2-7) 追憶のAlfaRomeo1750GTV

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(恒例「お正月ラリー」にて)   
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以前アップした、外側を 「デカ目」 にしたアルファ1750GTV。
この車も自分たちのかつての愛車でした。
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仲間うちでの共同所有、実はこの車から始まったのです。
前稿MGB同様、ブガティック在籍中だった山本氏
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(これは別のB解体現場・・・)
がそのツテから話を持ってきた「出物」でした。氏曰わく
「状態はそんなによくないんだけども・・・手が入ってる所は分かってるし、
 エンジンが良くて、このまま流しちゃうのはちょっともったいないので・・・
 どう、一口乗らない?」
訊けば非常にリーズナブルな二桁万円!それをTちゃん(=A氏)と3人で頭割りすりゃ・・・!
 当時も今も貧乏な自分ですが(苦笑)そんな状況の中でも熱いエンスー魂で、当時所有していたNW(=Need Work)コンディションの国産某車
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(結構入れ込んでました)
を直しつつチューニングも施し、半人前のスポーティーカーを本物のスポーツカーにするのだ!と鼻息も荒く、そのための「レストア貯金」細々と続けておりました(笑) ほんの数秒、逡巡の後その資金の流用を決意!
「うん乗った!」
即答した自分がそこにおりました。その逡巡の中身とは・・・
 あの車、直さにゃならんけど、既に手元にある車は逃げやしない。それに今すぐ直さんでもいいだろうし。しかし!アルファのGTVに、それもそこそこちゃんとした(?)出処のはっきりしたヤツに、しかも安く乗れるチャンスは二度と来ないかもしれない・・・いや、二度と来ないだろう!やっぱり「外車の名車」には一度乗ってみたいし。そう、幸運の女神に後ろ髪はないのだ!
 てな訳で、晴れて白い伊藤忠もの(←ポイントの一つでした)RHDのGTVが川崎のガレージにやってきました。状態は・・・
 外装はオリジナルペイントに塗り重ねられた白、結構やれてます。とりあえず「かさぶた」は見当たらないものの各部に相当パテが入っているのは見て取れました。 床は酷い状態のようでしたが、怖くて(!)見ませんでした(笑)
 内装は純正シートに、ジュリアとは異なるランボルギーニ・ミウラにも似た
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(スタイリストは同じ?)
ダッシュボード中央にはお約束の割れ、ノンオリジナルの3点式ロールバーが付いていて、そのセンターはRパーセルシェルフに無理やり穴を開け貫通、トランクフロアに締結されていました。ほかには、燃料計とヒーターブロワーが不動、オーディオレス・・・といったところでした。
 さて山本氏の誉めるエンジンは、というと・・・これが本当に素晴らしいフィーリング!外観上はノーマルのウェバーツインのダイレクトファンネル仕様
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(曲げベルマウス+金網)
でしたが、中身がちゃんとしている実感のある「充実」振り!トルクはもちろん機械的クリアランスも詰まった感じです。吹け上がりも素晴らしく、軽量フライホイールが効いているようです。さりとて発進に気難しさもなく、始動も確実でした。音もまた素晴らしい。セルを回すと薄いフライホイールのチキチキ音の後轟然と始動!経年変化か消音効果の薄れたマフラーからは野太くも濁りのない澄んだ排気音を盛大に吐き出し、加えて勇ましい吸気音。それらが渾然一体となった音と吹けの良さは、空ぶかしするだけで
「買ってよかった」
と思えるほどでした。 ちなみにこのエンジンを組んだのは山本氏の知人で、そのメカ氏
「これはうまくいった」
と言っていたそうです。
「2000はトルクもりもりで、というよりトルクあり過ぎで
 アルファのスポーティーイメージと合わない・・・」
という話を聞いたことがありますが、その通りかもしれません。敢えていいます、アルファの4発は1750がベストです!
 ややこじつけっぽいですが・・・自動車工学的裏付けもあります。シリンダーボアと燃焼速度の関係です。
 CDI登場以前の旧世代イグニッションシステムの着火能力とその火炎伝播速度では、ボアφ90mm近くになると 「燃え残り」が発生してしまうようなのです。よくチューニングカーの世界で言われた
「気筒当り500㏄、ボア90mmがブン回すエンジンの限界・・・」
は同じことをいっています。即ち燃焼室の径が大き過ぎる
(=プラグ-ピストン外縁間が遠い)と混合気が燃えきる前にピストンが下がりはじめてしまい燃え残り(=カーボン)が発生、その分だけトルクも出ない、しかもそれは高回転時に起こる・・・ということなのです。  ちなみにレースの世界で永く使われた名機、
BMW M12/7
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(長谷見選手使用済ピストン、MAHLE製の本物=我家の来客用灰皿)
はボア88mmでした。

