2-9) 追憶のAlfaRomeo1750GTV:その3

 
茨城1750 014 
(RHD車の足元)
 連続でアルファGTVを誉め殺してきたので(笑)弱点にも触れましょう。

 まずステアリング。特に確実さに欠けるということはないものの、鋭敏でも繊細でもありません。豪胆な(?)ステアリングですね(笑)
 そして最大の弱点といえるのが、ブレーキなのです。効きが悪いのではなく感触が悪い。オーバーサーボ気味なのは我慢としても、とにかくタッチがDeadなのです。ただしこれは伊藤忠ものに限ってのことかもしれません。というのもRHD化に伴い、右に移設したのはペダルのみ、あとはマスターバックからブレーキパイプ、床下のその「分岐」までLHDのまま、タッチの悪さはすべてそこに起因するらしいのです。
 残念ながら自分は本国仕様を触ったことがないので断言できませんが、ブレーキ系の取り回しが変、というか「遠回り」なのは間違いありません。実際同型車を何台も知る山本氏曰わく
「これはねえ、エアが抜ききれないんだよ・・・」
英誌でも、もちろんRHDで
「どこかが正しくないのだろう・・・」
なる記述を読んで意を強くしました。加えてもう一つ、
 純正シートのフカフカし過ぎ、です。
gs.png  gtc.png
 原初のジュリアはかのジウジアーロ御大が美しくも軽快なクーペになんとか4人乗れる実用性を盛り込んだ車。その「上級車種」たる1750にはかなり豪華な、スポーティーとは言い難いシートが設えられていました。そのぶ厚いシートの「クッションストローク」分ドライバーが揺すられ、その揺動が右足からスロットルペダルに伝わりスロットルレスポンスの良さも手伝って度々カーノック(=ガクガクガク・・・)状態になってしまうのでした。
 ウェバーのリターンスプリングをいじって(=軽くして)ある車だけかもしれませんが厄介な不具合ではありました。しかしこれはシートを
st.png
コルビュー
だったかバケットシートに交換しただけで解決しました。「固有振動数」の問題だったということですね。またこのシート、冬場の防寒にもなりました(笑)
 
 「スポーツカーとして」の弱点は以上です。大した数ではありませんねえ。あとは「自動車」としての弱点・・・こっちはたくさんあります(笑)まあベンチレーションとかの快適性を除けば(?!)やはり車体関係について触れない訳にはいきません。

 まず、ボディ外板の合わせ目、いわゆる「チリ」はどうとでもなる(!)として、その下のモノコック自体の寸法精度に疑念が生まれた事例・・・前述のシート交換の際発見したことです。
 普通はフロア側のシート取り付け点はナットが溶接あるいはボスが予め用意されているものですが、この車は「もなか状」部材が板ナットを内包して溶接されていました。もなか構造の内側でナットを各方向数ミリ動かせる状態。シート固定部の寸法誤差をその遊びで吸収する構造になっていました。
 前述の「豪華な」シート・フレームの製作寸法精度に自信がないのか、あるいはフロア(=モノコック)自体の寸法が怪しいのか・・・?いずれにせよ日本車では考えられない、後付け手作業溶接シートマウントではありました。
「車体全体もそうなのか?」
そう考えると、Rアクスル・マウントの「ソロバン玉」や調製式Fアッパーアーム(←いずれも前稿参照)は、その寸法誤差を折り込み済みなのか?と勘繰ってしまいます。
 たとえボディ全体が歪んでいても、R固定軸中心と前輪左右の前後位置が決まれば車は真っ直ぐ走る(=4輪が整列する)。生産性を考えれば常にその調整が行われていたとは思いませんが、その可能性を盛り込んだ設計だったのは間違いないと思います。
 以上から導かれるのは前述「ソロバン玉」の重要性です。後輪の位置決め、サイドフォース(=コーナリングおよびロールモーメント)受け止め、駆動力の伝達(後輪→車体)と前後左右全方向への自重と駆動力の反力を受け止めつつ路面からの微振動をも吸収しているわけです。なるほどあれだけの容量が与えられ、なおかつ傷む理由が判ります。さすればワークス・レースショップ
atd.png
アウトデルタ
による「ソロバン玉」に替わる、レース専用アクスルマウント 通称 
kani.png  
「カニバサミ」
 の凝った形状とその大きさ、も頷けるものがあります。

・・・と、以上がその車体構成についていわば先天的なものについてでした。続いてその車体の、後天的変化(笑)・・・錆びについてです。

 いっときお世話になった「ポルシェ板金の神様」曰わくイタ車は
「鉄(の質)が悪い!」
言下に、あまり請けたくない仕事ってことのようでした。思いのほか手間がかかって(=高額請求になって)しまう場合が多々あるのでしょう。本国では防錆処理という概念がなかった(!)ようで、加えて日本の気候も合わず、70年代(まで)のイタ車は本当に錆びます。確かに材質を疑いたくなる酷さです。どうしてここまで?と思えるくらい「爆ぜるように」グサグサになります。
 苦労してパテを剥がしたところその下の鉄板に、そのパテをのせた時にはなかったであろう錆びが一面に・・・!なんて事例も知っています。

 GTVの床には左右に水抜きとは思えない、大きなグロメット付きの丸穴があるのですがこの車、錆びで穴が大径化(笑)グロメットがはまらない状態になっていました。なんとかせねば・・・と補修することに。今回は川崎の車庫でも不自由なく作業できるFRP貼りです。
「一生乗る!」
のであればきちっと鉄板切り継ぎ板金しなければなりません。さもないと、特にFRP貼りはかえって症状を悪化させてしまう場合があるからです。
 何らかの理由で部分的にでも、鉄板とFRP樹脂の剥離が起きると、前述の「パテ下」と同じことになってしまうでしょう(=僅かな隙間に水分が浸透、いつまでも乾かない・・・)作業の入念さで随分違うのですが。今回は作業工程(=時間)コストパフォーマンスでFRP補修を選択、穴も埋めてしまうことにしました。

 まず床上の防振アスファルト剥がしです。鉄板の地肌を出します。ほとんど山本氏にやっていただきました。自分も遅れて合流したのですが「見てる間に」終わってしまいました。スクレーパーによる手作業です。自分だったら「疲れた」「休憩」とか言って全然進まなかったはずですが(笑)氏は黙々と地道に、かつ速い!
 素人の趣味とは違うプロの仕事、見せていただきました。
 その後FRPマットの切り出し、樹脂の調合、張り込みまでは氏の独擅場。自分はローラー掛けだけちょこっと参加させて頂きました(笑)
 硬化を待って翌週、黒を吹いて完成。今回は防音防振のゴム系塗料は敢えて使わず、さっぱりと仕上げました。以後カーペットはもちろんフロアマットもなしで乗ることとなりました。

 ピーカンのある日、まるで誰かが自分の足元に鏡を向けているように、床の一部分がなぜか明るい!走行中です、そんなことする奴もできるはずもない。???
 よーく見ると、その「明かり」は件の床の穴の形、いびつな丸。路面からの照り返しが黒く塗ったFRPを透過し、丸形をぼんやり明るく映し出していたのでした。
「こりゃあまるで、ぼんぼりだな・・・」(苦笑)
bbr.png 1750gtv.png
以来この車「ぼんぼりアルファ」と呼ばれたとか、呼ばれなかったとか・・・。
 
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  1. 2013/09/15(日) 10:39:16|
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