あるF3コンストラクターの記録:その2

 XOR.jpg
(試作車っぽいカーボン黒づくめが格好良い・・・)


 さてF3の話題、再開です。

 件のベルハウジング、吹き終わってみるとその鋳物・・・やけにさっぱりとした形状(=桶状)で、陰影に乏しい非常にあっさりした造形なのがちょっと気になりました。

画像はありません・・・<(_ _)> 

 フォーミュラカーのエンジンとミッションはシャシー剛結、そこからRサスが生える、車体剛性を担う重要な部分です。その両者を繋ぐベルハウジングにも当然剛性を要求されます。

bh3.png
(ストレスメンバーではないストリートカーでもこんなにリブが・・・)
 bh_20140810162931478.png
(・・・クラッチレリーズ支持部は内部まで・・・)

 しかし、それにしてはリブが少ない。あっても(高さが)低過ぎに見えます。

「これで大丈夫なの?」

と思いつつ、仕上げ、熱処理に回しました。設計上オイルタンクを兼ねているわけではないので

 樹脂含浸
 =
鋳物内部の小さな鋳造欠陥(ピンホール的空洞=巣)を孔封するためワークに減圧、加圧を繰り返し樹脂を浸み込ませ「耐圧漏れ止め」とする処理、はしなかったはずです。加工手配もなくそのまま素材納品となりました。

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 その後、やっぱりというべきか弱小レーシングティームにありがちな(苦笑)未入金トラブル等もありましたが・・・

 相当時間がかかったものの(ほぼ独力のプロジェクトだったようです)なんとかオリジナルF3は走り出しました。

実車は

XOR.jpg 
F3
F399.png 
(ダラーラF399)
というより当時、NOVAが走らせていたフォーミュラニッポン
gf.png
Gフォース似。もっというと
1998.png
F1っぽいスタイリング

 は意欲作に相応しい雰囲気を醸し出しています。

 ドライバーは当時失業中(失礼)だった実力者西宮 圭一と陰ながら期待していました。がしかし・・・
 やはり熟成不足なのでしょう細かいトラブルは頻発、うまく走らないようでした。当初聞えてきたのが(現場には行っていないので)
「・・・ギアトラブル・・・」
ミッションは定評あるF3標準品のはずです。F3のミッショントラブルはあまり聞いたことがありません。ひょっとして・・・
「例のギアトレインじゃあ・・・?」
 

エンジン傾斜のためにクランクシャフト位置を横移動させた分、そのパワーを車体中心のミッションへ戻すための3軸アイドラーギア

125GP.png
(間に一つ捨てギアを入れ、両端ギアを同方向回転とする)

のトラブルに自分には聞えました。恐らく、エンジン全トルクがかかるその部分の支持剛性が不足し、3軸の軸間距離が変動したがゆえのギア噛み込み不具合なのでは?と。 

 実戦参加してからは・・・
「・・・サスペンショントラブル・・・」
も聞こえてきました。
 その時はティームオーナーに話を訊くことができました。
「・・・いやあサスが折れちゃって・・・」
「えっ?ダラーラの部品流用じゃないんですか?」
「違うよ、オリジナル。やっぱり丈夫が一番だから次回は鉄製(!)にしたよ・・・」
これを聞いた驚き。

 fs_201409071054556c5.png

 定評あるダラーラに対抗するに当たり、自分にアドバンテージ
(この車の場合横倒しエンジン)があるなら・・・

 それ以外をすべて敵と同じものとすればそれが生きる。そうすればデメリットなしに、アドバンテージのみを享受することができる。部品供給上のメリットも含め、そうするのがセオリー・・・

 と勝手にそう思っていた自分でした。
「サスまで造っていたんじゃ(ダラーラと同じ経験を積むまで)
 勝てないじゃん・・・」
 
 加えて、車体全体で考えると・・・
 レーシングカーのシャシー剛性は高いに越したことはないものの、より重要なのが剛性バランスなのだそうです。剛性分布に偏向がない、すなわち部分的に剛性が高いあるいは低いところがなく全体として揃っていることが剛性自体より大事・・・だとか。
 その視点ではこのクルマ、名手を以ってしても乗り難かったのではないか?と想像されます。

XOR - コピー (2)
(実際モノコックとミッションを結ぶ補強パイプ?が見えます)
 

 かくして打倒ダラーラの夢は潰えたのでした。

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 氏は今こんな活動をしているようです。



参考資料
XOR_201409191613557e5.jpg

(三栄書房 週間オートスポーツより転載)
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  1. 2014/09/07(日) 11:53:11|
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