 その昔(=SR登場以前)2輪誌で「ビッグシングル」XT500をボアアップする記事がありました。ノーマルでボア87mmもあるXTです。そのボアアップ用の、より大きいピストンとして当時最大の4気筒、三菱デボネア・エグゼクティブ(=2600)の91.1mmのものを加工流用し、547㏄としていました。このXT、「元気よく」走っていてもバラしてみるとピストン外周部にカーボンがあったそうです。
 同じく2輪の例で、昔の単気筒GPレーサーは500、350、250の各クラス向けに、同排気量内で最適なボア・ストロークの組み合わせを探るトライが各チューナーによって精力的に行われておりました。そこから得られた「一般解」とは・・・
 ボア・ストロークはやはりスクエアが基本(500なら86mm)。なぜなら相手は爆発する気体。当然球体に近いほど耐圧性が良いのは
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ガスタンク
を見ればお判り頂けるでしょう。それゆえのスクエアなのです(ストロークは短ければ好回転型、長ければトルク型に)。そして500の方がパワーはあり当然速いが350の方がより高回転までストレスなく(振動面でも)回せるので比出力は高い・・・といったものでした。
 350は76mmスクエアです。この500と350の中間の数値81mm辺りに旧世代の内燃機のボア最適解、マジックナンバーが隠れているようなのです。そして1750のボアは80mm(2000は84.5)なのです。
 そして現在はというと、スーパー&ハイパーカー・リーグが軽く400馬力オーバー、500に届こうかという驚くべき争いへとエスカレートした昨今、BMWはあっさり伝統の6気筒を捨てV8にスイッチしてしまいました。3リッター(=500cc×6)それも同社こだわりの(アルピナへの意地の?)NAで、安定した400馬力は厳しいものがあるのでしょう。同様に、いくら大排気量を求めてといっても、4気筒を二つお尻にぶら下げる訳にはいかない(!)ポルシェは遂に4リッター、ボア102.7mmに!その仕立てには結構な苦労をしているはずです。
 綺麗に燃やしつつブン回わさなきゃならない高性能エンジンにおいてピストンのサイズとはかくも重要なことなのです。
 ビッグボアに限らず「燃え残り」対策としては燃焼速度を上げる、のが最も近道なのですがその実現のため、特にハイテクを用いず既存の技術のみで可能、最も古典的な方法が
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ツインプラグ化
です。アルファやアバルト、ポルシェ等に例があります。
その具体的方法は二つあり、まずは
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従来の倍の数のコードを持ったデスビ
に換える。もう一つが、デスビをもう一本増設、コイル
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(’76年頃市販されてました)
も追加、全てを倍設える、というものです。ディーノ206のように予めもう一本分のデスビの取り出しが用意されている(!)なんてのは例外中の例外でしょう。当時はまだ純レーシングモデルでも2バルブが一般的で、燃焼室側の加工は従来のプラグホールの、バルブを挟んだ反対側に
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もうひとつ穴を開ける
だけなので難しくはないはずです。ただポルシェの場合
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追加分はエンジンの下側(!)
になってしまうのでメンテは厄介にはなります。
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アバルト・シムカ
だったかのツインプラグエンジンのレストアで、オリジナルの8本コード・デスビが使い物にならず、部品の手配をしようにもそんなもの、世界中どこにもない!・・・窮余の策としてアルファGTAのものを取り寄せたら・・・逆回転だった(!)という笑えない話を聞いたことがあります。そういえば旧いクライスラーにもデスビ回転の正逆があったそうな。
 ツインプラグといえば、日産にもありました。Z型です。設計者はルマンカーで有名な林先生、当時誰も着目していなかった燃焼速度を、速い方が良いに決まっている!とそれを追求した結果生まれたエンジンなのだそうで
「排ガス対策用に開発したわけではなく、たまたま時期が重なっただけ、
 エンジンの基本は同じ・・・」
とは先生の言葉です。 ちなみに先生曰くターボチャージド・エンジンとは
「濃い大気の中で回るNAエンジン」
なのだそうです。
・・・と、内燃機関の話に脱線しっ放しですが、長くなったのでこの辺で。

 本稿で正規輸入車を指して「伊藤忠もの」と称していますが、新車当時のジュリアの雄姿が見られるTVドラマ・シリーズがありました。宝田明主演の 平四朗危機一髪です。
 大昔の「キイハンター」の元になったような「探偵もの」で、それこそ「伊藤忠もの」の、新車に近いシャッキリ、スッキリした白い(モノクロでしたが・・・笑)ジュリア・クーペが劇中車として縦横に駆け巡ります。ヨタってません!当時の道路事情も垣間見え、視聴者にはどれほど「スーパーカー」に見えたことか!
 残念ながらDVD化されていないようです。自分はケーブルで見ました。
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  1. 2013/09/01(日) 13:49:10|
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