SEFAC Hot Rod

 
(available)

 久しぶりにクルマの、それもイラストの話題を。

 トップ画像は

 Ferrari 250GT SWB `Maranello Hot Rod'
 あるいは`SEFAC Hot Rod'

 と呼ばれる車、その中でもこのカーナンバー14(シャシー#2689GT)は
有名なクルマです。ラグナセカのパドックで、となりにAlfa Romeo Tipo33 Stradaleも見えてます。

 ここで「ホッドロッド」について。
 ホットロッドとは、速く走らせるため改造されたクルマをいいます。代表的なものとして、かつてアメリカでポピュラーだったフォードを・・・
1933.png
(1933年型)
 HR.jpg 
こんなに精悍に(しかも速く)生まれ変わらせたものです。
 このRodとはプッシュロッド
(このストリートカルチャー発祥当時はまだサイドバルブエンジンが走っていた頃。プッシュロッドが暗喩する「OHV」エンジンは高性能の証しだった?)
 あるいは
pcr.png 
コンロッド
(ピストンが壊れるような高出力エンジンのトラブル時、こいつが突き出して息絶えるから?・・・そしてもうひとつ、男性器の意味も・・・)
 を表しています。
 エンジンをスープアップあるいは別の大きなエンジンに載せ換えたうえ軽量化のため余分な、走りに関係のないトリム類は取り外し、時にその軽量化加工(=ぶった切り=chop)はシャシ-(=切り詰め)やボディワーク自体(=屋根)にも及びます。そして空気抵抗を減らすべく(?)サスをいじり低めたクルマ・・・それがホットロッドです。
 金のない若者達による全ての加工は切りっ放し、削りっ放し、外しっ放しだったのでしょうけれど、カルチャーとして浸透進歩していくうちにそこに美意識が生まれ、各所に工芸的、芸術的技巧が盛り込まれるようになります。その間、あるものは(加速の)速さのみを求め
NHRA.png 
ドラッグレーサーに。
あるものは最高速を求め
hrsf.png
レコードブレーカーに。
 そしてあるものは(大多数か?)ストリートを流す
自己顕示の象徴へと細分化していきました。
そして現在では・・・
HR.jpg
「動く総合芸術」の趣さえあります。

 そして・・・
 個人ではなくフェラーリ自体が、自らスピード(=レース)のために同社既存のストリートカーたる250GTに対し、美意識を大事にしながらも・・・
 ぶった切り(=シャシー切り詰め=Short WheelBase)
 軽量化(=アルミボディ)
 エンジンのスープアップ(=テスタロッサのエンジンに換装)
 を施したのが250SWB・・・これぞ同車が「マラネッロ・ホットロッド」と呼ばれる所以なのです。
 この「改造」手法を、より大胆に進めたものが高名な
 GTO.jpg
250GTO
 です。究極のフロントエンジン・フェラーリとして垂涎の的であるGTOですが、自分としては250SWBの方がぶっちゃけ好きです。逆にストリートカーっぽさが魅力な感じがします。

 トップ画像の作品、永く食彩堂のレストルームに飾られていたものです。そのせいでちょっとマット(=白外枠)が傷んでました。ちなみに今はこれになっています。
 Abarth-Simca(手漉き土佐和紙への転写品)
ASW.jpg
(available@食彩堂)
 ところで、このトップ画像の#14のSWB、よ~く見てもらうと・・・

 左ヘッドランプが下がっている

 のにお気付きでしょうか?
 自分は完成後認識しました。
「やべっ!デッサン狂ってる?!」
慌てて元の写真確認すると・・・実車がそうなっていました。


 当時のフェラーリは年間500台未満の少量生産、いわば手作りです。職人が手叩きで曲げたアルミ板を繋いだボディパネルは同車種でも1台1台微妙にディテールが違ったりします。職人さんの「利き腕」の違いで、左右完全対称ではないことも珍しくありません。
275.jpg
(この275GTBはヘッドライト廻りの凹の形状が・・・) 
 これが当時のフェラーリの各個体をシャシーナンバー(上記#2699GT)で呼ぶ根拠です。
 加えて長いレースヒストリーの間のクラッシュ、損傷の修復のための部分的リビルト、「歴史的名車」に祀り上げられてからのフルレストア・・・同じ個体でも年代によって形自体が違ったりもするくらいです。例えば、◎◎年頃の#◎◎◎◎のSWBなんて呼び方をしなければなりません。まるでF1、どこそこサーキット仕様・・・のようです。
 このことは昔、絵の題材としてフェラーリのレースカーのディテールとヒストリーをリサーチしていて気付きました。
「・・・そんなの、いちいち追っかけてられるかっ!」
以来、自分で撮った写真しか、自分がその横に居たことがあるクルマしか題材にしないことに決めた!のでした。
 ディテールがどうなっているのか調べなければならない「不安」は自分がそこに居れば解消します。写真に撮ったクルマの

 写っていない「向こう側」(=裏側)を自分が知っている

 ことはある意味自信というか「確信」に繋がるのです。
 たとえばこの#2699GTの下がったヘッドランプ、
「この絵、デッサン惜しいね・・・」
と指摘されても
「いやあ、実車はこうなっていたので」
と断言できるのですから。

 この#2699GT、2010年のモントレー「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」に出品されました。以前、その出品車を集めた写真集を見たことがあります。
 コンクールに備え光り輝く#2699GT。
「あれから十数年、当然所有者はミリオネアなんだろうから・・・
 きっとボディは作り直されてるんだろうなあ・・・」
と思い、よ~く見てみると・・・
 ボディは磨き直しただけでした。この車、今も左ランプ下がってます。

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  1. 2014/10/19(日) 12:15:12|
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