3-2) フェザーベッド・フレーム考

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(production in progress )

 左のプラグイン、「カテゴリ」を見るとMoto項目が少ない・・・
 ということでモーターサイクルの話題を。

 GP界におけるハンドリングの導師、JJコバスが先鞭をつけた「ツインスパー・フレーム」は高性能モーターサイクルのフレーム形式として、もはやサーキットだけでなくストリートをも席巻したと言えるでしょう。

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(JJ-Kobas)               (Bimota)

 それに伴いパイプフレームも、3本のパイプによる△面とその重合で剛性を得る「トラス・フレーム」に進化。
 旧来の、いわゆるダブルクレードルといったループ型のパイプフレームは、いわば絶滅危惧種となってしまいました。そのダブルクレードル・フレームの中で唯一固有名詞で呼ばれる名品、

ノートン「フェザーベッド」フレーム

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(これは近年の製品)

についてお話ししましょう。

 数あるフレームの中でも最も有名かつ現役当時最強を誇り、当然人気も高かった一方、
 母体であるノートンの命脈が一度は尽きた(=絶滅)という意味でも、「フェザーベッド」はいわばモーターサイクル・フレームの「ティラノザウルス」といった所でしょうか(笑)

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ただし恐竜と異なり「フェザーベッド」は映画よろしく

心ある人々の力によって今もクローンが作り続けられています。その人気と実力の程(=価値)を物語る事実です。

 車やモーターサイクルの世界では、その独特のフィーリング、感触を表現するための「定形の言い回し」があります。
 曰わく、真綿で締めるような・・・とか、冷えたバターに熱いナイフ・・・とか、キャラコを引き裂くような・・・とか、クラッシュボックス、シルキー、スポンジー・・・結構あります。
 同様にフェザーベッド・フレームの「枕言葉」としては

「その羽根のような乗り心地から・・・」

 という表現があります。
 この言い回しにはじめて出会った、当時高校生だった自分は強烈な違和感を覚えました。
「何だよ、羽根って・・・」
時代遅れ(失礼)になってからも

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 マンクス・ノートン

をGPのスターティング・グリッドに着け続けたその良好な操縦性の源であるフェザーベッド・フレーム。
 そしてそのハンドリングに惚れ込んだマニアが旧式のマンクス・シングルに替えて、重く場合によっては幅広い、多くは他社製の現代的でより高出力なエンジンを載せた

 Metisse(=混血女性の意)

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(これはノートン+ヴィンセントで「ノーヴィン」)

と呼ばれる「カフェ・レーサー」の数々。
 それら多気筒―実際にはツイン―ユニットの高出力を受け止めた上なおかつ変わらぬグッド・ハンドリングをライダーに提供し続けたフレームが、当然持ち合わせているであろう雄々しい剛性感。
 それと「羽根のような・・・」という軽々しい表現はどう考えてもミスマッチと思われたのです。

 そのイメージを払拭する転機は偶然、あるアニメを見た時訪れました。

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その中に出てきた 「干し草のベッド」を見て・・・ 

 「フェザーベッドとはこれ(に類するもの)か!」と閃いたのです。
 日本でいうなら羽根布団、それも掛布団ではなく敷き布団
(ゆえにダウンではなく芯つきのフェザー・・・)なのでした。
 なるほどそれは集約的加工がなければ生まれ得ない二次(副産物)製品。高級品ということです。 上質な乗り心地の表現として相応しいことが理解できました。
 おそらくはfirm(=堅く、引き締まったの意)の言い換えだったのではないでしょうか。

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カワサキZ1のフレームのお手本(下敷き、か)とされるフェザーベッド・フレーム。カワサキとの違いは

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タンクレールの有無と、側面視で交差するダウンチューブとループ・アッパーを接合するかしないか、です。
 実際にZのフレームはフェザーベッドの、良くできた補強版に見えます。
 そして「補強前」のフェザーベッドはベッドパイプ回りの弱さゆえ発生する「縦曲げ」によって路面の不整による振動を吸収(!)していたようです。
 そしてもう一つ
 その縦曲げは構造上、ブレーキング(=前過重)時には回頭性を助ける方向に作用した・・・これが名にし負うフェザーベッド・ライド、その秘密の真相かと・・・(?)

 調べると「フェザーベッド」の逸話は 1950年、ノートンの新型フレームのテスト時の故事に由来、その比較検討対象は

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旧弊なプランジャーRサスを持つ通称「ガーデン・ゲート」シャシー

でした。「庭の門扉」と揶揄される程旧型は「ガタガタする」乗り味だったのでしょう。それに比べれば各段に・・・。

 かくして例の言い回しは表現としてはまあ正しく、違和感は受け手の問題(=自分の不勉強)だったというが判りました。
 受け手の問題として付け加えるなら
 「並みのダブルクレードルの上をゆく・・・」
 という意味が込められているのでは、とも考えておりました。
 クレードル=揺りかご即ち赤ん坊向け、ではない「大人向け」の・・・

  

高級品としてのフェザーベッド・・・ちょっと深読みが過ぎたようですね(笑)

 今稿そして3-1)Italian jobでも触れた旧いGPレーサーの逸話はこの本に詳しいです。


(版元自体が消滅、現在入手不可)
 登場車種が多岐にわたり、どこから開いても、何度読んでも飽きない
 (=覚えられない。昔 カーグラは暗記しましたが、今では・・・)
 という点でこの本同様、

「いつまでも楽しめる」マニア必携の書、と思います。

 画像は以前アップしたVロッド、その制作中でした。


・・・もう2輪系のイラストの在庫が(アップできる画像も)尽きてしまいました・・・。
どなたかオーダー、よろしくお願い致します。
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  1. 2013/08/09(金) 21:37:33|
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