Bad money drives out good.

mwtgg 
(007 黄金銃を持つ男・・・)

 突然ですが・・・グレシャムの法則、ご存知でしょうか?

 悪貨は良貨を駆逐するってやつです。若干悪意のバイアスをかけて(笑)意訳すると・・・

 機能が同じであれば、たとえ正統なものであっても卑近な(後発の)
俗物の前に屈するほかはない

 といったところでしょうか。
 これは70年代以降の・・・
キャディos.png 
  ライターや腕時計  
の世界に完璧に当てはまります。特に前者において・・・
ロンソン
かつてロンソンやダンヒル
ダンヒル 
といった高級品は紳士のたしなみというか、必携のアイテムとして、ひいてはステイタスシンボルにまで祭り上げられるほどもてはやされました。
007シリーズの敵役
clrm 
(スカラマンガ=ドラキュラ俳優クリストファー・リー)
の秘密兵器
 gg 
として使われたほどです。しかしそういった
ダンヒル
「金無垢ライター」
も、件の映画とほぼ時を同じくして登場した、機能的には大差ない
100.png
「100円ライター」
の猛威の前にその神通力を徐々に失い、現在ではほぼ絶滅してしまいました。低価格&高性能なクォーツウォッチと高級腕時計の関係も全く同じ図式ですね。ちなみに、一時は絶滅の危機に瀕した
機械式
機械式高級腕時計
 はステイタスシンボルを欲する層の受け皿として復権を果たしましたが、ライターの方は喫煙者受難の時代でもあり難しいかと。

 翻って自動車界においても似たような「グレシャムの法則」の事例があります。いわゆる
「若者の自動車離れ」
がそれです。この、バイクを含む若者の自動車離れは喧伝されて久しいですが、これを世代間の問題として捉えてしまうとその本質を見失ってしまいます。その根底にはライターや時計とよく似た、後発の「安楽な」機種機能に全体が流れていってしまった、という経緯があるのです。
 その安楽さ、とは・・・
 2輪の「自動遠心クラッチ+無段変速」を含むオートマチックトランスミッションのことです。
 そう、若者のバイク・自動車離れとは巷で云われる「経済的理由」
「趣味の多様化」といった要因はあるとしても、実は若者だけではない

 運転人口全体のマニュアルミッション離れ

 に起因するものであり、そのひとつの側面に過ぎないのです。

 普通の男の子の、一つの成長パターンとして・・・
 ほふく前進⇒二足歩行⇒三輪車⇒補助付き自転車⇒自転車(補助なし)⇒原付⇒自動二輪⇒自動車、というものがあります(笑)
 この流れの中でオートマチック・トランスミッションは、いわば「上がり」たる自動車で初めて触れるのが普通でした。たとえ原付のところに
スーパーカブ 
 があったとしてもそれはオートマチックではなく、シフトはしなければなりません。そういう意味で運転技術、それもシフトテクニックの習得はいわば
「大人への通過儀礼」
とも捉えることができるでしょう。
 ところがその、自動車を唯一の頂点とする「オートマ・ヒエラルキー」を揺るがす存在が自動二輪を差し置いて、原付界(笑)から突如現れます。’76年のことでした。
ホンダのロードパルです。
 rp.png
ソフィア・ローレン
 ms_20140607193247bb4.png 
(フィギュアスケート安藤美姫選手、似てませんか・・・?)
の「ラッ、タッター!」のかけ声にも乗って大ヒットとなったロードパルは
後発の、これまた画期的な「足を揃えて乗れるスクーター」
yp.png
ヤマハ・パッソル
 と共に路上の景色を一変させるほど、まるで
bic.png
「100円ライター」
の如くあっという間に増殖、「ファミリーバイク」という新たなカテゴリーを作り出しました。ただしそうは呼ばれずあくまで「原チャリ」でしたが。
 それまでも「原チャリ」という呼称は存在していましたがそれは十代の少年たちが
「いつかは自動二輪!」
という意識の元「自虐」のニュアンスを込めつつ使っていたように思います。しかしファミリーバイク登場後は
「こんなもん・・・!」
といった「蔑視」の意味も出てきたように感じます。
 とはいうものの、そのファミリーバイクで2輪に目覚めた層も少なからず存在し、彼らがその数年後訪れる空前の「バイクブーム」を支えたのは確かです。その一方で彼ら以外の、男女を問わず全世代に対してオートマチック車の利便性知らしめたのもまた、それら「原チャリ」なのです。
「ギアチェンジなんて面倒だし、必要ないじゃん」
このファミリーバイクによる、オートマチック啓蒙効果は前述バイクブームの数年後徐々に現れます。それまである意味主流だったマニュアルミッション車が売れなくなっていったのです。新車販売におけるオートマチック車の比率は・・・

 ’84年に49%だったものが’90年には73%、’95年には80%を超え、
’00年には90%(!)と上がり続けます(現在は98%以上)。

 その頃から自動車は、ある種憧れを持って語られる趣味性を持った機械から、特別な技術(=シフトテクニック)も要らず老若男女誰でも乗れる便利な道具に徐々に変わっていくことになったのです。
 これはひとつの機器の進歩、進化としてはまったくもって正しいことではありますが、いわゆる

 自動車の「白物家電」化

 もここから始まった!と自分は考えます。
 白物家電、例えば洗濯機や冷蔵庫について熱く語る人はまずいません。
いてもメーカー開発者か
nh.png
CM俳優くらいでしょう(笑)
 車も白物家電と同様に、どこの家にもあり、誰でも操作でき、あると非常に便利・・・なだけの機器と感じるようになってしまった、若者を含む絶対多数にとって自動車のプライオリティが以前より下がるのはある意味当然でしょう。そして彼らのマニュアルミッション忌避(!)をより加速させたのが

 AT限定免許

 です。これにより前述「大人への通過儀礼」の意味合いは消失、そうこうしているうちに、遂に「二輪オートマ免許」まで現れました!そんな現状では、良いもの、入れ込むに足るものとして車・バイクに接してくれ、と願っても無理があります。
 加えてATの技術的進化もそれに拍車をかけます。最新のツインクラッチミッションは凡人のマニュアルシフトより確実に速く、スムーズでしょう。燃費も劣りません。

 かくして巷には機能に差がないゆえ外観のみで差別化を図るべく、
妙にディテールを際立たせた・・・
z34.png  lxa.png

mb.png hf.png

 mba.png mbe.png  

 lx.png tl.png 
(あらずもがな、機能に関係ないエッジと曲線、その反復・・・)
 ・・・本来のカタチで勝負していない、おかしなスタイリングの車が溢れることになりました。

 正に車の白物家電化と思いませんか?

 この、白物家電化した車と愛すべき自動車たちとを分かつのが趣味性と言っていいでしょう。
 それを持つものを良貨とするならば(最初の)悪貨は100円ライターならぬ原チャリ、ということになります。

 ということで・・・

 パーソナルトランスポーテイションとしては機能に大差ないそれらの浸透(蔓延?)に、趣味の車たちはすっかり駆逐されてしまった

・・・という長~いお話でした。最後まで読んで頂き感謝です<(_ _)>

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  1. 2014/06/07(土) 19:56:39|
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