Casting:鋳物の話・その7

rgv.jpg 
(先代?のRGV-Γのエンジン部。ぎっしり・・・)

 鋳物の話に戻りましょう。

 国内にマグネシウム屋は数少ないこと、そしてMg.鋳物の色に個体差があることは既に書いた通り。また砂型鋳造が手作りに近いことも述べました。以上3点を考え合わせると・・・
 国内産のMg.鋳物、その色と鋳肌(←そこで使っている砂の種類、粗さを反映する)を見れば、どこの工場で作ったものかが判ってきます。実際には
「これはどこそこ社の内製・・・」
とまで具体的に指摘できるほどには成れませんでしたが(笑)
「これとそれは違う所で吹いた」

ということだけなら、その風合いで判るようになります。

 例えばトップ画像、込み入っていてディテールは非常に判り難いですがスズキの500、RGV-Γのエンジン部を見ると・・・
 一番手前の、クラッチ上のy字型のホルダー、その下のクランクケース・カバー、ほとんど見えませんがクランクケース・アッパーが我が社の製品です。
 それに対し、車体上部に顔を出している排気デバイスのカバーの風合い(≒色味)が微妙に違うのですが、お判り頂けるでしょうか?

gsvr.jpg 
(ヘッド・カバーの肌に注目!)

 このGSV-Rでも、クラッチ下カバー(とクランクケース・ロワ)はウチの鋳物でしたがヘッド・カバーは余所の製品です。
 このヘッド・カバーの肌の「金型に近い」滑らかさはひょっとして砂型ではなく「プラスター・モールド」かもしれません。そうであればできる所は限られるので
「スズキさんはあそこにも仕事出しているんだあ・・・」
ってことになります(笑)

 その、プラスター・モールドとは・・・
 プラスターすなわち「石膏」。型の素材として砂ではなく文字通り石膏を用いる鋳造法で、金型に近い非常に滑らかな鋳肌が特徴です。脆い砂型よりずっと丈夫なプラスター型は、その組み合わせ精度も金型に近く、砂型に比べて製品精度も一段上です。
 水で溶いた石膏を流し込み乾燥させ型を作ります。意外でしょうが(笑)石膏は見た目よりずっと「通気性」があり、鋳造性も高いのです。実際の作業、イメージ的には冷たいのと熱いの「鋳造を2回やる」感じで(笑)非常に手間がかかるのはご想像頂けるでしょう。石膏を壊して(!)鋳物を取り出すのも結構な手間。「木型」も耐水の、専用のものが必要になる、ということで金型に近い肌と精度が得られる半面その高コストは製品価格に反映します。

 スズキのGPエンジンに話を戻します。
 

これが、Vバンク角が広がった後期型。
xrgy.jpg 
(ヘッド・カバーがアルミになったようです)

 

 
 前述の尺度で見ると・・・
 自分の退職後もGSV-Rのパーツ、クランクケース・ロアとクラッチカバーは自分の居た工場が継続受注しているようです。(自分が担当していた)仕上げの美しさと均一性は下がった筈ですが(笑)
 Mg.ではなくアルミ鋳物の肌の話になりますが、形状が微妙に変わったクランクケース・ロワの、この黒っぽい感じは会社のショットブラスト機で使っている「亜鉛ビーズ」によるものと思われます。
 またクラッチ下、クランクケース・サイドカバーは仕上げ作業が終わった段階でサンドブラストをかけているのでしょう。クラッチ前、縦に一本通っているオイル通路(?)部分の「色ムラ」はそのせいと思われます。

 この稿、まだまだ続きます<(_ _)>


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  1. 2016/09/11(日) 10:37:50|
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