4-6)グレイ(・・・宇宙人?)

 グレイ全景 
(not for sale!)
 ようやく革ジャンの季節がやってきましたね!早速ディープなお話を。

  
 自分は「新車主義」というか、車に限らず衣類を含め道具類はすべからく新品が望ましいと常々考えています。これまで何台かのUsed carを手にして、その「初期化」に汲々とした上、どんだけ手を入れようと新車には戻らないというある意味真理、ある種「悲哀」を沢山味わった上での結論です。
 なのになんであんな古い車を・・・?
 懲りないやつのことは放っておいて(笑)・・・そんな自分ですが、唯一Usedの方が良いのでは?と思えるのが革ジャンです。
「床屋行きたては恥ずかしい」
という表現、聞いたことはありませんか?自分は真新しいレザージャケットに、全く同じ感覚を覚えます。以前アップしたDaineseのように新品で買って20年以上かけて「馴らす」のが一番良いとは思いますが、これからそれをやってたら良い状態になった頃にはおじいさんになってしまいます(笑)
 第一それまで気恥ずかしさや窮屈さを我慢するなんてのはナンセンスでしょう。最初からしなやかで(=革が上質で薄い)傷が付くのが気になるようなヤワな革ジャンにも興味はありません。もし古着屋に自分にぴったりの革ジャンがあったとしたらそれは、

 自分とよく似た好みと背格好の誰かが、自分のために馴らしを済ませておいてくれた(!)


 と思うことにしましょう!自分がそう感じ、古着の革ジャンにハマるきっかけになった一着がトップ画像のこれです。
 経年補修か裏地が張り替えられているためブランド不明の'60年代のダブルのライダース。亀戸にあった「目方売り」の古着屋で7、8年前に出会いました。アメリカ古着中心の店だったのでこれもそうだと思われます。当然それなりの重量があるので、やや高価でした(笑)
 全体形はショットに似ていますが若干スリムで、さほど高級品ではありません。むしろ安物でしょう。というのも高級品はファスナーや襟回り等、革を折り返す部分が分厚くならない様、
 その部分の裏側を削ぐ
 という手間をかけるものなのですがコレにはそんな配慮は微塵も見えず、襟はボッテリ厚くなっています。自分としてはそういうディテールはゴツさを表していて嫌いではなく、襟全体も厚く曲がり難くなるため通常のダブルライダースより襟が高く見えるのもカッコよく着こなせるポイントと思ってます。襟が低いと、例えば好みじゃないですが白いスカーフ(!)なぞ配したくなるように、首回りが寂しい感じになるのですがコレには「襟を気持ち立てた」様な雰囲気があるのです。またその襟の高さゆえ首の当り(=擦れ)もややキツイようで
貫通部分もありますが
襟 
(襟の穴と厚み・・・)
穴があくほどの擦れには相当の時間が必要なのはダイネーゼ項で述べた通りで少なくとも20年以上は経過、その根拠の一つでもあります。
目立つ両袖の革質(=表面のシボ)の違い
袖
(左が腹部、右が背?の部分の革)
肩のエポレット
エポレット
裏の折り返し処理
その見事な手抜きっぷりも安物の証です。
 またスナップボタンが錆びている点(=ステンレス製)も同様で、'70年代以降は表面が鉄のスナップはほとんど見られないのです。
'60年代と思しき理由はほかにも。
Scovillファスナー
Scovillのブラスのファスナー
その年季、そして縫い糸でした。
 このファスナーは補修されているのですが、オリジナルの針穴跡などお構いなしにミシンで荒っぽく何重にも縫い付けられた全くの素人仕事です。最初は交換されてなおこのファスナーの年季、
「一体この革ジャンどんだけ古いのか」
と思いました。しかしこの革ジャン、着ているうちに
 各部の縫製がどんどんほつれてくる
 ことが判明。片袖などは完全に開いてしまったため、オリジナルの針穴跡をトレースし開かない最小限度自分が手縫いで補修したくらいです。そこから類推するとファスナーは交換したのではなく糸がほつれて取れてしまった、ということなのでしょう。この縫い糸の崩壊が示すのは、使われている糸が木綿糸だということ。経年変化で繊維が劣化、切れてしまうのです。'70年代にはナイロン糸は普通に一般化しており、この糸の件もそれ以前のしかも安物、の証明となると判断しました。

 また大変気に入っている、漆黒ではない、珍しいこのグレーっぽい色味も当時の(現在と異なる?)染色技法あるいは経年による退色なのかもしれません。 ほかにも結構な数のジャケットがあるので便宜上grayと呼んでます(笑)

 この革ジャンの「元オーナー」は上半身は自分とほぼ同じ体格、一般に袖が長いライダースとしても長めの袖から腕(そしてアメリカ人?として当然足も)の長さが想像され、身長は自分より10センチがた高い現地では小柄な人と思われます。彼はタイトフィットがお好みらしいですがもうワンサイズ上が良かったかもしれません。というのも
本来折り込まれていて肩の動きを助ける
アクションプリーツ 
アクションプリーツ
が完全に伸びきってしまっています。当初ここに革を足してアクションプリーツの機能を回復させようかとも思いましたが止めました。オリジナルに敬意を表して、もありますが肩回りは充分こなれていて動きに支障はなく何より例の縫い糸の件もあり
「せっかくくっついているのに無理に解くことはなかろう」
との判断です。まるで車の修理の話みたいですね(笑)
右肩には
肩
「無事では済まなかったであろう」
結構酷い擦過傷があります。
 ウェストベルトおよびインナーライナーも失われていますが特に折り返しやステッチもないのでスリム&シンプルがベターと考える自分はない方が好きです。
またポイントとして、キーリング用の
キーリング小物
フック
が、例の縫い糸で厳重に縫いつけられています。これは非常に珍しいディテールで気に入ってます。きっと元オーナー君は降車時、お気に入りのキーホルダーにつけた愛車の鍵をジャラジャラ言わせていたのでしょう。
 ところがある日混んだ電車内で、これが他人のセーターを噛み込んでしまい難儀したことがあります。
小物カバー
以来透明パイプでカバーしてます。
 とにかくお気に入りの一着です。
 ゆくゆくはこれまた安手の裏地を替えたい・・・といった希望はありますが永く、似合わなくなるまで着たいと思っています。

・・・こういう古着を「ビンテージもの」として珍重する向きもあるようですが自分、興味の対象は革モノのみです。「布」のヴィンテージには全く興味ありません・・・ありゃあただの古布です。
 ところで、カーグラの故小林編集長の表記に従えば(もちろん発音記号も)
 vintageは、ヴィンティッジ
 が正しいようです。アストンマーティンもヴァンティッジ、この誤法は昔の資生堂のCMが原因なのでしょう。

 そういえば同じくカーグラから「習った」言葉に
 better than new
 があります。確か、永年磨き込まれたロールスに対しての表現だったように記憶していますが、自分の革ジャンの好みに相通ずるものがあるような。
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  1. 2013/12/07(土) 20:09:46|
  2. Jacket
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