映画の話:原子怪獣現わる(ネタバレ注意)

scene.jpg
(特撮映画史に残る名シーン・・・)

 過日ゴジラ映画について拙文アップしましたが・・・
 その生みの親である円谷英二氏が強く影響を受けた、特撮怪物映画の元祖が・・・


「キングコング」(1933、米)

 です。そして20年後日本で、「ゴジラ」が創られるわけですが・・・
(爬虫類系の)怪獣映画の元祖といえる映画は、その前年全米公開、特撮(ダイナメーション)の巨匠レイ・ハリーハウゼンの実質的なデビュー作でもある・・・


「原子怪獣現わる」(1953、米)

 です。そのソフト入手しました。
 ゴジラはこの映画の影響を受けているはず、です。
 それがどの程度反映されているのか見極めたい、と永く望んでいましたがようやくそれが叶いました。
 ところが調べると・・・ゴジラの公開が1954年11月、ところが「原子怪獣」完成は前年(1953年)ですが、日本公開はなんと同年12月。
 ひょっとして、ゴジラ制作スタッフは「原子怪獣」を見ていない・・・?その可能性が出てきました。
 日本公開前に見ることができたのでしょうか?それとも予告編だけでも?当時アメリカ本国公開の映画情報が日本に流れてくるとすれば米軍基地から、ということになりますが・・・実際のところはどうなんでしょうか?

 まあ見ていようがいまいが、この映画の評価には変わりはなかろうということで・・・

 映画は北極での核実験から始まります。
 当時アメリカでは核実験はさほどタブー視されていなかったようで、同時代もう一つの被爆モンスター映画である・・・


「巨人獣・プルトニウム人間の逆襲」(1958、米)
の冒頭でも同様のキノコ雲の映像が思いっきり使われていました。
bomb.jpg
(ちなみにその販売ソフトではAV並みの(笑)ソラリゼーション処理・・・)

 その核実験で冬眠状態だった白亜紀の恐竜が目覚める、という設定です。まず最初のツッコミ所として、陸地のない北極で眠っていた、という設定がありますが・・・まあ海洋性(水棲)の恐竜という設定でもあり、氷に中に居たということで・・・良しとしましょう。

 余談として・・・自分の好きな特撮怪獣映画でもある
東宝版のキングコング

「キングコングの逆襲」(1967、日・米)
でも悪者「メカニコング」・・・
mkong.png 
(メカゴジラはおろか偽ウルトラマンやセブンにも先駆けた元祖・・・?)
が北極の「地下」資源を掘る設定がありましたが。


・・・本題に戻ります。
 怪獣=架空の恐竜の名はリドサウルス(Rhedosaurus)。
古生物博士の研究室にある化石標本・・・
bones.jpg
(頭骨、肋骨に注目・・・)

 はそれっぽく作ったニセモノなのが当時の特撮事情を物語ります。
 また、怪獣目撃者2名(主人公の放射線学者と襲われた船の船長)が同じ恐竜の想像図を選べば、
「二人で同じ幻覚は見ない・・・」
と、偶然の一致は考えられないゆえに真実、という推論は科学的とは言えないものの論理的ではあり(笑)2人が同様に迫害される点も含め、よくできた設定に思いました。

Rhedosaurus.jpg 
(これがその想像図。学術的なものとしてはやけにアクティブで・・・)

 思わず「そんな・・・」と感じる、東宝特撮的(というか影響を与えた?)ご都合主義的展開としては、垂直潜航型海底探査カプセルのすぐそばに怪獣が現れる(この広い海で!)というシーンがありますが・・・
 実際博士が犠牲になるストーリー上の必然性もあるので・・・これも良しとしましょう。
 それよりもこの場面では本物の、タコとサメによる挌闘シーン・・・

shark.jpg
(当時は、思わず息を呑む・・・ことだったでしょう)

 を長回しに挿入しリアルな緊張感を演出した上で、その闘いを嗅ぎつけ(?)それらをまとめて捕食せんと現れるリドサウルス!というこの怪獣登場シーンはよくできている、と感心しました。

 怪獣は夜間航行中の船を襲い(水しぶきがいかにも合成っぽいのが当時風)、灯台を破壊し(これも夜間、トップ画像参照)、そして白昼堂々突如としてマンハッタンに上陸します。

people2.jpg
(港湾労働者たちは普段通り・・・)

