg.が使われるのは置き物ではなく機械部品、道具です。厳しい使用への耐性、製品としての安定性を確保するためMg.製品はすべからく酸化被膜処理を施されます。加えてその皮膜は塗装下地としても地肌よりずっと優れているのです。
 そう、一般にMg.の色と思われている・・・
mag - コピー_1
 トップ画像のホイールのような得も言えぬ銅(あかがね)色や、このジェネレーターカバーのような茶褐色は全てその表面処理の色なのです。

 Mg.鋳物は少なくとも2回は表面処理されます。
 最初は、吹き終わって砂型を壊して取り出され、上がりや堰を切り取ってその切断面や鋳造上不可避なパーティングラインの処理(≒削り取る)といった「仕上げ」作業が全て終わった段階で鋳造工場内で行われます。熱処理もしくは樹脂含浸といった外注先へ送る前にその間の酸化防止として施されるのが・・・
 JISの定めるMg.表面処理1種「MX1」という簡易な酸化処理です。
 一般には「仮防錆」と呼んでます。
 常温の重クロム酸ナトリウム、硝酸混合溶液に数分浸し、水洗、乾燥させる、というものですが、かなりアバウトな感じがしませんか?(笑)
 これは溶液の調合具合はもちろん気温や浸漬時間、洗い方や乾燥の際の加熱具合でも微妙に色合いが変化します。この「仮防」で鋳物の表面は(光沢の少ないw)金色に近い、淡い茶褐色に変化します。これが一般にマグ色と思われている色かもしれません。
mag - コピー (2)_1 
(この色です)
 そのアバウトさゆえ、ロットによって色が違う(!)ということは頻繁に起きますが・・・あくまで仮防なので問題なし。
 機械加工後、納品直前にもう一度防錆処理するのです。この「仮防」に対して「本防」と呼ばれたりする2度目の処理は外注です。メッキ工場に出します。
 JIS3種「MX3」といいます。
 これは外注なので比較的色の安定性はあり、概ね黒褐色になります。
 yox88.jpg  xre.jpg
(何の部品か判りますか?)
xre0.jpg  mag - コピー (4)_1
(場合によっては緑がかって見える場合も・・・)
 エンジン屋さんやレース屋さんなら、この色がマグ色と感じている向きも多いことでしょう。

 因みに淡い色の例とした(上の)ハウジング・コンプレッサは・・・
 加工まで済んだ段階でどこか肉厚不足(←中子のズレで発生する)でもあったのでしょう、本防せず廃棄されるはずだったものをとりあえずMX1で再処理したもの、ゆえにこの色なのです。

 以上は通常のMg.合金である、AZ91の場合です。

 AZ91より強度、靭性、耐熱性、鋳造性(≒湯の粘度)といった物性を高めた高級Mg.合金の一つとして前稿で取り上げた・・・
mag - コピー (3)_1 
(スープラのターボの)
 ZE41があります。
 これはセリウム(?)ランタン(??)といった希土類金属(=レア・アース???)を含むだけでなく、鋳造方法にも厳格な規格があるゆえ扱える工場も限られる、という大変高価な合金です。
 このZE41、当然というべきかAZ91とは発色が違うのです。当然仕上げが終われば仮防液に漬けるのですが、そうすると・・・
 より金色に近いというか、実はトップ画像のホイールの色、になります。

 ではなぜ上の画像、スープラのコンプレッサが金色というより結構くすんだ黄土色に見えるのか?
 最初のカローラ・ターボ同様の理由で取り残された(?)スープラ・ターボ。外注に出されずに放置された間に結構酷く腐蝕してしまい
(ZE41は未処理だとAZ91よりずっと酸化し易い)
 それを綺麗に除去すべく強くサンドブラストかけたため表面が荒れた、からでしょう。
supra.jpg
(この画像は少し色味を弄ってますが・・・)
 このエンジン画像なら、より金色っぽいのがお判り頂けるでしょう。

 ZE41には、合金として内包するレアアースとの相性の問題で、本防錆としてMX3をかけることはありません。
 JISの5種「MX5」と呼ばれる艶のない、陽極酸化処理(≒アルマイト。皮膜厚可変)か
 同じく「MX9」と呼ばれる光沢のある化成処理(=寸法変化なし)
 が施されます。
 この後者、MX9(もしくはZE41×MX1?)があの、’60年代のF1を含む・・・
amon.jpg
(追悼C・エイモン・・・)
pit.jpg 
(・・・右はエンツォでしょうか?)
  #17 
(前後の色違いに注目!個体差でしょうか・・・?)
 レーシング・フェラーリのホイールの、あの色(!)なのです。

 あの色が好きでマグ業界に入った(?)と言っても過言ではない自分です。この稿、熱く続きます(笑)
 

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  1. 2016/08/14(日) 13:46:48|
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