カスタムバイク:Atavism

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(Sold out)

 前稿BSピクニカの話、受けは今一のようですが(笑)自転車カスタムの話題、調子に乗って続けます。

 サーファー御用達の自転車、ビーチクルーザー。自分は結構好きです。特にあのハンドル形状、カッコイイと思いませんか?ワイドで、カクカクっとした

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ダートトラッカー

 を思わせる アップハンドル、大好きです。
 MTBはビーチクルーザーの改造車から生まれたのはご存知でしょうか。そう、ビーチクルーザーはMTBの祖先なのです。

 偶然入手したビーチクルーザーのハンドル。ネットオークションでたまたま発見、安かったので衝動買いならぬ衝動落札(笑)でした 。
「折角入手したハンドル、是非使ってみたい。そのためには・・・1台組もう!」
という自転車マニアにありがちな(?)パーツと車体、本末転倒がそもそもの発端でした。折しも巷は、シンプルなスタイリングを最大の魅力とする(と、思ってます)ピストバイクブームです。

 変速機がなく、チェーン下弦がクランク下方からリアに向かって切れ上がってゆく

 シングルギア車の、これ以上削ぎ落としようがないシンプルさ。その美しさはいかなる高級ロードレーサーをもってしても太刀打ちできない、とは言い過ぎでしょうか。
関連書籍も続々出版、掲載されたカスタムバイクの数々に感化された部分もあって、今回のカスタムバイクプロジェクトは始まりました。そしてそのコンセプトは

 MTBにあのハンドルをつけて、ビーチクルーザーのようにユルく乗りたい

 というもの。極力シンプルに、は言うまでもありません。結果的にMTBを先祖帰り(Atavism)させるような、言い換えれば
「MTBとビーチクルーザーのハイブリッドを作ろう」
というものになりました。ビーチクルーザーの特徴を列記すれば
 件のハンドル
 ダミータンク等モーターサイクル・イメージ
 ペダルを逆回転させると効くコースターブレーキ
 それゆえブレーキレバーは、なしか前1ヶ
 海岸線は平地ゆえのシングルスピード
 砂に潜らない太いホワイトウォールタイア
 といったところでしょうか。

 上記の特徴(イメージ)を手持ちのMTBに落とし込むべく作業は始まりました。

 
 フレームはMTBブーム当初流行ったエレベーテッド・チェーンステーのモデル、HEAD610(’91年か)。YETIのOEMではない廉価版の方です。重く、別段特筆すべき点もありませんが「凝った造作」なのは間違いありません。この複雑なフレーム形状でモーターサイクルイメージを狙います。ちなみに自分、このタイプのフレーム(の形)が大好きで何台か乗り継ぎました。

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(前任車NISHIKI「エイリアン」デザイナーは「始祖」R・カニンガム)

 このHEADもそこそこ傷んだ中古、レストアしつつ組み上げます。今回もピクニカ同様「アベレージコンディションの雰囲気」を出すべくピカピカは避け敢えて傷んだオリジナルペイント残して仕上げます。
 しかしオリジナルペイントは磨き込んでも退色や艶ムラが目立ち、ぱっとしません。地肌露出の深キズも多いためお得意の「艶消しクリアコーティング」することにしました。こうすると一時流行った「ソフトタッチペイント」の雰囲気が出てグッと上品になるのです。またこのリペイントの効果を知らしむるため(誰に?)リジッドのフォークは敢えて磨きのみとします。
 塗装中、オリジナルペイントに細かいクラッキングが発生!
「・・・こりゃあ全剥離か・・・?」
と焦りましたが・・・放置!するとペイント乾燥とともに症状は終息、結果オーライでした♪

 パーツ構成は基本的には「ありもの」主体、足りないものはネットで、となりますが「シングルギアの美」は譲れません。しかし「変速なし」は乗り手としてはちとツライのも事実。この矛盾をとあるパーツの投入で解決しようと目論みます。

 シングルスピードの美観と多段変速の両立

 を叶える、今回のプロジェクトの肝が'70年代初頭のヴィンティッジパーツ、シマノ「3.3.3.」内装3段変速ハブ(未使用デッドストック)です。なぜわざわざ旧いパーツか、というと・・・これも
「いつかは使う」
とネットオークションにて衝動落札していたもののひとつなのです(笑)また内装変速ハブ自体は珍しいものではありませんが現在のものは高級ママチャリ風。ゴムカバー等美観の点で自車に使う気にはなれなかったのでした。
 このハブに手持ちのアラヤCV7リム(黒)スポークは#14プレーン(黒)黒いアルミニップルも投入、6本取りでホイールを組みます。
光り物を極力減らす、もコンセプトのひとつです。

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(クラシックな外観のハブ、他は真っ黒)