逃げまどう人々の姿は緊張感なし!
people.jpg 
(走ってはいますが・・・)
それも当時のパニックシーンのお約束ということで。

怪物に向かって単身果敢に挑む警官が捕食されるシーンがありますが、
ジュラシックパークにおけるTレックス登場シーンとの相似性に・・・Jpark.jpg 
(逃げ込んだトイレを壊す、あのシーンと似ているでしょう?)
スピルバーグのこの作品へのオマージュが感じられます。

怪獣映画ではおなじみ、不可欠ともいえるビル破壊シーンもあります。
可動フィギュアによるストップモーション・アニメで、
ビルを一コマづつ壊すという苦労が偲ばれます。
punch.jpg 
(破片の落下が見られるので、長回し用別フィギュアがあるのかも・・・)

やはり怪獣映画のお約束、
高圧電流に触れスパーク!というシーンもありました。
hivolt.jpg
(バチバチっとフラッシュで・・・)
この手のシーンの元祖ではないでしょうか。

上陸の後、州兵の攻撃により負傷した怪獣の血液が採取されます。blood.jpg
(判りにくいですが・・・)
そこでの
「どんな細菌を持っているやもしれない・・・」
という軍医(?)の懸念は
その後手負いでマンハッタンに潜伏中の(笑)
怪獣を追跡する兵士たちが次々倒れてゆく、
という形で現れます。
soldier.jpg 
(崩れ落ちる兵士・・・)

 その「細菌」の正体について劇中では結局触れられませんが、ゴジラを、第五福竜丸そして原爆マグロパニックを知る、唯一の被爆国民である我々にとってそれは細菌などではなく、それこそ「放射能」とした方がすっきりすると感じました。
 しかしストーリー上、最終的に怪獣を退治するのは主人公の放射線学者が発案する「放射性アイソトープ」=放射線です。仮にもしこの怪獣が有害なレベルの放射能を帯びていた、とすると・・・それでは「毒をもって毒を制す」といった意味合いが現れてしまい、その展開に影響してしまうことでしょう。主題がぶれてしまうかもしれません。
 また未知の細菌、というのはほぼ同時期のSF映画・・・


「宇宙戦争」(1953、米)

 のオチでもあり、そちらの方が自然なのでしょう。

 今回、「ゴジラ」は怪獣出現の設定以外は「原子怪獣現わる」の影響はほとんど受けていないことが解りました。映画としては全く真似しているところはありません。また世界では同時多発的に、似たようなムーブメントが生まれることがしばしばあり(特に音楽界)その設定すら偶然の一致の可能性もあります。

 我等が「ゴジラ」はパクリ映画ではなかったのです。

 そしてこの「原子怪獣・・・」の、無理のない優れた設定や見せ場と予算を心得た素晴らしい演出は「元祖」の名に相応しい、というかそれ以上です。最初にこれを創り上げたユージーン・ルーリー監督以下ハリーハウゼンらスタッフの努力と能力、その創造性は称賛されるべきものと思いました。

 最後に。自分は、未知のスーパー兵器に頼らない(笑)こちらの方が好きです(^^)


 

独特の味のある、人形ストップモーションアニメの巨匠ハリーハウゼンの代表作はこれでしょう。

(TVで見たことがきっとあることでしょう)


 ・・・今回のブログは、ずっと書こうと思っていた主題でした。


 そしてこの「原子怪獣」ソフトを手に入れ、観るまではこの文章、

 「ゴジラ」はパクリだったけど元ネタを上回る素晴らしい作品

 となるんだろう、と考えていましたが・・・全く予想していなかった結末になりました。だから映画ってホントに・・・(笑)

 ところで、冒頭で触れた「プルトニウム人間」のソフトはギタリストKがアメリカから持ち帰ったもの(字幕なし)でしたが、これは実は続編だった、ということを今回のサーチではじめて知りました。最初はこれだそうです。

(こちらは観たことがありません)
 続編でも特に無理な演出はなく、字幕なしでも十分理解できるシンプルなストーリー、しかもちょっと泣ける結末・・・おすすめできます。

 そして前述の「キングコングの逆襲」も強くおすすめします。はっきり言ってゴジラシリーズより面白いです!

 それにしても・・・この「逆襲」の語、この手の映画によーく使われていますが、ちょっと意味不明なところがあります(笑)
 本来の意味であるカウンターアタック(=反撃か)が当てはまらないものが多すぎます。
 「再登場」くらいの意味合いなんでしょうか?

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  1. 2014/10/04(土) 12:57:50|
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