 30年前の「新品」変速メカは当初ゴリゴリと、まともには作動しませんでした。そこで標準装備の立派なグリースニップルからチューブ一本まるまるグリースを注入。それだけで転がりを含め完調となりました。さすがシマノ!バラさずに済んで助かりました。余分なグリースの漏れにしばらく悩まされましたが(笑)
 フロントハブは手持ちのカンパ・アテナ。回転感は申し分なし。「ちょっと違う外観」を求め(笑)これをラジアルで組みます。太いタイアは決まっているのでショック吸収性は無視、軽い走行感を得んがため思いっきり張力をかけます。ちなみにホイール組み付け台、売ってるのを見たら「これなら作れる」と思い、作りました。

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(中古リムゆえの銀色の擦れ跡と組み付け台ホームセンタースペシャル)

 ビーチクルーザーに標準のコースターブレーキは、片手にサーフボードを抱えるための必然でした。前述ハブが決まっている以上コースター化は無理ですが、それゆえシングルブレーキレバーは譲れないディテールと考えていました。しかしブレーキを前後どちらか1ヶ、という訳にはいきません。危険です・・・原付免許取りたての頃、ブレーキング時左レバー(=クラッチ)も握ってしまう悪癖を矯正すべく自転車のRブレーキを取っ払っていたことがあります。よ~く前転しました(笑)余談でした・・・。
 タンデム用のワイア2本引きレバーを使えばシングル化は簡単なのですが、美観の点で却下です。
 そこで、MTBでのシングルレバーを実現するためにモトグッツィいうところの「インテグラル・ブレーキ」すなわち

 前後連動ブレーキ

 を「開発」することにしました。幸いMTBはカンチブレーキなので・・・
 アウター受けを複数設け、その間に前後ブレーキワイアを連結する特製チドリを置けばよい、ということになります。アウター受け内蔵のステムはいかにも当時っぽい(=高さのない)TIOGA「Tボーン」 。大アップハンドルでもポジションが手前に来過ぎないよう長いもの(135㎜)を探しました。「アメ車」なので左レバーに。チドリはボルトを穿孔、切削加工して作りました。

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(二股ワイアを引き、1本は貫通するという取り廻し判りますか?)

 前後ブレーキ効力のバランス調整はRのカンチにサンツアーXCプロのSE(セルフエネルギングだったか)を導入、FアーチワイアをタイアギリギリにセットするなどしてリニアなF(=モドロ・チベット!)、ダルでも効くRと納得できるものができました。
 またクランクは股関節の可動範囲が狭く楽な165㎜、あり合わせの黒いフォーミュラ1(=流行らなかったクリテリウム用BMX!)にワンピースクランク用28T(←ハブギアが厚歯だった)を穴あけ加工して無理矢理装着しました。ペダルは何だったか、これまたあり合わせのMTB用にカンパ幻のMTBコンポ「ユークリッド」のハーフクリップ(!)を奢りました。ビーチクルーザーらしいポジションを得るため、シートピラーはロゴ入りのオリジナルですがサドル(=手持ちターボマチック)を思いっきり後方へ引けるようヤグラ部分を加工しました。

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(完成!)

 乗り味は・・・元々サスペンションのない時代の「ダウンヒルバイク」即ちホイールベースが長めの、相対的にバック剛性の低い、重量級(笑)クロモリMTBですから、その通りのFirmな乗り心地に、ファット&ヘビーなホワイトウォールタイアのまったりした(?)乗り味が加わって非常にどっしりした印象です。ワイドなハンドルもその雰囲気に一役買います。
 全体に重量があり前後が特に重く、堅くスリムな中心部・・・とまるで
「鉄アレイに跨っているような感覚」
が愉快です。ビーチクルーザーはユルく快適ですが、BB周辺を見てもらえば判る通り「走りません」。それを嫌っての
「走りに振ったビーチクルーザー」
という狙いもあった訳ですが、まあその通りにはなったかと。
 ただ改めて思うのは

 自転車の乗り味においてその支配度が最も大きいのはタイアである

 ということです。実際「乗り味」とは、誤解を承知で言い換えれば
「あらゆる入力に対する路面反力」
とも言える訳で、それを掌るタイアが重要なのはある意味当然ではあります。今回の車輪に盛り込んだ、軽量チューブやアルミニップル、スポークの組み方やテンションといった細かいこだわりは、悲しいかな重く太いタイアにすべてかき消されてしまい、自分の鋭い感性を以てしても(笑)感じ取ることはできませんでした。(T_T)

 そして、ビーチクルーザーのもう一つの魅力は「人が乗ってカッコいい」ことです。錆ていようが汚れていようがサドルが低すぎようが、
 人が跨ってこそ映える
 のは単なるMTBには求め得ない美点と思います。

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それは実現できたかな、と思ってます。

 


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  1. 2014/01/18(土) 19:40:36|
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